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魔討士協会の事情・上

 スミスとのやり取りがあった後に色々と調べてみたけど、ライアンたちについては彼等が公開していること調べられなかった。

 ネットの口コミとかSNSの評判は日本語だと妙に良いことばかり書いてある

 ……といっても9割がたは英語で日本語の方はまだ少なめだった。


 英語の方は翻訳をかけてみたけど、活躍を称賛したり励ますようなものもあったけど、日本での活動を揶揄したり、目立ちたがり屋とかのように否定的なものもかなりあった。

 ただ、彼らの行動目的については分からない。


 チマチマと検索かけているよりも日本での活動については魔討士協会に聞く方が早い。

 木次谷さんに連絡したらすぐに会ってくれることになった。

 こういう時はコネがあるのは便利だ。


 土曜日は代々木でセス達とトレーニングして、その後は檜村さんと晩御飯になっている。

 スマホで昨日のやりとりを見た。


 今日は原宿の方の小さなフレンチ系のレストランらしい。

 美味しいから楽しみにしてくれ、ということらしいけど……あまり宣伝してないお店らしく、穴場を見つけたと自慢げなメッセージ。

 久しぶりの二人きりで嬉しいよ、という一文で締められていた。


 しかし、こういうのをどうやって見つけてくるんだろう。

 大学生になると行動範囲も広がって色々分かるようになるんだろうか。


 そんなことを考えつつ何度も通された魔討士協会の会議室で待っていたら、ドアが開いて木次谷さんが入ってきた。 


「やあ、片岡君。あの時以来ですね」


 木次谷さんは何やら疲れたようで、いつもは血色がよくてふくよかなんだけど、今日は疲れた顔だ。少しやせた気もする。

 あのソルヴェリアとのやり取りがどうなっているのか……という情報は全然入ってこない。


 ただ、ダンジョンの向こうの、獣人の国との同盟交渉だ。

 色んな意味で途轍もなく難しい問題なのは分かる。それこそ宇宙人との交渉並みな気がする。 


「今日はライアン、というかチームOZについて、ですよね……そういえば先日5位に昇格してましたが、もう片岡君とも会ったんですね」

「ええ、直接会いに来て、自分たちが先に4位になってやるって言ってましたよ」


「成程……差支え無い範囲になりますが、いいですか?」

「ええ」


「昨年末に日本で活動したいとのことで、資格の申請がありました。アメリカでの討伐実績があったので7位からにしました。初めてのケースだったのでこれも色々とややこしかったんですよ」


 木次谷さんがため息をつきながら言う。

 ……なんかこの人も色々と大変そうだな


「7位スタートとしても、こんなに早く上がれるもんですか?」

「功績点を稼ぐことに徹して定着ダンジョンを攻略する手法ですね。

低い階層のものが多いですが、すでに15個の定着ダンジョンを攻略しています……直近は東金の3階層の八王子系ですね」


 木次谷さんがタブレットを操作しながら言う。

 15個はかなり凄いな。相当無理してる気もするけど。


「最近は八王子系の定着ダンジョンが増えているので助かるのですが……」


 物憂げに木次谷さんが言う。

 そういえば斎会君もそんなこと言っていたな。


「魔討士登録しているのはライアン君だけで防御ユニットはAI制御。

何でも魔討士のチームを自前で雇って、途中まで攻略をサポートさせ、その後はパーティ登録を解除して入り口まで撤退させているようですね」


 富山や仙台では退路確保や万が一のために途中でサポートチームに待機してもらったけど、それを撤退させるのか。

 アクシデントが起きると危ない気がするけど。


「途中まで手を借りてもサポートメンバーがダンジョンの外まで後退すれば、ダンジョン内で戦うのはライアン君だけ。彼がダンジョンマスターを討伐すれば彼の単独での討伐扱いです。

この手法で定着ダンジョンとダンジョンマスターの討伐点を総取りにしている。

サポートメンバーはトラブルがあったときに備えて入り口で待機させているそうですね」

「そんな手がありなんですか?」


 そう聞くと、木次谷さんが頷いた。

 

「現状では規約違反はありません。功績点の稼ぎ方も効率的。単独での討伐のリスクにも配慮しており、全方位に抜かりがない。

行動は組織的ですし、資金も必要です。海外の高校生だけでここまでできるとは思えませんから、恐らくかなり優秀なブレーンが付いているんだと思います」

 

 木次谷さんが呆れたような感心したような口調で言う。

 それがあのスミスなんだろうな。


「多分その優秀なブレーンからこんな話があったんですけど」


 先日の話をすると木次谷さんが顔をしかめた。

 

「それも規約違反ではないんですよね、困ったことに。というかこんなことをやる人が出ることは想定して無かった……ところで片岡君、その」

「ああ、僕は断りました」

「そうですか……良かった。これも対策をしたほうがいいんでしょうかね、まったく」


 木次谷さんが安心したように言って、また悩みの種が増えたって感じで額を指で揉んだ。


 一番に4位に辿り着くことが重要だ、とスミスは言っていた。

 清里さんが1位を目指すのは自分の実力を示すため、と言う感じだけど、あそこまで言うということはもう少し別の理由があるんだろうか。


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