王都とわたし
お久しぶりです。
『君はなかなか教会に来てくれなかったからね』
済みません、色々と忙しかったもので……
『ああ、気にしなくて良いよ。
それで、今日は僕に何か用事があって来たのかい?』
いえ、観光気分で教会に入っただけですよ。
『そうかい。
まぁ、しばらくは平和を満喫しなよ』
含みのある言い方ですね。
『はっはっは、気にしない、気にしない。
次のイベントまではまだ時間があるからね』
なんだかゲームみたいですね。
『否定はしないよ。
僕達の様な存在に取って小世界の管理は趣味みたいな物だからね。
君が元いた世界でも仮想世界を管理して、発展させるゲームがあるだろう?
似たような物だよ』
つまり、神様にとってこの世界で起こっている事は全て微笑ましい出来事程度だと言う訳ですか。
では神の力で邪神や魔族を倒したりはしてくれないのですね?
『まあね。
勘違いして貰っては困るけど僕は別に君たち人間の味方と言う訳ではないよ。
魔族も邪神もその世界で生まれた者だからね。
僕からみれば人間と魔族の違いなんてあってない様な物だよ。
それに、改造データでプレイしてもつまらないだろう?』
なるほど、神の視点ってやつですね。
ところでわたしの【魔眼】について教えて貰えないでしょうか?
『ダメだよ。
そこまで肩入れは出来ないね。
それは魔族や魔神側に対してアンフェアだからね」
そうですか……ではやはり、自分で調べるしか有りませんね。
『ふふ、そうだね。
僕は人間の味方も魔族の味方もしないけど君たち異世界から来た3人の事は応援しているよ。
さて、もう時間がないな。
じゃあ頑張ってね』
はい、ありがとうございます。
「どうしたのだ、ユウ殿?」
「いえ、なんでも有りませんよ。
立派な教会ですね」
「ははは、王都で1番大きな教会だからな」
わたしは言葉巧みに誤魔化してフレイド様に教会の成り立ちなどを教授されるのだった。
教会を後にしたわたしは、王都の辺境伯邸でフレイド様とお茶を頂いています。
ユーリア様とミッシェル様、サチ様は旅の疲れか到着してすぐに休みました。
「どうやらユウ殿の【魔眼】は相手に恐怖や威圧を与える様な類の物みたいだな」
「そうですね。
やはり詳しくは学院の図書館で調べるしか有りませんね」
わたし達が談笑をしていると、辺境伯家の騎士さんがやって来ました。
「盗賊の引き渡しと被害女性の保護に関する引き継ぎが終了しました」
わたしが捕まえた盗賊と助け出した女性達の事ですね。
「そうか、どうなったんだ?」
「はい、盗賊には懸賞金は掛かっておらず、通常通りの値段で犯罪奴隷として引き取られました。
こちらが代金です」
「うむ」
フレイド様は騎士さんが差し出した革袋を、受け取るとわたしに手渡してくれました。
懸賞金は掛かっていなかった様ですが、30人以上いたからでしょうか、なかなかの金額です。
「捕まっていた女性達はどうなった?」
「はい、捕まっていた女性は2人とも王都近くの町の出身であるそうで、明日町へ帰る事になりました。
町へは王国の女性兵士が数名護衛として同行するとの事です」
「そうか、ご苦労だった」
どうやら被害女性は無事に帰れるようですね。
あ、そうだ!
「すみません、騎士さん」
わたしは退室しようとしていた騎士さんを呼び止めます。
「何でしょうか、ユウ殿?」
わたしは盗賊を犯罪奴隷として売ったお金から金貨を6枚取り出すと騎士さんに手渡してます。
「これを被害にあった女性に渡して下さい。
お見舞い金です」
「良いのですか?
盗賊から助け出しただけでも十分だと思いますが?」
「良いのですよ。
それくらい差し引いても十分な儲けです」
「そうですか……羨ましい限りです」
「ふふふ、では護衛に加え、盗賊を連行して頂いた騎士さん達に後で一杯奢りますよ」
「ははは、ありがとうございます。
では、フレイド様、わたしは衛兵の詰所にユウ殿からの見舞い金を届けて参ります」
「わかった、行って来い」
フレイド様は何故か苦笑いです。
騎士さんが立ち去った後その理由が分かりました。
「ユウ殿、太っ腹なのは良いのだが、私の立場と言う物も少し考慮して頂きたいものだ」
あぅ!
失敗しましたね。
ここで冒険者であるわたしがお見舞い金を出したのに大貴族であるフレイド様が何もしないと言うのは外聞が悪いのでしょう。
貴族様から見れば大した金額では有りませんが塵も積もれば山となるって事もありますしね。
「すみません、相談するべきでした」
「いや、別に構わないのだがね。
もともと辺境伯家からも見舞い金は出しているからな」
うーむ、視線が痛いです。
まぁ、それはさて置き、騎士さん達に振る舞うお酒に付いてフレイド様と相談するとしましょうか。




