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怪しい会と髪の毛と……   ランドール団長目線

ヒナちゃん目線にしようと思ってましたが、書いてみたら終わってしまったので書き直しました。

「第1回ヒナ姐さんの傷心をどう癒すか考える会を始めたいと思います!」


コイツらはまた変なことを企画しているな。

俺は団員全員参加を希望されている怪しい会に出ていた。

昨日の事件でヒナが髪の毛を切られた事を知った団員数名が企画した怪しい会だ。

見ればウルガルドも参加させられている。

昨日、ヒナが目覚めた後何も無かったのだろうか?

アイツのポーカーフェイスは完璧過ぎて困る。


「ヒナ姐さんは昨日人拐いに会い自分の身を守る為に女の命の髪の毛を切りその場を切り抜けた‼が、しかし!媚薬を飲まされた!………副団長!あってますよね?」

「ああ。」


団員全員がウルガルドを睨む。


「なんだ?」

「いや、あの、傷心のヒナ姐さんを副団長がその………あれを、あれな事をしたと………」

「ヒナの妹のストラーダと魔導神であるライガイヤ殿に力を借りて、薬の効果を消してもらった。俺は運んだだけだ。」


団員達が疑いの目をウルガルドに向けている。

可哀想な事にウルガルドの言っている事は真実だ。


「兎の獣人の子供達によると、姐さんは獣人に怯えることなく子供達が怖がらないように抱き締めて頭を撫で撫でしてくれたとの証言がとれている‼」

「「「姐さん!」」」


獣人の奴らが目をキラキラさせている。

馬鹿だなコイツら………嫌いじゃないがな。


「しかも、副団長の獣化にも怯えなかったらしい‼そんな女性が今まで居たか?いや、居なかった‼俺は姐さんに告白する‼」

「フラれろ~‼」


回りの奴らも目をギラつかせていた。


「ヒナはフワモコが好きなだけみたいだったぞ………」


ウルガルドが小さく呟いた。


「?」


皆の視線がウルガルドに集まった。


「………お前ら、ヒナはただ単にフワモコを堪能したいだけだから無闇に触り返したら嫌われると思うぞ………」

「副団長は………触り返したんですか?」

「触られたが、触ってない。」


ウルガルドは何時もと対して変わらない調子で話ていたが、何だか羨ましい状況があったのは解る。


「副団長ずるい‼」

「そうだそうだ‼副団長ばっかり!」


ウルガルドは団員から視線をそらして言った。


「お前らは、ヒナのあの姿を見てないから言えるんだ。」

「「「は?」」」

「媚薬のせいで色っぽい顔見せられた後に、触ったら嫌われると解っていて触られるんだぞ?俺は頑張ったと自分を誉めてやりたい。」


その瞬間その場に居た全員が自分だったら………と考えたのは言うまでもない。


「「「「可哀想。」」」」

「むしろ、誉めてくれ………」

「「「「副団長偉い‼」」」」


まあ、あのオヒナはすげー色っぽかった。

ウルガルドが思わず尻尾フリフリしちゃうぐらいだからな‼


「お前は偉いよ。」


思わずウルガルドの頭を乱暴に撫でてやると、鬱陶しそうに手をはらわれた。


「それよりも、ヒナ姐さんの美しい髪の毛が切られてしまった方をどうするか?ですってば‼」

「そうだった………どんぐらいの長さ何だ?」


ウルガルドはゆっくりと言った。


「肩上ぐらいだったか?」


全員が深いため息をつく。

女性の結婚の時に必要な長さは肩下から20センチ以上じゃないとだからな。


「あれはあれで似合っていたがな……」


ウルガルドは苦笑いを浮かべた。

今のままではオヒナがあまりにも可哀想だ。

団員全員が頭を抱えたその時だった。

コンコンっとドアをノックする音がした。

ドアを開けると、そこには床まで一直線にのびる髪の毛の束のお化けのようなものがいた。


「「「「ぎゃー‼」」」」

「悲鳴とか失礼!副団長居ない?」


声を聞いたウルガルドが髪の毛のお化けに近寄りそれをかきわけると、ソコにはオヒナが入っていた。


「お前………どうしたこれ?」

「ライガイヤがみっちゃんにたのまれたって言って髪の毛をのばしてくれたんだけど、このまま放置された。自分で揃えらんないから副団長やってください!お願い!」


全員が深いため息をついたのは仕方がないと思う。






皆の前で髪の毛を切り揃えられたオヒナは何時もより20センチほど長くなった髪の毛をなびかせて、くるりと回ると俺達に笑顔をむけた。


「ありがとうございます‼」


本当にオヒナは可愛いな~‼

俺がほのぼのとしていると一部の獣人団員達が獣化してオヒナの前に並んだ。


「撫でて撫でて!」

「お前は引っ込んでろ!撫でるなら俺が!」

「僕はミンクなので触り心地最高ですよ!」


などなど、いろんな事を言っている。

当人のオヒナはそれをキョトンとした顔で見ると言った。


「下心丸出しで来られると触る気うせるな。」


獣人達のその中で、飛び出したのはミンクの獣人だった。

オヒナに抱き付き言った。


「ヒナ姐さん!触って!」


回りから殺意のオーラが立ち上がった。

オヒナはミンクの頭を撫で撫でした。


「うわ!スッゴい触り心地!」


その後のヒナはうっとりした顔を作るとミンクの頭を鷲掴みにすると言った。


「全部むしってコートにしたい。」


ミンクが震え上がったのが解った。

アイツ、殺る気だ!

見れば獣人達もザッと音がしそうなくらいに後ずさっていた。


「私のコートになりたいヤツは居ないの?残念。」


あれだけ浮き足立って居た奴らが借りてきた猫のように大人しくなったのは笑えた。


「ほーらお前たち‼仕事に戻れ~‼」


ひとしきり笑ってから団員達に持ち場に戻るように言うと、皆ワラワラと部屋から出ていった。


「オヒナ、大丈夫か?」

「はい!皆には心配をお掛けしてしまってすみません。」

「大丈夫だ!オヒナが無事で何よりだ‼暫くだったらウルガルドを貸してやっても良いがどうする?」

「団長!」


ウルガルドが慌てるのを無視して聞くと、オヒナはクスクス笑った。


「副団長には昨日いっぱい癒してもらったので大丈夫です!私も仕事してきま~す!」


ヒナはそう言って部屋を出ていった。


「………癒す…ね~………何があった?ウルガルド!詳しく話せ!」

「………」


ウルガルドは物凄く嫌そうな顔をして言った。


「獣化させられて撫で回されただけだ。」

「撫で回された?どこを?」

「どこって………上半身。」

「下半身は?」

「馬鹿か?」

「ウルガルドの狼の部分をこう………」


ジェスチャーを踏まえて言う。


「虚しくなるから止めろ。」

「お前………可哀想だな‼」

「………俺もそう思う。」


珍しく項垂れたウルガルドを見ながら俺はニヤニヤしながらウルガルドの頭を撫でたのだった。



息子が朝から吐いてしまいまして可哀想だ。

学校お休みです。

私も休みました………可哀想。

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