大佐とわたし
孤児院に向かう途中に市場に寄りました。
食材を買い込んで行きましょう。
「あ、トマトじゃないですか!」
「ん? お嬢ちゃんトンネを知ってるのか。
こいつはこの辺りではほとんど作られていないからな。珍しいだろ?」
「はい、この街では初めてみました」
「ちょっと高いが買ってくかい?」
「はい、全て下さい」
「は⁉︎」
「樽ごと全てです。
あ! 買い占めは不味いですか?」
「いや、もともとこの辺りではトンネはあまり食べられてなかったから売れ行きはイマイチだ。
買ってくれるなら嬉しいが、ガストに運ぶまでかなりの輸送費が掛かっているからな。
お嬢ちゃんのお小遣いじゃ1つか2つくらいしか買えないと思うぞ?」
「大丈夫です。
これで足りますよね。お釣りは要りません」
高いとは言え、子供の小遣いでも買えるくらいの値段です。
金貨1枚有れば樽1つ分くらい余裕です。
わたしは唖然としている行商人さんの手に金貨を握らせてトンネと言うらしい、トマトを樽ごとしまいます。
大きな樽をマジックバック(本当はアイテムボックスですが)にしまい、行商人さんにお礼を言ってその場を後にします。
そろそろ孤児院に行きましょうか。
孤児院に着いたわたしは現在、シスターのミリアさんとキッチンで夕食をつくっています。
材料はもちろんワイバーンです。
辺境伯家のみなさんにも料理して食べさせてあげようかと思いましたが、ミッシェル様が不在だったのでまたの機会に作ってあげましょう。
ミリアさんは、わたしのお土産の魚介類がたくさん入ったスープを作ってくれています。
そして、わたしが作っているのはフライドチキンならぬ、フライドワイバーンです。
11種類の秘伝ではないスパイスをふんだんに使った、イカした奴です。
「ユウさん、それはなんのお肉ですか?
見た事ないお肉ですが?」
「これは、ワイバーンですよ」
「ワイバーンですか⁉︎
こ、高級食材じゃないですか⁉︎」
「はい、ミルガンの街からの帰りに沢山倒したので遠慮なく食べて下さい」
「貴族様でも滅多に口に出来ないと聞きましたよ」
「あはは、ラッキーでした」
ミリアさんと楽しく料理を作って行きます。
フライドワイバーンは一口サイズの物を沢山作りました。
食べ盛りの子供たちが沢山居ますからコレくらいは余裕で食べられるでしょう。
わたしとミリアさんは揚げたてのフライドワイバーンを味見します。
「「うま~い‼︎」」
す、凄いです。
ワイバーン‼︎
正直、そこまで強くなかったので少し舐めてました。
淡白なのにジューシーと言う矛盾している味わいです。
そんな極上のお肉の味をハーブや胡椒などのスパイスが更に上のステージに押し上げているのです。
コレはサンダースおじさんの世界的なフライドチキンを超える味わいです。
何と言っても肉のレベルが違います。
サンダースおじさんのチキンも素晴らしいですが、ワイバーンの肉はニワトリを圧倒的に凌駕しているのです。
ちなみにカーネルって名前ではなく、称号らしいですよ。
『大佐』です。
前にテレビでやってました。
なんでもケンタッキー州から贈られた称号なんだとか。
閑話休題です。
出来上がった料理を、食堂に運び、院長さんと子供たちを呼びます。
「では、皆さん。神とユウさんに感謝して頂きましょう」
院長さんの言葉に子供たちは、普段の神様へのお祈りに加えてわたしにも感謝を伝えてくれました。
喜んでくれるのは嬉しいですが、あの神様と一緒にされるのは、少し微妙な気分です。
いえ、感謝はしてますよ。
こうして第2の人生を楽しく過ごしているのは神様のお陰ですからね。
ただ、ひとまとめにはして欲しくないですね。
だってあの神様のドルオタぶりを散々聞かされたのですから。
「「「「うま~い‼︎」」」」
フライドワイバーンは大人気でした。
これこらはワイバーンを見かけたらなるべく確保する方針で行きましょう。




