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回復職の悪役令嬢  作者: ぷにちゃん
エピソード6 可愛い弟子の最強計画
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5 サボテンスポット

 冒険者ギルドでの話し合いを終えた私たちは、自由時間を取ることにした。


 各自、ダンジョン〈イフリートのオアシス〉に挑むための準備をするためだ。といっても、主に食料品の買い出しがメインになるだろうけれど。


 ……基本的に支援は私で間に合うし、ポーションもタルトが作ってくれるからね。


 さて、私はどうしようかな。

 一人でバハルの街を歩きながら、何かよさそうなものはないかとキョロキョロしてみる。特に目当てのものがあるわけではないので、食料でも、アイテムでも、装備品でもなんでもござれだ。


「あっ、あれは……っ!!」


 ちょうど私の目に留まったのは、フルーツの屋台だ。

 その名も――〈トロピカルン〉。これはこの地域だけで育つフルーツで、マンゴーと桃が混ざったような味がするらしい。見た目はちょっと林檎に似ている、小ぶりの果物だ。ゲームのときも〈トロピカルン〉がたくさん売られていて、食べたらどんな味がするのだろうと気になっていた。


 ……きっとルルが買い漁ってるに違いないね。


 私はそんな確信をしつつも、自分の分の〈トロピカルン〉も購入することに決めた。


「おばちゃん、〈トロピカルン〉を一〇個ください」

「あら、ありがとう。うちのはとっても甘くて美味しいから、一〇個じゃ足りなくなっちゃうかもしれないわよ」


 なんて、おばちゃんはおちゃめなことを言って笑う。

 私はちょっと遠慮して一〇個と言ったのだけれど、もしかしたらもう少し買ってもいいのかもしれない。〈鞄〉の中に入れておけば、時間経過がないので腐ることもないし長期保存が可能なのだ。


「じゃあ、二〇個お願いしてもいいですか?」

「あら、そんなに買ってくれるのかい? もちろんよ、ありがとう」


 残っていた〈トロピカルン〉ほとんどの量になってしまったけれど、おばちゃんは早く捌けて助かるよと機嫌よく豪快に笑う。


「仲間と一緒にいただきますね」

「ええ、楽しんでちょうだい」


 〈トロピカルン〉を二〇個受け取って、私はぽいぽいぽいと〈鞄〉に入れていく。


 対外的には魔法のカバンを持っているということにしている。一応〈冒険の腕輪〉も広がってはきているけれど、まだまだ知らない人も多いのであえて公にしたりはしない。

 私は「ありがとうございます」と挨拶をして、屋台を離れた。



 ……さて、次はどうしようかな?


 せっかくバハルに来たんだから、色々観光したいところだ。私はうーんと悩む。今は現実世界になっているので、ゲームの時のように好き勝手いろんな場所に出入りすることは難しい。


 不法侵入なんてしたら、冷たい目で見られるどころか、一瞬で通報されてしまうだろう。


 ……そういえば、砂漠の花が咲いてる場所があったね!


 あんな絶景ポイントを失念していたとは、なんたることか。私は街中を散歩するように、街の端まで歩き始めた。



 太陽の光を受けてキラキラ光る砂が眩しく、大きな石もいくつか転がっている。からっと乾いた暑い空気で、サボテンの花の匂いが鼻に届く。

 ここは街と砂漠の境目で、綺麗な花が咲くサボテンがいくつも生えているのだ。ゲームではサボテンスポットなんて呼ばれていて、ここで待ち合わせをするプレイヤーも多かった。


「うわああ、大きなサボテン! ゲームでは何度も来たけど、本物は迫力が違うなぁ」


 実際にサボテンを見てみると、私の身長を優に超えた大きさのものがいくつもあった。上を向かないとサボテンのてっぺんが見えない。


 てっぺんに咲く花はピンク色のとても可愛らしいもので、まるで花冠をつけているかのようだ。

 サボテンの合間を縫って歩いていくと、大きいものだけではなく、私の手のひらサイズの小さいものなどもあった。大小様々なサボテンがあり、観光スポットとしてはとても魅力的だけれど――さすがに長時間いると熱い。


「ふぅ……。あんまり長時間いるのは無理だね」


 私は軽く一周してから、慌てて宿屋へ戻ったのだった。



 ***



 バハルの宿に泊まって翌日、朝の支度をしているとタルトが声をかけてきた。


「お師匠さま、今日の髪は私に結ばせてくださいですにゃ」

「じゃあ、お願いしようかな」

「はいですにゃ!」


 タルトは私の髪を丁寧に手ですくい、くしでとかし、サイドに軽く編み込みを入れてポニーテールにしてくれる。これから行く〈イフリートのオアシス〉はとても暑いため、髪を結んでいくのだ。そうすると、少しだけど暑さがマシになる。

