第44話 妖美なる炎王
今回、正式に6人目の仲間が加入します!
やっぱり仲間が増える回はテンションが上がりますね!!!!
時は少し遡り、ガオウが絶体絶命のピンチを迎えようとしている頃……
「〈炎狐〉の眷属化及び進化を確認、新たな名前を設定して下さい」
……来たぁ!
こちらからガオウの様子は見えないが、魂の共有が中断されずに完了したということは何とか耐えきったということか?
とにかく、早く名前を付けてしまわないと!
「よし!お前の新たな名前は……もちろん〈タマモ〉だ!」
『命名〈タマモ〉を確認、設定します……眷属化及び進化を終了します』
進化が終了し、周囲の光が収まる。
……その瞬間、目の前で倒れていたはずの玉藻……改めタマモが飛び出すように駆け出し、いきなりスキルを放つ。
進化前は一本だけだった尻尾の数が目に見えて増えている。
ええと、九本か、ということは〈九尾の狐〉ってやつか?
「……〈獄炎牙〉」
九本の尻尾の内の一本が巨大な炎へと変化し、アシュタリテに襲い掛かる。
見ればガオウはもう満身創痍だった。
その様子にいち早く気付いたタマモは、進化後間もない状態にも関わらずガオウを助けに走ったのであった。
タマモが放った炎は上下に分かれ、まるで猛獣の牙が獲物を噛み砕こうとするかの如くアシュタリテを挟撃する。
「何だぁ!?」
タマモの新スキルをまともに受けて、一気に炎に包まれるアシュタリテ。
「……遅いではないか。待ちに待ったぞ、全く」
「すんませんなぁ。あんたのおかげで命拾いしたわぁ」
タマモの声を聞いたガオウは安堵の表情を浮かべながら、仰向けに倒れ込む。
やはり限界だったようで、もはや立っていることもできないらしい。
「大丈夫かぁ!?」
俺はすぐに駆け付ける。
「魔王様、約束の時間は何とか守り通したぞ……」
「ああ、ありがとう!お前のお陰で助かった。それでこそ……俺たちの仲間だ!」
その言葉に満足気に微笑むガオウ。
とは言え、息は荒く体中からは夥しい量の出血が止まらない。
さすがにこのままでは危ないだろう。
しかし、今の俺たちには回復手段がない……そう考えた瞬間。
「どいとき。〈聖癒炎〉!」
タマモがスキルを発動すると、さっきのとはまた別の尻尾が緑色の炎となりガオウを包み込む。
……すると、ガオウの体から傷が少しずつ治癒して行くではないか。
「か、回復の炎まで使えるのか!?」
「せやねん、何かこの尻尾の一つ一つに違う効果の炎が宿ってもうたみたいやわぁ」
「そ、それって……」
「せやね、控えめに言うて無敵かもしれんな。今のうちは何ていうか……賢者みたいやね」
回復魔法まで使用可能とは……今の俺たちにはピッタリじゃないか。
「ちょっと、〈鑑定〉使って良いか?」
「ええよ、でも急いでな、あいつもうすぐ向かってくるで」
タマモの言葉を聞いてアシュタリテを確認すると、さっきの〈獄炎牙〉を受けて藻掻いてはいるが、すぐに振り払ってしまいそうだった。
これは急がないと……
「行くぞ、〈鑑定〉!」
俺はタマモへ向かって〈鑑定〉スキルを使用する。
名称:九尾の狐
ランク : B
Lv : 1
HP : 1340/1340
MP : 2460/2460
攻撃力 : 570
防御力 : 720
魔法力 : 2490
素早さ : 960
スキル : 炎王の叡智
九尾炎
結界魔法〈Lv8〉
鑑定阻害
炎王の叡智 : 魔王の側近としてその叡智を存分に使いこなす者に発現するスキル、炎系統の攻撃時、与えるダメージを大幅に上昇させる。
九尾炎 : 魔王の力を得て、狐火が進化したスキル、自らの九本の尾にそれぞれ宿る炎を自在に操ることが出来る。
おお、これはかなり強いじゃないか。
何より、九尾炎の万能性が優秀過ぎる。
これであのアシュタリテとも、十分に戦える計算が立った。
ちなみにタマモがを眷属化したことにより、俺の能力も上昇した。
名称 : ヤクモ スメラギ
クラス : 新米魔王
ランク : B
Lv : 38
HP : 3840/3840
MP : 3670/3670
攻撃力 : 3510
防御力 : 3430
魔法力 : 3570
素早さ : 3460
スキル : 魂の共有
鑑定
闇魔法〈Lv8〉
魔王剣
聖魔合一
魔王の盾
魔影鎖縛
魔王砲
魔導炎
魔導炎 : 炎王と魔王の魂が共有された時に解放されるスキル、魔王の力を炎に変え、地獄の炎を放つ操ることが可能となる。
よし、ステータスが軒並みアップしているし、何より新スキルの〈魔導炎〉がかなり使えそうだ。
恐らくこれは〈ダークフレイム〉の上位互換として様々な場面で使用できそうだ。
「ぬぐぐ!また貴様らかぁ!!!」
アシュタリテが〈獄炎牙〉を振り払い、こちらに向き直る。
ガオウも回復し、こちらの戦力は3人となる。
これなら相手がAランクと言えども、何とか戦える。
「よっしゃぁ!行くぞ皆ぁ!!!」
「おおう!!!」
「はいなー!!!」
新たな仲間を加えた俺たちと……混沌の邪神の力を入手し、恐ろしい魔人へと進化したアシュタリテの……
……最後の決戦が今始まろうとしていた。
その者は、怪しく微笑む美しき獣である。
獣ではあるが、その叡智を賭して魔王の力となることを惜しまない。
その知恵は仲間を救い、その魔力は敵を焼き払う。
後に魔王の下で大いなる大魔導士として世界中に恐れられる事になる……
その名は『妖美なる炎王 タマモ』
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