孤児とわたし
強盗?を制圧したわたしは少年少女達を正座させ話を聞いていました。
1番年上の少年(12歳)曰く、彼らはスラムの近くにある小さな教会が経営する孤児院で暮らしているそうです。
普段からこんな事をしている訳ではなく、仲間の孤児が重い病に罹り、治療に必要な薬はかなり高価である為、経営ギリギリの孤児院が捻出する事は出来なかったので犯行に及んだ様です。
「まったく、それでも犯罪は犯罪です。
わたしでなかったら大事になっていましたよ!」
「ご、ごめんなさい、でもマールを助けたかったです」
「う、うぅマール……」
子供達は泣き始めましたがそう簡単に犯罪を容認する事は出来ません。
「馬鹿な事を言っては行けません!
犯罪を犯して助けられてマールちゃんが喜ぶとでも思ったのですか!」
「うぅ、それは……」
「面倒をみてくれている神父さんやシスターさんに迷惑を掛ける事になると分からなかったのですか?」
「うぅ……ひっく……」
「あなた達の軽率な行動が多くの人に迷惑を掛けるのです。
分かりましたね?」
「ずび……はい……」
「ではケジメをつけます。
全員歯を食いしばりなさい」
ゴン、ゴン、ゴン、ゴン、コツン
わたしは少年少女達に1回ずつゲンコツを落としました。
流石に1番小さい女の子にはかなり手加減しましたよ。
「さて、それでは孤児院に行きましょうか」
「「「「「……………………」」」」」
「ん? ああ、大丈夫ですよ、あなた達のやった事はさっきのお説教とゲンコツで手打ちです。
孤児院に行くのはマールちゃんの治療の為です」
「ち、治療?」
「はい、わたしは薬師ですからね。
診察してからでなければ断言できませんが、薬で治る病気ならわたしが治せると思いますよ」
「ほ、本当⁉︎」
「はい、絶対とは言えませんが大体大丈夫ですよ」
子供達に連れられたわたしは小さな教会に併設された孤児院に到着しました。
孤児院の入り口の前には20歳くらいのシスターさんが立っていて、わたし達に気がつくとこちらに駆け寄って来ます。
「あなた達、一体どこに行っていたのですか!心配していたのですよ!」
「ご、ごめんなさい、シスターカーム」
「それで……あの、あなたは?」
あなた?…………あ、わたしの事ですね。
「わたしは冒険者のユウと言います。
先ほど裏路地で彼らに有り金を巻き上げられそうになった者です」
「な、なんですって⁉︎
あなた達、なんて事を!」
「まあまあ、シスターさん、彼らにはわたしがお説教してゲンコツを落としました、十分反省している様なので大目に見てあげて下さい」
「しかし……」
「実害も有りませんでしたし、今回だけはお願いします」
「………………分かりました、ただし今回だけです。
今回だけはユウさんに免じて不問としますが次は有りませんからね」
「「「「「はい」」」」」
「それでわたしがここに来たわけなのですが、こちらのマールちゃんと言う子が病気になったとお聞きしたのですが……」
「はい、確かにマールは先日から寝込んでおりますが……それが何か?」
「わたしは薬師なので少し容体を見せて頂きたいのです」
「薬師…….しかし、恥ずかしながら当院には報酬をお支払いする余裕は……」
「お金は要りませんよ、気にしないでください」
「え、しかし……」
「まぁまぁ」
オロオロしているシスターさんを押し切り、わたしはマールちゃんと面会するのでした。




