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ヒナの秘密  ウルガルド目線

家族と過ごす時間が苦痛だと感じる。

解っていた。

ヒナを使いにやれば俺の家族が勘違いすると。

それとは別に一人でも多く、ヒナの味方になってくれる人が居たら良いとも思った。

俺の親、元騎士団長で貴族とも繋がりのある父と下町の魔女と呼ばれる薬と魔法で何人もの命を救ってきた母。

姉であるモアも王宮務めでもぎ取った人脈は凄まじい。

俺の家族と繋がればヒナがこの先困る事があっても、誰かが助けてくれるだろう。



………それにしてもだ。

ヒナを俺の彼女だとは、モアも母も思っていない。

ただ、ヒナを気に入って俺とくっつけたいだけだと俺も解っている。

に、しても………ヒナの笑顔が引っかかる。

俺とモア達の会話に眉を少し下げた………なんとも言えない笑顔を作るヒナ。

俺はその笑顔を見て、彼女を守ってやりたいと思ってしまった。

家から騎士団までの帰り、ヒナはしみじみと言った。


「は~副団長の家族良いな~憧れます‼」

「………なら、俺と家族になるか?」


自分で口走った言葉に後悔する。

ヒナはそんな俺の気持ちなんて知りもしないで言った。


「またまた、普通の女の子なら結婚してくれるのかと勘違いしちゃいますよ!」


なぜか解らないが、そう言うつもりで言ったんだ。

言葉には出来ない。


「でも、ミッちゃんのお兄ちゃんを副団長がやってるなら、私も妹か?副団長の妹!良いかも!」


ヒナは俺の腕に腕をからませ上目使いに言った。


「お兄ちゃん。」


………


「あんまり、嬉しくないな。」

「ちぇ~、どうせ私はミッちゃんみたいに可愛くないですよ~。」


すねて見せるヒナは可愛く見える。


「ヒナも兄貴が欲しいのか?」

「………いらない。」


ヒナの笑顔が一気に冷めたものに変わって驚いた。


「あ、ごめんなさい。私兄貴居るの………私の親は離婚する時にどっちが私と兄貴を引き取るか揉めたの。それが決まるまでって施設………孤児院に預けられた。結局父に兄貴は引き取られた。私も母に引き取られるはずだったんだけど、いくら待っても迎えには来てくれなかった。だから、私の大事な家族はミッちゃんだけ!今は迎えに来てくれなくて良かったって思ってるんだ!可愛い妹の方が兄貴なんかよりも数倍の価値があると思うでしょ‼」


ヒナは俺の腕にしがみついたままニシシっと笑った。

俺は何を言ったら良いか解らず、ヒナの頭を乱暴に撫でた。

ヒナは困ったような顔をすると言った。


「重たい話しちゃって本当にごめん。副団長は話しやすくて困るな~こんな話するつもり無かったのにな~。誰にも言っちゃ駄目ですよ‼」

「ああ。」

「副団長と私だけの秘密!」


口許に人差し指を立ててヒナはシーっと言った。

可愛いと思った。

守ってやりたいと思った。

側で見ていられたら…っと思った。

この感情はなんだろうか?

目の前でヒナの表情がクルクル変わるさまをいつまでも見ていたい気すらしている。


「副団長、ご飯食べて帰りましょうよ!何か美味しい店案内して下さい‼勿論奢りで。」

「………ヒナみたいな妹は俺もいらん。……肉と魚どっちが良いんだ?」

「肉~。」


ヒナは幸せそうな顔で笑った。

ああ………

これから先ヒナがこんな可愛い顔で笑っていられたら良いのに。

俺はそんなことを考えながらゆっくりと微笑み返したのだった。

ウルガルドがヒナちゃんに興味を持ちました。

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