容疑者とわたし
「ぐ……ユウ殿、なぜこんな事を」
「う……」
皇帝陛下達が少しフラつきながら立ち上がります。
流石、皇族です。
多分、耐性系のマジックアイテムを持っているのでしょう。
「大変失礼いたしました。
みなさんにあのままデザートを食べさせる訳にはいかなかったのです」
「なんだと?」
わたしは困惑している騎士達を無視して話を続けます。
「このデザートには恐らく『静かな棘』と言う毒が入っています。
この毒は強い甘味があり、香りも強いので察知され易いのですが、効果が現れるまで少し時間がかかり、検死ではいつ毒を盛られたのか分かりにくい暗殺向きの毒薬です」
「なんだと!」
「本当ですか⁉︎」
「この料理に触れた可能性がある者を全員拘束せよ!
それから宮廷鑑定士を呼び、料理を調べるのだ!」
「「は、はは!」」
皇帝陛下の命令を受けて騎士さんは走り去って行きました。
「どうだ?」
「はい、ユウ様の言う通り、このデザートには静かな棘が混入されています。
量は致死量に届いていませんが、その分発見が困難になっています。
私でも初めから毒があると言われてなければ見逃していたかも知れません」
「そうか、ユウ殿のお陰で助かったな」
「致死量よりは少なかったとしても体調を崩したり、判断力を鈍らせたりするには十分だろうからな。
兄上が口にしなくて良かった」
「しかし、問題は誰が毒を入れたのかですよね」
わたしがそう言うと皇帝陛下は騎士さんに指示を出しこの料理に毒を入れる事が可能だった者、つまり容疑者を連れて来させました。
連れてこられたのは6人、料理人さん4人、毒味役を兼ねたメイドさん2人です。
急に騎士さんに連れて来られて困惑しています。
「あ、あの陛下、一体何があったのでしょうか?」
部屋の中の不穏な空気を感じ、みなさん青い顔をしています。
皇帝陛下と皇帝陛下の弟であるダイン公爵、皇帝陛下が直々に他国から呼び寄せた客人の食事ですから、もしも何か失態があったのなら大変な事です。
料理人さんの中で1番年上のおじさん(多分料理長さん)が恐る恐る尋ねます。
「うむ、実は……」
「陛下、わたしから説明させて頂いてもよろしいですか?」
皇帝陛下の言葉を遮るのは不敬では有りますが、ここで下手な事を言うと逃げられるかも知れません。
ここはじっちゃんの名にかける高校生探偵と見た目は子供、頭脳は大人の名探偵をそこそこ読んでいるわたしの出番でしょう。
「うむ、そうだな。
1番詳しいユウ殿から説明して貰うのが良いか」
「ありがとうございます」
わたしは皇帝陛下に御礼を言い、容疑者のみなさんの方を向きます。
落ち着いて冷静に話を聞くためにパニックにならないように少しオブラートに包んで状況を説明するべきですね。
自暴自棄になって暴れられても困りますし……
「実は皇帝陛下への暗殺未遂が発生しました。みなさんはその容疑者です」
「な、なんだって!」
「なんて事だ……」
「そんなバカな!」
「わ、私はそんな畏れ多い事はしていません!」
「私もちゃんと毒味をした筈です!」
「わ、私だって!」
大パニックです。




