12、中学一年生 適性検査。衝撃だった 下
はい諸君注目オッケーだねー? 何と!! 私の性は――――
「ベータじゃの」
「デスヨネー」
ベータでした。はいみんなかいさーん!
「ほっほ。落ち込むでない。よくあるということは困った時の対処法も一番多くて周りに聞きやすいということじゃ。それにベータは性問題は他の性と比べ無いしのう」
「ですね」
残念と安堵混じりの苦笑と共に頷けば、「さて」とお爺ちゃん医師が皺の刻まれた手で乾いた柏手を打った。
急だったので思わず素で驚いて爺様を見てしまう。
「此処からは診断時間と行くかのう」
「えーっと、別に私からの心配ごとも悩みも無いですよ? ベータにも納得してますし。まだ後にもいっぱい生徒が来るんで私の時間は無しで…」
「そこじゃのう。まぁそう慌てなさんな」
「はい?」
白衣の爺様の目を見つめると、今更ながら髪色と同じ様に濃い群青であることに気付く。そこでもしやとハッとする。あ、やばい、この人アルファかも…
知能勝負で勝てる訳がない。相手にするのが恐ろしくなり、じっとりと手汗が滲み始めた。
「とはいえ段取り良く行った方がお互い楽そうじゃの。お前さんは小学校から既に精神面が成熟傾向にあったと資料にあるがあっとるかの?」
「……まぁ、よくしっかりしてるね~とは言われてましたね。えーっと、医師これは?」
「ほっほ、では周りの全てが愚か者に見えたり、敵に感じたりはするかの?」
「それは……、そんなことはないです。医師、目的の読めない質問は不安になります…」
わざと涙目にして不安の声をあげる。幼い見掛けで騙されてくれる気が全然しないけどさ。
でも実際不安から、内心でただ今心臓が爆走中だ。破裂しそう。小学生までの資料もあるのか。特別対応にどうもありがとうございますとやさぐれてケチ付けたい気分だ。
老成した医師の見透かす様な目に晒され、前世の山田 莉子は怯えて縮こまっている。利根田 理子と山田 莉子はトランプの表と裏みたいなものだ。だから―――
「ふむ。まぁ実際交友関係も広いから大丈夫そうじゃしの。一番危惧しておった孤独感や疎外感も感じておらぬようなら」
瞬間、思わずその続きを遮るように叫んでしまった。しまったと思うも、頭の何処かで此処は冷静に泣くかと計算してしまう。
「せんせい! …、わ、私、何か疑われてるんですね…ひぐっ」
べそべそと涙声と共に目元に手を当てると、先程まで血液の入った小瓶を軽く手で振っていた爺様は、わたわたと両手を上下に慌てて振った。思った以上に効果的である。
「な、泣くでないぞ! 今時は世間の目が厳し…ごほん。後輩にまた泣かしたとどやされ…ごほっごほんっ。意地地悪が過ぎたの。大丈夫じゃ。ほれ、今検査結果が出て分かったからの」
「検査…、結果ですか?」
「そうじゃ」
そう言って、一枚のA4紙が手渡される。
えーっと
「先天性分泌物質過剰症候群…? これは…」
「まぁそれにも色々なパターンがあっての。例えば成長ホルモンが過剰過ぎる子は中学生で二メートル近く背が伸びたりのう。何事も行き過ぎると毒じゃ」
「それは大変ですね…。えっと、じゃあもしかして私もこれが疑われて…?」
突然のことにまだ事態が飲み込みずらいが、恐る恐る確認すると安心させるかの様に頷かれる。
「そうじゃ。お前さんの場合はIQや知能指数に関する分泌物質じゃの。この項目での病気自体は少ないんじゃが、症例としてはアルファが九割じゃな。まあアルファ性の者は元から賢い者も多いから、儂クラスで熟練でないと見分けるのは至難での」
それで今回は儂が担当じゃとお茶目にウインクされる。すっかり最初に会った印象の時の雰囲気に戻っている。
はあ、と生返事で説明を聞きながら資料にも目を通した。
