第18話:ボス
ボス部屋で向かい合う俺とモンスター達。
ボス部屋は奥行き50m、幅50mといったところか。
臆することなく、ボスの下に進む。
モンスター達との距離が近付くと、臨戦態勢だったグレーウルフ達が一斉に襲いかかる。
俺はボスであるシルバーウルフから視線を離さずに魔法を発動する。
「シャドウランス!」
駆け寄るグレーウルフ達の影から槍の形をした影が伸びるとグレーウルフ達は串刺しにされて急停止する。
この影魔法、名前の通り影を利用しなければ発動しないのだ。
必然的に俺自身の影か相手の影、もしくはその他の影を利用するため、不便かも知れないが自分の影からいきなり攻撃されるなんて、初見で見切るのは困難だろうし、何より影は離れないので命中率が良い。
雑魚の掃除も終わり、残るはシルバーウルフのみ。
配下を一瞬で倒され、険しい視線で睨み付けてくる。
睨み合いは長くは続かず、シルバーウルフが仕掛けてくる。
グレーウルフよりも鋭く速い動きで必殺の噛み付きをしてくるが噛み付かれる寸前、スキル『サイドステップ』を使い、最小限最短で避けてカウンター気味にバットを振り抜いた。
バキッ!バキッ!ボキッ!!
交通事故に遭ったとしても鳴らないような破壊的な音と感触が響き、壁に突き刺さらん勢いで飛んでいった。
シルバーウルフは完全に即死コースだ。
手応えは確実にあったが一応確認のため、壁際に近付くと、なんとか原形をとどめていた。
だが今の俺にシルバーウルフ程度の素材は必要ないので、またもや放置して待っていると死体はダンジョンの床に吸収されてなくなった。
モンスターがダンジョンに吸収される様を見ていて、気をとられていると知らぬまに奥に階段が現れていた。
まだまだ、アイテムボックスに収納する心の準備はしていない。
これ以上、ここにいても仕方がないので下の階へと向かう。
◇
地下6階は5階までとは打って変わって草原が広がっていた。
「・・・・」
急激な景色の変化に頭の処理が追い付かない。
ネットの情報でこれも知ってはいたが聞くのと実際に見るのは大違いだ。
しばし、眼前に広がる草原を眺めていると遠くにちらほらと探索者達が見えることに気付く。
草原エリアは見通しが良く、他の探索者達にスキルバレする可能性があるので目立つスキルの使用は控えようと思う。
「(特にアイテムボックスには注意しないとな)」
探索者サイトでもちょいちょい話題にのぼるアイテムボックス、鑑定等のスキル所持がバレた日にはどうなるのか想像もつかない。
「(何か対策を考えないとな・・・)」
1番良いのは誰かがアイテムボックスを取得して公表してくれれば、俺が持っていることがバレても当たりは軽くなるかな。
最悪、アイテムボックスのスキルクリスタルを誰かに使わせて各方面にタレコミ、公表せざるおえない状況に追い込む。
名付けて『生け贄作戦』も考えておいた方が良いかもしれないと、ごく一般的な考えをしながら草原を突き進んでいく。
モンスターとの戦闘はないのかって?
この階層には引き続きホーンラビットとダンジョンラット、グレーウルフに5階でボスだったシルバーウルフに初見の『ボアタックル』という大型の猪型のモンスターが出る。
どのモンスターも今の俺には敵ではない。
特にボアタックルは直進してくるだけなのでサイドステップで避けて、カウンターを合わせればイチコロだ。
そんな訳でさっさと7階へと向かう。