 私の髪を結んでもらったら、次はタルトたちの髪も結んであげる。私がタルトの髪を、ココアがルルイエの髪を結ぶ。


「いつもの伸ばした長い髪も可愛らしいけれど、結んだ髪もとっても可愛い」

「ありがとうですにゃ」

「ルルの髪も艶やかでとっても綺麗」

「ありがと」


 このパーティは女子が多いので、華やかでとてもよいね。

 食堂で朝食を取り、早速ゲートを使ってオアシスの近くの村フュールに立ち寄り、ダンジョンへ向かった。




 ダンジョン〈イフリートのオアシス〉に入ってすぐ、ケントが念の為にと今日のことを確認してきた。


「ここはいつも素材採取できてるけど、今日は攻略だけでいいんだよな? ……でも〈火のキノコ〉とかがあったら採取しながら行くか?」


 早く攻略すべきだが、素材があったら採取したい気持ちもあるようだ。わかるよ、その気持ち。歩いているときに素材を見つけたら、そっと採取しちゃうよね。たぶん、誰しもそんな経験はあると思う。


「うーん、そうだね。もし余裕がありそうだったら歩きながらか戦闘中に採取しようか」

「了解!」


 前衛のケントが立ち回りを確認し、もし余裕があれば採取しながら進むということで話がまとまった。


 いつもこの〈イフリートのオアシス〉には素材の採取にばかり来ていたので、攻略することは今回が初めてだ。

 ここは三階層まであるダンジョン。一階層はいつも素材を採取していて、そんなに強いモンスターは出てこない。〈火炎瓶〉の材料になる〈火のキノコ〉が生えているので、私たちは何日かここに通っていた。

 二階層になると一気にモンスターが強くなる。そしてすでにもう暑い一階層よりもさらに暑さが増すので、そこにいるだけでも厳しい状態になるだろう。水はたくさん持ったし、氷も用意してきた。休憩もこまめに取らないと先に体が参ってしまうだろう。二階層は、そんな恐ろしい場所だ。

 そして三階層は、ダンジョンの名の通りオアシスがある。そしてその奥にボス〈イフリート〉がいるのだ。


「んじゃ、出発するぞ」

「「「おおー!」」」

「にゃー!」



 散歩でもするようにのんびり歩いていると、「あ」とココアが足を止める。そして同時に、少し先にモンスター〈フレイムストーン〉が見えた。


「〈火のキノコ〉があるよ」

「じゃあ、モンスターは俺とルルで対処するから、ココアたちは採取しておいてくれ」

「わかった」


 モンスターの相手を全員でする必要がないので、戦闘と採取に分かれるという流れが出来上がった。

 戦闘はケントとルルイエ。採取はタルトとココア。私は周囲を見回して追加のモンスターが来ないか確認したり、見張り役のようなものも兼ねている。もちろん回復もだ。


 ケントが〈挑発〉スキルを使って敵のモンスターの注意を引きつけ、そこにルルイエが〈ダークアロー〉をお見舞いし、いとも簡単にモンスターを倒してしまう。

 モンスターを倒すより採取の方に時間がかかってしまうくらいだ。

 でも今日の目的は採取ではなくイフリートなので、戦闘が終われば採取をやめ、切り上げて先へ進む。〈火のキノコ〉があるのに採取できないのはちょっと勿体無いけれど、またくればいい。


 そんな調子で、私たちはさっくり二階までやってきた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >その名も――〈トロピカルン〉。これはこの地域だけで育つフルーツで、マンゴーと桃が混ざったような味がするらしい。見た目はちょっと林檎に似ている、小ぶりの果物だ。ゲームのときも〈トロピカ…
[良い点] >大小様々なサボテンがあり、観光スポットとしてはとても魅力的だけれど――さすがに長時間いると熱い ゲームでは、美味しそうな果物は味わえませんが、砂漠にいても暑くはない・・・『リアズ』の知…
[一言] 更新お疲れ様です。 〈大きな桃〉の次は〈トロピカルン〉ですかww 現実世界のトロピカルフルーツの女王といえばマンゴスチンですケド、サイズ的にあんな感じですか? 美味しそうなフルーツや食材は…
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