ラブラブend
最終回です。
朝起きて最初に思ったのは昨日の出来事は全部夢だったんじゃないか?だった。
夢だとすれば副団長は私の彼氏では無いし、キスだってしていない事になる。
………それは嫌だな。
キスは驚いたけど、嫌じゃ無かった。
プロポーズだって嬉しかった。
それに、何より私は副団長が好きだ。
好きな人が好きだって言ってくれたんだ………
私はベッドの上でバタバタと暴れてから、虚しくなって着替えることに決めた。
朝御飯を食べ終えてから、訓練場に行くと皆が副団長を囲んで文句を言っていた。
「何で副団長がヒナ姐さんに……き、キスとかしちゃうんですか‼」
「「そうだそうだ‼」」
「ヒナ姐さんに何言ったんですか?」
「俺もヒナ姐さんとキスしたい!」
副団長言わないよね?
私はモヤモヤしながらそれをコソコソ覗いた。
「言うわけないだろ?ヒナに嫌われたらどうしてくれる?」
「「副団長はちょっとぐらい嫌われた方が良いだろ~‼」」
「殺すぞ。」
「「「怖いよ~‼」」」
私は思わずニマニマしてしまった。
「ヒナ姐さんは副団長一人のものじゃないんですからね‼」
「………」
あれ?副団長?
私は隠れるのを止めて言った。
「こら!そこ‼」
「「「ヒナ姐さん‼」」」
副団長は何時もと変わらない顔で私を見た。
「ヒナ姐さんも副団長に言ってやってくださいよ~‼」
私は副団長に近寄ると胸ぐらを掴んだ。
「昨日言った事は無かった事にして良いの?」
「駄目だ。」
私はそのまま副団長を引き寄せキスをした。
キスをする瞬間、副団長と目が合う。
副団長の驚いた顔が面白い。
暫く副団長とキスをしたあとゆっくりと離れて私は言った。
「ご馳走様。」
私はそれだけ言うとその場を後にしようとした。
「ヒナ。」
副団長に呼び止められ振りかえると団員の皆が呆然としているのが見えた。
「足りない。」
「馬鹿!」
副団長はニヤッと人の悪い笑顔を作ると言った。
「お前ら、ヒナは俺のになったから手を出したら噛み殺す。以上。」
団員達の絶叫が訓練場に響き渡ったのは、やっぱり私のせいだろうか?
その日の夜、副団長が私の部屋に来た。
「団員達の殺意が半端ない。」
「じゃあ、別れる?」
「絶対に嫌だ。殺意なんかで諦められるような安っぽい気持ちだと思われたら困る。」
副団長のために作った大量な角煮を副団長の前に置きながら私は言った。
「私も嫌だな。副団長の事好きだし。」
「………副団長は止めないか?」
「ウルガルド?ウルさん?ウル?使い古された名前で呼ばれたいの?」
「………」
副団長は口に角煮を詰め込んでモキュモキュ食べていてしゃべれそうにない。
「何が良い?副団……」
副団長は口に入っていた角煮を食べ終わると私にキスをした。
「旨い。」
「角煮は得意だから………って食べた後にキスするの止めてよ!角煮味のキスとかムード無さすぎ!」
「すまん。つい嬉しくて。」
「また、つい?」
「ウルドなんてどうだ?誰からも呼ばれたことがないぞ。」
副団長はついが多すぎじゃないだろうか?
「ヒナギクが可愛いからついつい手を出したくなるんだ。」
「!」
副団長が甘い笑顔を私に向けてくる。
ああ、もう可愛いのは副団長の方でしょ?
キスしたくなる気持ちも今解ったよ。
「じゃあウルド、獣化して。」
「何でだよ。」
「獣化したウルドが好きだから。」
「あまり見せるものじゃないと言ったはずだが。」
「だってフワモコ触りたい。」
「なら、隅々まで触って良いから触らせろ。」
い、いや、それはどうなの?
いや、私が言ってる事と変わらないんだよね?
胸触らせろ‼って自分だったらヤバイよね?
「どうする?」
「ど、どうしよう。」
「触って良いぞ。」
そう言うと副団長はさっさと獣化して大きな口に角煮と煮たまごを放り込んでいる。
「じ、じゃあせっかくだから。」
私は副団長に抱きついた。
「本当に変な女。」
副団長はそう言うと私を強く抱き締めてくれた。
副団長の胸元に顔を埋めてスリスリしてみた。
「同じ事して良いか?」
「………駄目。」
私はギュッと副団長にしがみついた。
「我が儘だな。」
「ごめんね。」
「良いよ。こうして抱き締められるだけでも幸せだ。」
私が感動していると、副団長はポツリと言った。
「悪い、嘘ついた、本当はすぐに抱きたい。」
一応聞こえないふりをしたのは言うまでもない。
こうして私は副団長とラブラブになった訳なのだが………
一線を越えられるのはいつになるやら。
私は副団長に抱きつきながら次はどんな料理を作って胃袋を掴んでやろうかと思案するのだった。
今年最後の投稿で最終回をむかえられました‼
おまけも書こうとちょっと思っているので、完結済にはしません。
今まで読んでくださった皆さまありがとうございます‼
皆さま、よいお年をお迎えくださいませ‼




