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第17話 ……ご、五天王?

 ガオウが仲間に加わってから、皆で食事を取る事になり、食堂へ移動する。

 ちなみに仲間に加わったばかりのガオウの歓迎会も兼ねるつもりだ。

 見た目はいかついが、やはり新人、他の仲間達とは馴染めていない。

 そのため、ラセツ達との交流を深めるために皆で食事をと思い、企画させてもらった。


 思えばこの食堂に来るのも久しぶりな気がする。

 コックのゴーレムが注文を聞きに来る、


 俺はやはりカレーにすることにした。

 リンネも同じだ。

 この間食べて以来、カレーに病みつきになってしまったらしい。


 コダマは相変わらず水だ。

 いくら進化したとはいえ、基本的には樹木タイプの魔物のため、食事も水で足りてしまうということらしいが、いつか一緒に美味しいものを食べてみたいものだ。


 オボロは、なんと寿司を食べている。

 一度俺が薦めてみたら見事にハマってしまったらしい。

 蜘蛛でも寿司とか食べれるんだなぁ……

 また、よく考えてみたら忍者に寿司って何となく似合ってはいるのか……


 ラセツはやっぱりステーキだ。

 しかも骨付きのTボーンの大きいやつだ。

 物凄い勢いで貪り食っている。


 ……そしてその横で全く同じメニューをムシャムシャと食べているガオウの姿があった。


 「うむ……うむ……!うまい、うまいぞぉぉ!!!」

 「そうだろう、そうだろう!ここのステーキは最高だろう、ガオウよぉ!!!」

 「ああ、俺は今までこんなにうまい肉は食べた事がないぞ、兄者よぉ!!!」


 ……ていうかいつの間にか2人とも仲良くなっとる。

 ガオウがラセツの事を兄者って呼んどる。


 まあ、脳筋同士、息が合うのか?


 食べ終わった後は、肩を組み合い2人でガハハッ!と笑い合っている。


 もはや義兄弟というわけか……


 まあ良いんだけどね。

 暑苦しいけど。


 ……という訳で仲間が5人となって初めての食事も終わろうとしていた頃。


 「ところで、仲間が1人増えたってことは四天王って呼び方も変えちゃうんですか?」


 シオンが新たな火種を投げ込んできた。


 「ん?ああ、そうだな。そういえば全然考えてなかった……」

 「ん~、例えば単純に五天王とかですかね?」

 「……ご、五天王?」


 いや、それはさすがにゴロが悪すぎるだろう……

 ていうか魔王の配下といえば四天王が定番だろう。

 ここは適当に誤魔化しとくか。


 「それはちょっと言いにくいんじゃないか?」

 「ん~それじゃあ五人衆とか……あっ!五連星とかどうですか!?」

 「いや、それもイマイチだよなぁ……まあとりあえず保留で良いんじゃないか?」

 「他にも色々ありますよ!サタンズファイブとか、フィフスデビルズとか!」

 「うるせえ!最後らへんユニット名みたいになっとるだろが!」


 シオンの適当な命名は置いておいて、いずれはこういうのも考えてやらないといけないのかな?

 魔王といえば四天王なんて考えてるのは俺くらいだろうからなぁ……

 皆はどう思ってるんだろうか?


 「ちなみに皆はどう思ってるんだ?」


 まあ魔王たるもの皆の意見も取り入れなければならない。

 全員の意見を聞いた上で最善の提案をするのも良い魔王の条件に違いないからな。


 「ま、まあ我はそのままで良いと思うぞ……」

 「え、ええ、いきなり変えちゃうのもどうかと思うし……」

 「我輩もそう思うぞ!し、四天王に別段拘りは無いんだがなぁ……」

 「……現状維持に一票で……」


 皆めっちゃ四天王に拘ってた。


 何だよ!

 やっぱり愛着湧いちゃってじゃん!

 俺だけかと思ってたわ!


 「あ、兄者よ!俺も仲間に入れてくれるんではなかったのかぁ!?」

 「あ、ああ、まあそれはおいおい……な?」

 「な?じゃないだろうがぁ!!!」


 食い下がるガオウから露骨に目をそらすラセツ。


 「あららぁ、せっかく仲良くなってたのにねぇ……」

 「お前がいらんこと言うからだろうが!」


 他人事のように遠い目でつぶやくシオンに精一杯突っ込んでやった。


 とはいえ、ここで仲が悪くなるのも良くない。

 ここは魔王としてビシッとフォローしないとな。


 「とりあえず!五人の呼び名は保留で!ガオウも、必ず良い呼び名を考えてやるから挫けずに頑張ってくれよな!」

 「……うぐぐ、魔王様にそう言われてしまっては……何も言い返せないではないか……」


 物凄く不服そうに返事をするガオウ。

 納得いかないのはわかるが……

 ううむ。

 ……しばし考える。


 「新たな仲間が出来たらそっちで呼び名を考えたらどうですか?」

 「それだぁ!ナイスアイデア!」


 シオンが現状を打破する一手を放ってきた。

 自分で爆弾を投げ込んでおきながら自ら回収するとは……


 「俺はまだまだ仲間を増やしていくつもりだ!だからその時にもっとかっこよくて最高の呼び方を考えてやるから!……な!」

 「……あ、ああ!あいわかったぁ!このガオウ、その時を心待ちにしよう!」


 まとまったぁ……


 俺と同時に他の四人も安堵のため息をつく。


 「よし!そうと決まればさっさとアランドラへ戻るぞ!エレールも待ってるだろうしな!」


 新たな議題も終了し、俺たちはアランドラへ戻ることにする。

 アランドラまではシオンの転送用魔法陣(ワープポイント)でひとっ飛びで行ける。


 新たな仲間をお供に休息もバッチリ、スタンピード前よりも充実した戦力を蓄えている。

 そんな万全な状態でアランドラへ舞い戻る俺たちを……




 更なる波乱が待ち受けているとは、この時は知る由も無かった……

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