旅路とわたし
誤字報告ありがとうございます。
m(_ _)m
帝国までの旅路は楽々進みます。
本来ならば街道を進み、ミルミット王国の王都からグリント帝国の帝都まで向かうには数ヶ月の時間が掛かるらしいです。
街道は深い森や湖、谷などを避ける様に作られています。
地球の様に森を切り開き、トンネルを掘り、橋をかけると言う訳にはいかないのです。
わたしの場合は森や谷、湖などを無視して空を進むので、圧倒的に速いです。
昨日野営した場所から飛び立ち数時間後、わたしはアイテムボックスからマジックアイテムを取り出しました。
左手に収まるくらいの小さな水晶玉です。
コレは『番いの宝玉』と言うマジックアイテムです。
2つで1つのマジックアイテムで、もう1つはわたしが目指しているグリント帝国の帝都に有るそうです。
わたしが番いの宝玉に魔力を込めると水晶の中に光が生まれます。
そして、その光はオリオンが進む前方のやや左を指しています。
「オリオン、少しずれています。
もう少し左です」
「キュー」
この光はもう1つの水晶がある場所を指し示すらしいです。
コレは今回の件で帝国から貸し出された物で、シグルさんがわたしに手渡して来ました。
これが有れば迷子になる事は有りません。
何度か休息をとったり、商人を襲っている盗賊を襲ったりしながらどんどん進みます。
そして、日が落ちて来て周りの景色が赤から黒へと変わり始める少し前、眼下に村が見えて来ました。
「オリオン、今晩はあの村に泊めてもらいましょう」
「キュッ!」
わたしとオリオンは村の門の前に降り立ちました。
ほとんどの街では街中での従魔による飛行は禁止されています。
許可なく飛行すればたちまちお尋ね者です。
流石に村の中での従魔による飛行を禁止する法は無いでしょうが、常識人であるわたしは無用な混乱を招かない様に村の中では無く門の前に着地したのです。
「な、何者ものだ⁉︎」
「ひぃぃい、魔物だ!」
「逃げろ!逃げろ!」
「うわぁぁあん、おがぁさぁん!」
「男衆は武器を持て! 女子供を逃すんだ」
「た、助けてくれー」
突如、村の前に現れたAランクの魔物、サンダーバードに村は大混乱です。
「キュー」
「やっちゃいましたね」
「すみませんでした」
あの大混乱の後、わたしは直ぐにオリオンを送還し、武器を持った男衆を仕切っていた人(村長の息子さんだった)にギルドカードを見せて事情を説明し、事態の収束に掛かりました。
なんとか現場の混乱を収めたわたしは村長の息子さんに連れられて村長さんと数人の村の有力者と面会しました。
そして開口一番に謝ったのです。
今回はわたしの配慮が足りなかっですね。
ラクガン子爵様とミルガンの街の前に降りた時の騒ぎを忘れていました。
ちょと驚かせてしまった、くらいで済むのは辺境や迷宮都市の様な特殊な街だけです。
従魔に慣れていないこの村にAランクのサンダーバードは刺激が強すぎたのです。
結果、あの大混乱に陥ったのでした。
「頭を上げなされ、ユウ殿」
村長さんに言われて下げていた頭を元の位置に戻します。
「事情はお聞きしました。
従魔に慣れていない村人達が騒いでしまって申し訳ない。
今回は怪我人も出ていなので問題も無いでしょう」
「すみません、ご迷惑をお掛けしました」
「今日はわたしの家に泊まって下さい……と言っても大したもてなしもできませんがね」
「いえ、ありがとうございます。
そうだ、わたしは薬師でも有るのですが、今回のお詫びに薬を調合しますよ。
勿論、お代は要りません。
体調が悪い人がいれば治療しましょう」
「おお、助かります。
この様な田舎の村だと薬を手に入れるのも大変なのでありがたい。
体調を崩している者がいないかも直ぐに調べさせましょう」
その後、わたしはよく使われる常備薬を調合し、数人の病人の診察をして、個別に薬を作りました。
最初はどうなる事かと思いましたが何とかなりましたね。
かなり驚かせてしまいましたが、最終的にはみなさん感謝してくれました。




