ヒナとウルガルド ランドール隊長目線
団長目線です!
オヒナが俺達の隊に来て結構な時間がたった。
目に見えて言えることは、オヒナが普通の女じゃ無いって事。
綺麗で妖艶、腕っぷしが強く姉御肌。
スタイル抜群で笑うと滅茶苦茶可愛い‼
ハッキリ言って高嶺の花も良いとこだ。
目に見えない変化を見せているのはウルガルド。
何時もと変わらない仕草に変わらない訓練。
変わらず姉思いで隊員に容赦がない。
そんなウルガルドは髪フェチだ。
隠しているみたいだが、何となくオヒナの髪に触れる時には嬉しそうなオーラが出ている気がする。
ウルガルドが本気でオヒナを好きなら俺がオヒナに恋心を持っても意味が無いだろ?
それにウルガルドは俺の部下である以前に親友だ。
ウルガルドがオヒナを好きなら応援したい。
ウルガルドは好きな者を作るのが苦手だ。
ウルガルドと言う人間は心の奥底ではとても臆病で………
本当の自分を好き人に嫌われたら?って怯えている。
だからこそ、ポーカーフェイスばかり上手くなって………
オヒナの前では結構ゆるんでいるか?
ウルガルド以前にオヒナは普通の女じゃない。
普通の女じゃないからこそ、ウルガルドを好きになればいいと思っている。
勿論オヒナが俺を好きだと言うならウルガルドに譲ってなんてやらないが………まず、それは無さそうだ。
オヒナはウルガルドが好きとは思えないが、ウルガルドの事を本当に信頼している。
他の男達は………それ以下以外にしか見えないからだ。
まあ、そのうち好きになるだろ?
ウルガルドは男の俺から見ても良い男だから………
「助けて~‼」
こいつ、さっきの獣人のガキ?
「もう、迷子になったのか?早すぎだろ!」
「ママが‼………変な男に変なのシュッてされて麻の袋に入れられて………ママが、ママが………」
俺は眉間にシワを寄せた。
獣人の女や子供は拐われやすい。
とくに女。
獣人の女は顔が整っていて年齢を感じさせないから、薬で従わせる事がある。
そのせいか、娼婦のほとんどが獣人の女だったりするのがこの国の実状だ。
回りに居た団員達も苦い顔をした。
「騎士団のお姉さんも一緒に連れていかれちゃった‼ママとお姉さんを助けて下さ………」
騎士団のお姉さん!
ヒナって事か!
回りに居た団員数人の耳が一気に獣化した。
二番隊には魔力持ちの獣人が結構居るんだ。
そして、肉食獣の類いは強い女に惹かれる。
ヒナは獣人の団員達にモテモテだ。
いや、獣人だけじゃ無いか。
だからこそ、一緒に狙われたに違いない。
「団長!俺が匂いで追います!」
たれた犬耳のマックスが手を上げた。
獣人は魔法で獣化をおさえなければ、獣としての能力が使える。
犬の嗅覚は凄い。
俺がマックスに指示を出そうとしたその時、肩にポンと手が置かれた。
………ウルガルド。
「先に行く。」
俺は顔がひきつるのが解った。
「お、おい!ウルガルド‼」
声はかけたが、ウルガルドは振り返らなかった。
「暴走し過ぎて、オヒナに怖がられんなよ!」
俺が叫ぶとウルガルドはヒラヒラと手をふって見せ、その場を後にした。
「団長………副団長は大丈夫なんですか?」
マックスが心配そうに呟いていた。
「ああ、大丈夫だ!心配するな………そんなことより、オヒナはウルガルドを見て引かないと良いがな。」
さっきのウルガルドの顔は誉められたものじゃ無かったな。
オヒナは普通の女じゃない。
だが、あのウルガルドの顔を見ても怖がらないか?と言われたら疑問だ。
百年の恋もさめそうなあのウルガルドの顔にオヒナはどんな反応をするのか………
これで嫌われでもしたら、ウルガルドは二度と恋なんてしなくなっちゃうんじゃないか?
ああ、オヒナ………ウルガルドを嫌わないでくれ。
俺は親友の事を思い、神に願わずには居られなかったのだった。
副団長キレてます。




