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権力とは振りかざす物なのか?

最近会社が居たたまれない。

その日、私は団員の数人とお昼ご飯を食べに来ていた。


「姐さん何食べたい?」

「肉かな?魚も嫌じゃないよ‼美味しいもの食べたい。」

「「「任せて!」」」


睨み合う皆に苦笑いを浮かべた時、3歩後ろをとぼとぼと歩くナラハが見えた。


「ナラハ、どうしたの?元気ない?」

「ひ、ヒナ様~!」


ナラハは感極まったように私を抱き締めた。

痴漢行為だとぶん殴った方が良いのだろうか?

私がチンタラ迷っているうちにナラハは思いっきり私の胸に顔を埋めて来た。

勿論容赦なく男性の大事な所に殺意満天の膝蹴りをお見舞いした。

踞るナラハに妖艶に笑いかけながらが言った。


「殺して欲しいの?」

「っ………」


ナラハのHPは声が出ないほどの減り方をしたようだ。

私は踞るナラハの頭をナデナデして続けた。


「セクハラしないなら、話聞くよ?」


私達のやり取りを見ていた他の団員達が怨めしげに言った。


「ナラハが凹んでいるのは妹と喧嘩したからだよ!」

「俺も姐さんのおっぱいにスリスリしたい。」

「金蹴りだぞ!良いのか?」

「本望だろ‼」


私はゆっくり団員の方を見ると言った。


「金蹴りだけしてあげようか?」

「遠慮します‼」


私はニコッと笑うとナラハに視線をもどした。


「ハンナちゃんと喧嘩?何したの?」

「な………なにも………」


他の団員に視線をうつすと苦笑いを浮かべながら教えてくれた。


「どっちが姐さんを好きかで大喧嘩らしいっすよ‼」

「………しようもな!………ナラハ………」


私はゆっくりナラハの頭をまたナデナデしながら言った。


「私からしたら、ナラハもハンナちゃんも同じぐらい好きだよ。」

「ヒナ様!」

「ミッちゃんには遠く及ばないけどね!」


ナラハはその瞬間ピクリともしなくなった。

他の団員達は燃え尽きたようなナラハを肩に担いで運んだ。


「ヒナ姐さんは容赦ない。」

「ドSだ。」

「そこがまた良い!」

「………ちょっと解る自分が怖い。」


私は皆の台詞をスルーした。






ご飯の帰り道一番隊の団長のロンシャス様が貴族っぽい女性数人に絡まれているのを見かけた。


「ロンシャス様はモテモテだね。」


小さく呟いた私に、隊員の皆が言った。


「一番隊団長はこの国の宰相様の弟だからさ!」

「宰相様はウィンシャス様って言って怖いんだ!」

「貴族の未婚の女性は皆目の色変えて追いかけ回してるよ!なんせ、ウィンシャス様よりロンシャス様の方が優しそうだからさ!」


へ~。

私には何ら興味の無い話だった。


「宰相様ってストラーダちゃんと仲良いよ!」

「へ?」

「たまに一緒に甘いものを食べに行くってストラーダちゃんが言ってたな!」


婚約者とじゃないの?

私が首をかしげると、他の団員が続けた。


「確か、魔導神様は甘いものが苦手じゃなかったか?」

「だから、嫌がらせに買って帰るんたって悪戯っ子の笑顔で言ってて可愛かったよ!」

「さすが、姐さんの妹!」


おい!

なんで、その会話から『さすが、姐さんの妹』のくだりが出てくるんだ‼

私が納得いかない気持ちで居るとロンシャス様と目があってしまった。


「ヒナさん!」


呼ぶなよ~‼

私の声にならない叫びなどお構いなしにロンシャス様は私の方に歩いて来た。


「ロンシャス様、何か?」

「ウルガルドにこの書類を届けてもらえないでしょうか?」

「良いですよ!この書類、何なんですか?」

「………あの、」

「言いづらいなら良いですけど?」


ロンシャス様は私の耳を両手で覆うようにして内緒っと言うように小さく呟いた。


「モアさんへの恋文です。」

「‼」


私は思わず受け取った茶色の書類を入れる用にしか見えない封筒とロンシャス様を交互に見た。

厚みだってB5ぐらいの封筒に結構な量が入っているような感触だ。


「重いよ。」


ロンシャス様は苦笑いを浮かべた。

いや、モアさんは美人だ!

そりゃモテるだろ!

けど、この量のラブレターは流石に引かないか?


「重すぎるって!」

「自分でもそう思います。」

「じゃあ、止めよう!って気は無いんですか?」

「………」

「………とりあえず、この兼は副団長に預けると言うことで?」

「あ、はい。」


モアさん、引かないで居てあげて!

私はそんな事を思いなが、ラブレターの入った封筒を抱き締めた。


「ちょっと貴女!何者?」

「そうよ!ロンシャス様のお使いなら私がやるわ‼」


はっきり言ってこんなヤバイ(変態と紙一重)な手紙の束を、信用の置けない人物に預けるなんて無茶だ。

この、ロンシャス様の事が好きな女達が開けない保証があるのだろうか?


「それに、相手があの優しいウルガルド様だなんて‼よこしなさい!」



「姐さん、副団長も貴族女性にモテモテなんすよ!」


………な、何だろう?ちょっとモヤっとした。


「………私は、二番隊で働いてる者です!副団長へのお使いを任されたのは私です‼」


貴族女性達は私を見下すように見ると言った。


「ただの二番隊員のクセに、フフフフ。」


カッチーン


「貴族がなんぼの物か知らないけど、好きな男からも信用してもらえずお使いすらまともに頼まれないなんて御愁傷様!」

「な、何ですって!」

「悔しかったら、二番の入団試験を受けてみたら?二番隊に入団出来たら謝ってあ、げ、る!無理だと思うけど‼ちなみに、二番隊の入団試験したらうちの副団長を優しいだなんて言ってられないと思いますけどね!」


ぷるぷるとしながら怒りのオーラを立ち上らせる貴族女性に私は妖艶に笑って見せた。


「家が偉いからって自分まで偉いと思えるなんておめでたい頭の持ち主では到底、我が隊ではやっていけないけどね!」

「貴女何様よ!」

「貴女達の様に他人の力を借りるなら、魔導神の義理の姉かしら?」


全員が怯んだのが解った。


「あれ?ヒナちゃん呼んだ?」


そこに、つむじ風の様にライガイヤが笑顔で現れた。


「どっかで聞いてたわけ?」

「いやいや、道君が宰相とケーキバイキングに行っちゃったからヒナちゃんに道君の秘蔵写真を横流ししてもらおうと思って!」

「携帯こっちで充電出来ないから無理!」

「そんな!充電出来るように電気引くから!」

「現像も出来ないし携帯の電波も無いから見せるだけね‼」

「………ひ、ヒナちゃん、いや、ヒナ様!」

「うん、携帯のメモリーはミッちゃんだけじゃないから携帯をあげるなんて事も無理!」

「ヒナちゃん~そこをなんとか!」


私はニコッと笑うと言った。


「一番やらしいやつを見せてあげるからライガイヤの持ってる権力振りかざして、あの貴族をどうにかして!」


ライガイヤがチラリと貴族女性達を見ると、貴族女性達は真っ青になって逃げ出した。

ライガイヤ、使える!

こうして、ライガイヤはミッちゃんが構ってくれないと私の所にくるようになったのだった。

会社の愚痴を活動報告にのせても良いでしょうか?………

誰かに言いたい‼

うちの会社のリアル乙女ゲーヒロインの話を………

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