瀕死とわたし
「残る毒はバジリスクの毒だけですね」
数日を掛けていくつもの毒を解毒し、ルクスさんの容体もかなり良くなってきました。
彼は既に意識を取り戻し、少しでは有りますが会話も出来る様になってきました。
バジリスクの毒は症状の起伏が激しく、少し怠い程度から高熱、吐き気、錯乱など様々な症状が襲って来る猛毒です。
勿論、ながく続くと命を落とす事も多いのです。
バジリスクの解毒薬は完成しましたが、ルクスさんの体調を鑑みて投薬はまだしない方が良さそうですね。
わたしは薬をアイテムボックスにしまうと出掛ける事にしました。
帝都の大通り沿いにある商店で大量の小麦粉や塩、干し野菜や干し肉そして、少量の野菜や果物を買い、孤児院を目指します。
「こんにちは、カームさん」
「ユウさん、こんにちは、如何されたのですか?」
「マールちゃんの様子を見に来たのですよ。
あとこれを寄付しますから皆さんで食べて下さい」
わたしは案内された部屋のテースブルに買い込んだ保存食と普通の食材、わたしが狩ったワイバーンやオークなどのお肉も出します。
「こ、こんなに沢山、良いのですか?」
「はい、子供達に美味しい物を作ってあげて下さい」
「あの……ユウさん……コレなんですか?
すごく高価そうなお肉ですけど……」
「ん?……ああ、それはワイバーンのもも肉ですよ」
「わ、ワイバーンですか⁉︎」
「はい」
「はいって、ワイバーンは高級食材ですよ!
これだけあれば小金貨数枚、いえ、金貨はしますよ?」
「前に群れを討伐したので沢山あるのですよ。
子供達にもたまには贅沢な食事を食べさせてあげましょう」
「こ、こんな高価なお肉、どうやって調理すれば……」
「ははは、わたしも手伝いますよ。
一緒に作りましょう」
今日は孤児院で一緒に夕飯を食べようと思います。
それからわたしはカームさんや数人の女の子達と料理を作りました。
粗方の料理が完成した頃、お仕事から子供達が帰って来ました。
しかし、子供達の様子を見て来たカームさんが戸惑っています。
「カームさん、どうしたのですか?」
「ユウさん、実はミザイとアリスがまだ帰って来てないのです。
いつもならとっくに帰って来ている筈なのに……」
ミザイはわたしにナイフを向けた1番年上の少年でアリスは1番小さな少女です。
「今日は衛兵隊の隊舎の訓練場の草むしりのお仕事を頂いていたので、こんなに遅くなる筈がありません」
「何か有ったのでしょうか?」
心配ですね、探しに行きましょうか?
わたしがそう口にしようとした時、孤児院の子供が部屋に飛び込んで来ました。
「シスター!ミザイが!ミザイ!」
「「 ⁉︎ 」」
わたしとカームさんは、子供達に連れられて孤児院の入り口に急ぎます。
そして、そこでわたしとカームさんが見たのは全身から血を流し、瀕死の状態に陥ったミザイの姿でした。




