お使いだったはず………
雨がまたふりだしました。
読んでくださってありがとうございます‼
副団長に言われた所らへんに着いた。
目印になりそうなものはない。
私はまわりを見渡して一人の美人のお姉さんに声をかけた。
「あの、すみません。」
「はい?」
「アンナさんって人に会いたいのですが、ご存知ありませんか?」
「………母に何か様?」
なんと!声をかけたお姉さんの母親!
私が驚いているとお姉さんはニコッと笑って言った。
「ついてきて!案内するわ‼」
私はお姉さんについていった。
「母さん‼お客さん!」
「おきゃっ!違います‼」
お姉さんはキョトンとした顔で私の顔を除き混んだ。
「いらっしゃい~!あら、美人なお客様ね。」
奥から現れたのは40代ぐらいの美人だった。
さすが、美人お姉さんのお母さん‼美人だ!
「彼女お客じゃないんだって。」
「あ、お届け物です!」
「お届け物?」
「はい、二番隊副団長からこちらをアンナさんに渡すように言付かりまして!お納め下さい。」
私がビーズの入った麻袋を手渡すと二人の美人さん達は目を見開いて言った。
「貴女、ウルの彼女?」
「私、聞いてないわよ?」
「ああ、彼女じゃありません!今二番隊でバイトさせてもらっていて、副団長は言わば上司です!」
美人のお姉さんは私をマジマジと見ると言った。
「貴女、ストラちゃんのお姉さん?」
「はい!ミッちゃんを知ってるんですか?」
「私はストラちゃんの親友をさせてもらってるモアよ!」
モア?どっかで聞いた事のある名前だ。
何だったっけ………
「!副団長のお姉さん?」
「そうよ!」
「………じゃあ、副団長のお母さん?」
「そうよ!」
美魔女だ‼
今話題の美魔女様だ!
お二人とも年齢不詳過ぎる!
「えっと、ちゃんと血の繋がりのある家族なんですか?」
「「勿論‼」」
「う、美し過ぎませんか?若さの秘訣を是非とも教えていただきたい‼」
私がそう叫ぶと二人はニコニコと笑顔を作って言った。
「「超いい子なんだけど~!」」
副団長のお母さんとお姉さんは私を家に招き入れてくれて、一緒にお茶をいただく事になったのだった。
「ウルにムカついたりしない?ほら、ウルってば無口でしょ!肝心なことは言ってくれない感じで。」
「ウルガルドにムカついたら蹴り入れて良いのよ‼私が許す!」
「あの、勘違いならすみません。あの、私が副団長の彼女って決めつけてお話をしているなら勘違いですよ。」
「「違うの?」」
「違います。」
私はお二人に出された紅茶を飲みながらそう言った。
「でも、ウルガルドのお使いにうちに来たんでしょ?」
私は思わず遠い目をした。
「副団長が私をお使いに使うのを嫌がっていたのはこれが理由だったんですね………」
私の遠い目に気が付いているはずの二人はお構いなしに言った。
「ヒナちゃんがウルのお嫁さんになってくれたら、心配事が減るのに。」
「ヒナちゃんが私の妹!ヤバイ嬉しい‼」
駄目だ………聞いてない。
私はお茶請けのクッキーを食べながら肩身の狭い思いをしていた。
あれ?これミッちゃんのクッキーの味がする。
ウマウマ。
私がクッキーに気をとられていると後ろから声をかけられた。
「ヒナ、帰るぞ。」
「副団長?」
どうやら、帰るのが遅い私を副団長が迎えに来てしまったようだ。
「お、お使い出来なかった………」
「妨害してくるやつらが居たんだ、仕方ないだろ?」
副団長はシュンとした私の頭を乱暴に撫でてくれた。
「ウル!ヒナちゃんみたいな彼女が居るなら紹介してよ‼」
「彼女じゃない。」
「またまた!」
「おばさんになればなるほどお節介になるな!」
「………」
「ウルガルド!母さんになってことを…」
「モアにも言ってる。」
「キィー!」
私は思わずクスクス笑ってしまった。
「ヒナ?」
「あ、いや、仲良しだなって思って。私は親が居ないから羨ましい。」
三人が驚いた顔をしていた。
「私とミッちゃんは孤児院育ちですから。」
するとアンナさんが私をキュッと抱き締めてくれた。
「私の事、お母さんだと思って良いのよ!」
アンナさんの優しさに嬉しくなる。
「そうよ!ウルガルドと結婚したら本当の家族になれるわよ‼ヒナちゃんなら願ったりかなったりよ!」
モアさんも私の頭を優しく撫でてくれた。
「こら、ヒナを困らせるな。ヒナだってこんな妖怪女達と家族なんて御免だろ?」
「ウルガルド殺すよ‼」
「………すまん。言い過ぎた。」
私はさらに笑ってしまった。
幸せな家族だ。
私はその日初めて、幸せな家族を羨ましいと思ったのだった。
娘が保育園で借りた服を気に入って脱いでくれません……