「とはいえベータでもアルファに比べると閾値…、まぁ言い換えると上限じゃな、それや基準値は下がるがあり得る先天性の病気じゃし、知らぬ者も多いから周囲や家族との仲が険悪になっているケースが多くての。本人も病気の自覚症状が無いことが大抵じゃ」
「それで先程の周囲の人が愚か者に見えたりとかの質問があったんですね」
「ほっほ、そうじゃ。お前さんの場合はほれ、この値じゃから」
爺様が小型の体温計みたいな機械に出て来た数値を見せる。
えーっと、ベータの平均値が20で私が23.1だから…
『疑う必要なし。項目説明。一般人に毛が生えた程度。参考。三十人三クラスに一人程度』
これもこれで酷い気もするんだがおい。三十路時代の反映でこの結果だとしたらもう泣くしかないぞおい。
とはいえ、思わず心の底から安堵の吐息が出てしまった。ようやく緊張が身体から抜ける。
紛らわしいぜ爺様。もうこんなに大人げない意地悪されたら、りこちゃん大人げなくガチ泣きして社会的制裁させちゃうんだからねっ。
ええ、ちょっと怒ってます。
「一般人に毛…」
「他の質問にも当て嵌まらんから大丈夫じゃ。良かったのう。自殺率九十五%じゃから儂も診断には気を遣ったわい。大人びた印象は受けるが病気とは思えんしのう」
「あは、はー、まあ周りに賢い子が多くて」
顎に手を当てながら少し目を細めて興味深そうに視線を投げられるので、つい視線を泳がす。というか自殺率たっか!!! ちょっと賢くなる病気ならいいんじゃないかなーとか思ってすんませんっしたっ
「ほっほ、まあよかろう。この学校のこころのへやにも月に一回第三火曜日に儂は勤めておるから、何か心配ごとがあったら来なさい」
そう言ってふんわりと頭を撫でられるので、目尻にまだ残っていた最後の涙がぽろりと落ちた。ただの自然現象である。とはいえ、まぁ頼れるいいお医者さんなんだろうと元気よく返事を返そうとした瞬間―――
バアン!!!
入り口のドアが凄い音を立てて開いた。
ふぁ!!?何だ!?テロか!?と思わず爺様と一緒に振り向いて思わず固まる。
入り口には片手で荒々しくドアを開けたまま眦を吊り上げて此方を見る大神が立っている。
ひぃっ!? 何か掴んでるドア凹んでるんですけど!? 殺気混じりでめっちゃ睨まれてるんですけどおおお!!?
「なっ、おっ、なっ!?」
意訳すると、な、大神が何で此処に!?である。いや、めっちゃ焦ると呂律絡まるんだって。
びっくりして目を見開くと、私と目が合った瞬間大神はまた喉の奥からひと一人噛み殺せそうな唸り声を上げた。ひいい、もう意味分からん怖いっ、どうした、待たせ過ぎたとかかっっ。約束してないから先帰ってても別にいいってばっっ
「泣かされたのか」
「は、へ、…え?」
「そいつだな」
「え、いや、ちょ」
ずかずかと大股で歩いて来た大神に、爺様の手の平から引き剥がすみたいに腕を引っ張られる。大神の後ろにまで腕を引かれる時に、ごすっと大神の胸板に鼻を強打して思わず涙目になった。こいつ、細身の癖に硬いのである。むしろ大神からの身体的ダメージで絶賛目が潤むような
というかと鼻を押さえながら恐る恐る大神と爺様を見上げたら、大神がまるで庇う様私と爺様の間に立って爺様を睨み付けていた。爺様はと見ると…、うわぁ、完全にニヨニヨしたいのを堪えてのひょうきん顔に違いない。さっきまでの時間で爺様の大人の強かさとか意地悪具合は承知の助である。
「ほっほ。青春じゃのう」
「医師違いますって。え、って、大神まさか声聞こえたの?」
「両隣くらい聞こえる」
嘘だろ。普通これ防音個室だろ。
爺様を見れば感心している。
デスヨネー
「優秀なアルファじゃの」
「理子、どうしたい。癪だが俺の両親頼るか?」
「まてまてまてステイ。それは過剰報復過ぎる。大丈夫だって。これはあれだ、えっと、目にゴミが入ったから」
「目にゴミが入って嗚咽は出ない」
