いつもの奴らとわたし
誤字報告ありがとうございます。
m(_ _)m
「ファイアボール」
「ルビークラブ」
「ぶ、ぶ、ブルーバード」
「ドレイク」
「く、く、『く』ですか……」
馬車での移動は時間が掛かるので暇つぶしにと、ユーリア様にしりとりを教えてみました。
もう少ししたらわたしの奥義、【必殺の『る』攻め】をお見舞いしてあげるつもりです。
しかし、それはもう少し後になりそうです。
「止まって下さい!」
わたしは御者台の方の小窓を開けて声を掛け、馬車を止めて貰います。
「どうしたのだ?」
「この先の岩場に何か居ます」
問いかける御者に短く答えたわたしはデネブを召喚して窓から偵察に出しました。
「しばらく待機して下さい」
「わ、分かった。
皆、ユウ殿が確認してくれるまで待機だ」
フレイド様が護衛の騎士さん達に指示を出すのを聞きながら、わたしは魔法を詠唱します。
「我が朋友 一時の繋がり【リンク】」
同調の魔法により、わたしはデネブと視界を共有する事が出来ました。
現在、わたしの視界に映るのは薄汚れた防具を身につけた小汚い男達です。
うん、盗賊ですね。
しかし、魔境に近く、強力な魔物が闊歩するこの辺境で盗賊とは珍しいですね。
この辺りで盗賊が出来るなら犯罪なんて犯さずに生きていく方法はいくらでもあると思います。
傭兵とか、冒険者とか、用心棒とか……
それすら出来ないクズだったという事でしょうか?
まぁ、今盗賊ならそれは盗賊ですよね。
さて、身のこなしなどを見ると彼らはそこまで腕が立つ感じではないですね。
大して強くもない彼らがこの辺境で生き残っている理由は単純に数が多いからでしょう。
ザッと数えただけでも30人近くいます。
いくら数が多いとは言え、犠牲も多くでるでしょう。
しかし、犠牲を払ってでも辺境で活動するのは当然それなりの実入りがあるからです。
ガスタに向かう商人は辺境の珍しい産物を仕入れる為、大金を持っているでしょうし、ガスタから王都方面に向かう商人は高く売れる商品を沢山積んでいます。
盗賊からすると美味しい獲物です。
まぁ、今のわたし達にはあまり危険は無いでしょう。
盗賊は、あまり貴族の馬車を襲いません。
確かに貴族の馬車には、お金になる物が沢山あります。
しかし、大抵腕の立つ護衛が付いています。
もし護衛を倒し、沢山のお金を手に入れたとしても馬車の主人である貴族が黙っていません。
たまたま、馬車に貴族本人が乗っていて殺す事が出来たとしても、その貴族の親族が名誉に掛けて盗賊団を潰すでしょう。
次から次に討伐隊が送り込まれて来るのです。
盗賊にとってこれ程割に合わない獲物も無いでしょう。
ですが、勿体ないですね。
あの盗賊団がいつからこの辺りで活動しているのかは知りませんが、かなり溜め込んでいる可能性大です。
出来れば回収して大儲け……いえ、正当な経済ルート戻したいです。
この国の経済の為に!
「フレイド様、盗賊です」
「盗賊? 珍しいな」
「かなりの数です、30人くらい」
「何⁉︎ そんなに居るのか!」
「流石に貴族の馬車を襲う事は無いと思いますが、この辺りで活動されてはガスタにも悪影響ですからちょっと潰して来ます」
「いや、そんなちょっと散歩に行くくらいのテンションで言われてもな……」
「ユウ様、危険では有りませんか?」
「そうですよ、ユウ様、相手は盗賊ですよ!」
「ああ、ご心配なく。
いつもの事ですから」
わたしは辺境伯家の馬車から降りるとオリオンを召喚して飛び立つのでした。




