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武器屋

仕事………ダルい。

「ヒナ様~‼」


私が早く仕事を終わらせて街に買い物に来ているとナラハに声をかけられた。

私服のナラハは茶色のロン毛を一つにまとめ、焦げ茶色の瞳を細めて私に手をふっている。

はっきり言って逃げ出したい。

ナラハの腕にしがみついたプラチナブロンドの美少女が私を睨み付けているからだ。


「ヒナ様!メシまだなら一緒にどうですか?」

「ナラハ、あんた女連れでよく私の事誘ったな‼勇者だよ‼いや、バカなだけ?」

「え?二人っきりが良かったですか?それなら今から二人で!」

「いやいやいやいや、って言うかバカ!こんな可愛い子とデートしてるならデート楽しみなよ‼」

「ハンナとは何時でも遊べるけどヒナ様はあんまりかまってくれないじゃないですか!だから、ヒナ様が二人きりが良いなら俺は…」


私はナラハを睨み付けると言った。


「自分が連れてる女もまともにエスコート出来ないやつとデートする気なんて無いよ‼バカナラハ‼ハゲろ!」

「え?ひ、ヒナ様?」

「ハゲろ!」


私はそれだけ言い捨てて歩き出した。

それから暫くウィンドウショッピングを楽しんでいると一番隊の団長のロンシャス様が居るのが見えた。

武器屋の前で腕をくんでいる。


「ロンシャス様?」


私の声にロンシャス様はビクッと体を跳ねさせてから、私を見た。


「ヒナさん。」

「なにか悩みごとですか?」

「い、いえ、僕の手持ちの剣を研ぎに出していまして………」

「研ぎ待ちですか!」


ロンシャス様はオロオロしながら言った。


「ヒナさんは……その……剣術とかはしないのですか?………いや、あの………」

「剣術って言っていいかは解りませんけど剣道なら。」

「けんどう?」

「剣術の基礎みたいなものかなぁ?」


私が武器屋をのぞくと懐かしいものが目に入った。


「あっ、竹刀がある。」

「竹刀は剣術の稽古を始める一番最初に手にする武器です。」

「へー次は木刀?」

「はい。」


その後、私とロンシャス様は武器屋の前で剣術や体術などの話で盛り上がった。

暫く話ていると、店の中から厳ついオジサンが出てきてロンシャス様に向かって言った。


「団長さん、終わったよ。」

「え?早かったですね?」

「何時もとおんなじだ………女と武器の話をするなんて色気の無い人だ。」


呟かれた言葉にロンシャス様はハッとして私の方を見た。


「すみません‼ヒナさんとの話が楽しくて、自分が話しやすい話ばかりしてしまって!」

「楽しかったなら良かったです。私もスッゴク参考になりましたよ。竹刀買おっかな?木刀の方が良いかな?」


私は店の中に入ると竹刀を手に持った。


「お嬢ちゃん」


店の主人のオジサンが私を睨んだのが解った。


「この店は冷やかしに入る店じゃない。護身用なら女が出入する店に行きな。」


私の見た目のせいかオジサンは私に店をうろちょろされたくないみたいだ。


「なにやってんだヒナ。」


そこに現れたのは副団長だった。


「副団長こそ。」

「気合い入れてアイツラしごいてたら折れた。」


副団長の手には折れた剣が握られていた。

しかも、折れるような厚みには見えない剣だ。


「なにやってるんですか。」

「アイツラ、ヒナヒナ煩いから黙らせた。」

「マジでなにやってるんですか。」


練習場が今どうなっているのか凄く気になる。


「竹刀、欲しいのか?」

「竹刀にしようか、木刀にしようか悩んでたら冷やかしと勘違いされました。」

「剣術も出来るのか?」

「嗜む程度には………弓も弾けますよ。」

「無敵か‼」


副団長に呆れた顔をされた。


「魔法は使えませんよ。」

「大抵の人間はそうだ。」

「じゃあ、ミッちゃんは凄いんだ。」


私は心の妹の凄さにニマニマしてしまった。

副団長は更に呆れ顔だ。


「ヒナさんは本当に実力で二番隊入りしたんですね。」

「ロンシャス、ヒナは二番隊だがバイトだ。最前線には出ない仕事は書類整理だけだ。」

「へ?」


ロンシャス様は目を大きく見開いた。


「だ、だってエリックを軽々と土に沈めたのに?」

「あれは、エリックが私を見くびっていたからですよ。真面目に戦ったらどうか解りませんよ‼煽って挑発しまくった結果ですからね。」

「ただのバイトで雇ったのにうちのしたっぱなんかより数倍強いから困る。」


そんな事を言っていたら外が少し騒がしくなって来たのがわかって外を見た。

そこに居たのはさっきナラハと一緒に居た美少女とその子にまとわりつく三人組の男達だった。

ナラハはどこ行った!


私は副団長に向かって言った。


「竹刀にします。ちょっと野暮用なんで、副団長お会計お願いします。」

「二番隊の経費で落としてやる!それより、ストラにまた怒られるぞ!」

「女の子助けるためなら許してくれます………やりすぎなきゃ………」

「ヒナは手加減苦手だろ?」

「やりすぎない程度に止めて下さい。」

「善処しよう。」


私は副団長にヒラヒラと手をふって、ナラハの彼女のもとへいそいだ。

マイナンバー来ないんですけど?

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