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水中戦とわたし

 ラグラーナに戦斧を打ち込む手を休めること無く、少しづつ顔の方に移動します。


 ラグラーナは激しく身を捩り抵抗しますが、半身をズタズタにされてバランスが取れないのか、その場に留まったまま暴れるだけです。


 顔の辺りまで来ると、双斧を水龍の戦斧に持ち替え、一瞬のタメのあと2層の魔力を纏わせレイピアの様な鼻先に振り下ろしました。


 鼻先は断ち切られ、ラグラーナは無理矢理身をくねらせてわたしから距離を取ろうとします。


「ぐっ!」


 ラグラーナがわたしから離れるさいに振るわれた尾ビレを受けてしまいました。

 夜天のローブのお陰で、致命傷は避けられましたが、太腿を大きく切られてしまいました。


 追撃したい所ですが、ここは一度水面に浮上するべきですね。

 少し苦しくなって来ました。

 水中で得られる酸素が少なくなって来ています。


 急いで作製した為、水人の丸薬に込めた魔力が通常より少なかったせいか、効果が短い様です。


 それに、傷の手当てもしなければなりません。

 水中では止血が出来ませんし、どんどん血が流れて行ってしまいます。


 あと、超痛いです。

 塩水が鬼の様にダメージを与えてきます。

 治癒魔法が使えれば、水中でも手当てが出来るのですが、残念ながらわたしの回復手段はポーションです。

 水中では使えません。


(なんですか⁉︎)


 浮上しようと、水面に向かう泳ぐわたしを急に不自然な水の流れが海底へと押し返しました。


 視線を移すとかなりの距離を置いてこちらを見つめるラグラーナと目が合います。


 どうやら奴は同じ土俵での接近戦は不利だと悟ったのか、水を操りわたしの浮上を阻害している様です。


 魔物は総じて普通の動物よりも頭が良いです。


 ハーピィにしても、エンシェントトレントにしてもきちんと考え、作戦を練ってきます。


 わたしの秘策を逆に利用しするとは、敵ながら天晴れです。


 つまり、何が言いたいかと言うと…………今、わたし、ピンチです!


 身体強化を使い、海底を蹴ってラグラーナに近付こうとすると、またしても不自然な水の流れがわたしを押し返します。


 近付かせず、浮上させず、このまま溺れさせるつもりの様です。

 人間が水中で長く活動出来ないのを理解しているのでしょう。

 不味いです。

 もう、ほとんど薬の効果が切れています。


 水人の丸薬無しだとわたしの息は1分ちょいくらいしか持ちません。


 兎に角、今は海面に出ることが優先です。

 わたしは、アイテムボックスから種を取り出し、海底に押し付けます。


(生い茂る緑の子らよ 大地を掴め【グロウプラント】)


 わたしが取り出した種は、木属性の魔力によって急成長し、ぐんぐん伸びて行きます。

 ラグラーナが水流を操りわたしを押し返して来ますが、成長する木に掴まったわたしは、水流に逆らい水面へと向かいます。

 

「な、なに⁉︎」


 水中から突如生えてきた木にアイゼンさんが驚きますが、わたしはそれどころでは有りません。


 アイテムボックスからポーションを2本取り出すと、1本を傷口に振りかけ、もう1本を飲み干します。


 ポーションの使い方は、2通りあり、傷口に振りかける場合と飲み干す場合があります。

 傷口に直接かけるとその傷を治癒する事ができ、飲み干すと直接掛けた場合より効果が落ちますが、全身の傷を治癒し、また少しの間、自然治癒力が上昇します。


 尾ビレでやられた太腿の傷と、鋭い鱗により顔や手などに出来た傷が消えて行きます。


 水中からの脱出に使用した木から飛び降りると、水天の靴の効果を使い水面に着地します。


 必死だったのでイメージは雑でしたし、魔力も多くは込めていなかったので、この木は暫くすれば枯れてしまうでしょう。

 可哀想な事をしてしまいました。


 水龍の戦斧を構えるわたしにラグラーナが、向かって来ます。

 もう一度、チャーシュードンをお見舞いしてやりましょう。


 水龍の戦斧に魔力を纏わせます。

 水中に居たときは、水圧や水の抵抗をずっと魔法で相殺していたので、2層が限界でしたが、今は問題有りません。


 水天の靴も起動時に多くの魔力を込めて、一時的に魔力の供給を切ります。

 6層もの魔力を込めた水龍の戦斧は淡く光始めました。

 

 こちらに向かってくるラグラーナの速度に合わせて水龍の戦斧を振りかぶった時、前方から大きな水しぶきが上がります。


 なんとラグラーナは勢い良く水中から跳び上がると、トビウオの様に滑空したのです。


「そんな事も出来るのですか⁉︎」


 最後の力を振り絞ったラグラーナが向かうのは、土属性魔法で作られた壁です。

 このままでは、飛び越えられてしまいます。


 しかし、土壁の上にラグラーナの行く手を遮る人影が有りました。

 《無垢なる愛》の3人です。

 

「いくわよ!」

「ええ!」

「はい!」


「我らを護りし大地にこい願う 戦を終焉へと導く刃を ここに 【ガイアブレード】」


 ドミニクさんの魔法は、聞いたことのない物ですね。

 多分オリジナルの魔法です。


「強靭なる刃 勇き勲を貴方に捧ぐ 【エクストラエンチェント】」


  トロンさんの付与魔法もオリジナルですね。


「はぁぁぁあ‼︎」


 ドミニクさんの作り出した巨大な剣を手に、トロンさんの魔法で強化されたアイゼンさんがラグラーナの真正面に飛び上がります。


「【ラブ♡スラッシュ】」


 あらゆる意味で強烈な斬撃が、ラグラーナを撃ち落としました。


 凄いです!

 ただ、技名はダサいと思います。

 わたしは落下して来たラグラーナに合わせて戦斧を振ります。


「必っ殺! 【魚斬り】」


 6層の魔力を纏った斬撃はラグラーナの強靭な鱗を断ち切り、首の辺りを切りとばしました。


 ようやく討伐終了です。

 今回は水中での行動が多く、かなりの疲労が有ります。


 早く戻ってゆっくり休みたいです。

 あと今回の技名もイマイチでした。


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― 新着の感想 ―
[一言] 無垢なる愛の援護もあり討伐できましたね。さて報酬はどんな感じになるかな。
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