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戦いの終わり、その後・上

 カマキリのライフコアを拾った。

 明らかに今までとは違う蟲の存在とか色々とあったけど……今はとりあえず勝ったことを喜ぶか。

 難しいことは後で木次谷さん辺りが考えてくれるだろう。


「大丈夫?」


 後ろを見ると、ライアンとケーシーが唖然としたって感じでこっちを見ていた。 


「いまのが日本の古武道(マーシャルアーツ)なのか……動画で見たのより遥かにすごかった。正直言ってランクが並んだから同等とか少し思ってたんだが……到底かなわないな」

「カタオカ、あなたの師匠は貴方よりも強いの?」

「そりゃもう」


 刀での切り合いに限定するならまだまだ師匠には及ばないと思う。

 鎮定を使っていいなら流石に勝てそうだけど。 


「是非、紹介してほしいわ。その人の動作解析をすればきっとこのスーツにフィードバックできる」


 ケーシーが言う。

 師匠はどう思うだろうか……嫌がる気もするけど、案外喜ぶかもしれない。自分の技を継いでほしくて師範をやってるって話だし。

 それに意外と最新式のデバイスとかは好きらしいし。


「まあ、それはそれとして帰ろう」


 ダンジョンの赤い光が明滅して岩壁に亀裂が入り始めていた。

 撤退した方がよさそうだ。


「肩を貸す?」

「いや、大丈夫だ。流石にそれは情けない」


 ライアンが痛そうに顔をゆがめたけど、強がるように笑って首を振った。この辺はタフだな。

 案山子(スケアクロウ)が彼を守るように周りを飛んだ。


「ところで、カタオカ……あいつは俺との戦いでもあの獣がどうとか言ってたんだが、何のことか分かるか?」

「……さあ、分からない」


 獣っていうのは多分シューフェン達のことを言ってたんだろうな。

 これは、ライアン達にはまだ知られるとまずいことな気がする……余計なことを言ってくれたな。



 元来た道を戻って地上に戻ると明るい光が目に飛び込んできた。

 いつのまにか空はだいぶ暗くなっていて、周りには照明がいくつか置かれてこっちを照らしている。

 同時に大歓声と拍手が周りから響いた。


「戻ってきた!」

「勝ったのかよ!すげえ!」

「さすが上位帯!」

「お疲れ様です、片岡五位!檜村4位」

「お怪我はありませんか?」


 警官と魔討士の人たちが次々と声をかけてきた。

 後ろでダンジョンの入り口が崩れて行って、跡形も無く消えて元の芝生に戻る。

 とりあえず終わったか。


「ライアン、怪我はないか?」


 スミスが心配そうに駆け寄ってきてライアンの手を取った。


「ありがとう、大丈夫だ……ただ、案山子(スケアクロウ)の殆どを失ってしまった」

「問題ないさ、その辺をどうにかするのは私の仕事だ。とにかく君らが無事でよかった」


 スミスがライアンとハグしてこっちを見た。


「カタオカ、本当に感謝する。ありがとう。支払いの件は近日中に連絡するから、少し待ってくれ」

「いや……別にそれはいいんですけどね」

「そう言うわけにはいかない。これはビジネス、契約だ。君は契約を果たしてくれた。私も契約を必ず守る」


 スミスが生真面目に言う。

 10万ドルなんて貰っても使い道が全く思いつかないぞ。


「グラシアス!!カタオカ!」


 スミスと話していたら横から大きな声がして、マリーサが抱き着いてきた。

 ぎゅっと抱きしめられて、服越しに暖かい体温が伝わってくる。

 ちょっと強めの香水の香りがした。


案山子(スケアクロウ)で映像を見ていたわ……マジでアナタ格好イイのね!」

「ありがとう……でもちょっと離れてくれる?」


 マリーサの顔が間近に近づいて長い髪が触れる……横を見なくても檜村さんの視線を感じる。

 色々と気まずいぞ。


「えー、なんで?じゃあ祝福のキスしていい?」

「それはダメ」


 何となく申し訳ない気がするけど、とりあえずマリーサを引き剥がした。



 突然ですが、拙作「死姫と呼ばれた魔法使いと辺境の最強剣士1」が一二三書房から発売中です。

 本作と構成が似た男女バディもの……まあキャラ構成はだいぶ違いますが。

 

 現在全国書店及び各電書サイトで発売中です。

 気が向いたらぜひ一冊お買い求めください。

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