「ふぐぅ」
今真実を指摘されて呻きは出たがな。というか、えーっと、これってもしかしてさ……
未だに腕を掴む大神をもう一度じぃっと観察した。大神は爺様を牽制しつつも、視線に気付いて不機嫌そうにこちらを眺め返している。
「大神さ」
「何だよ」
「もしかしてなんだけど、泣いてたと思ったから心配して来てくれたの?」
若干自分でも疑い混じりというか、疑問府過多で聞けば益々眉間の皺が深くなる。というか肉食獣のゴロゴロ音がする。
うひぃっ、眉間に渓谷が…! 渓谷が出来ておる…! そして不機嫌そうな雷音に我が脳内で警告音が! 冗談ですほんと調子乗ってすみませっ…
「だから何だよ。早くどうしたいか言え」
「あれ? 儂今から何されるの?」
「へ…?」
呆気に取られて大神を見上げる。
爺様が若干業とらしくぷるぷるしているがそれはいい。何か出入り口のドアから明らかに45ドが「またかお前等」と言いたげに目元に手を当ててため息を吐いてるのが見えたがまぁそれは後で異議申し立てたいがまぁいい。
……え、マジで素直に心配してくれたんだ
まじまじと大神のちょっと尖った耳の先を見たら、本当に少し赤くなってる。今も不機嫌そうな怒った顔だが、照れ隠しと言われればそう見える気がしなくもない。
理解が及んだ瞬間、何か無性にお腹を抱えて笑いたくなった。というか、実際笑った。
「ふっ、くっくくく、大神、私の真似してドア壊してどうすんの。ふっくくく、あー、待って、お腹痛い」
瞬間また強く睨まれるが、無言で顔を逸らされる。でも手だけは離されなかったし、我ながら酷い態度なのに見捨てて去るということもなかった。
何だろ、かわいい所もあるんだな。
「あー、笑ってごめん。心配してくれてありがと。これは本当何でもないから大丈夫」
「お前の大丈夫は信用出来る時と出来ない時極端だ。今は信用ない」
むぅ、失敬な。前に屁理屈こね回したのを根に持っておるな。やはり犬の祖先は執念深…、野性の勘で睨まれたからやめとこう。大人対応術のクソスキルは、二度目以降疑われやすくなるのである。デメリットも大きいですね。まぁなんてたってアーイドル…じゃなくクソスキルだから仕方ない。
「じゃあ…」
仕方ないと大神の肩に手を掛ける。こいつも実は聖也くんより少し低いとはいえ、私よりは頭の半分くらい身長が高いのだ。私も二メートルとは言わずとも夢のモデル身長になりたいものである。成長期よまだか。
意図を理解した大神が素直に腰を屈める。やっぱり顔立ちは怖いくらい綺麗だよなぁとぼんやり思いつつ、爺様に意地悪く笑って大神の耳へとそっと唇を寄せた。
頭を上げた大神に呆れた顔で見下ろされるが、私的には憂さも晴らせて大満足作戦である。えっへん
という訳で爺様に向き直った大神は、棒読みで口を開いた。爺様は何を言われるのかとドキドキ半分、好奇心半分といった顔だ。やっぱり肝が座ってるから、絶対昔ぶいぶい言わしてたクチに違いない。え? 古い?
「いたいけなオンナノコを不安にさせて、泣かして、そのあと頭をポンポンするのはハラスメントだとオモイマス。このロリコンジジイってのを外の後輩さんに聞こえるように今から言うってよ」
途端顔を真っ青にするものだから、腹筋が崩壊するかと思った。いや、流石に顔に出さないように耐えたが。
勿論今から叫ぶ訳もなく、「これでも儂高名なのに」と自分で言ってご機嫌取りに回る爺様を見て大神も気が抜けたのか、そのあとさくっと二人して退場した。いやだって外からの冷気がさ。45ドの眉が70ド位になってたからさ……
さくっと退場したとはいえ早速外で待機していた45ドに怒られそうになった私たちだが、まぁ「だって医師が…」とドア付近で口を開こうとしたら、爺様が飛んできて無事丸く?収まった。
何でも無かったと業とらしいキリっとした顔で私の診断結果をこそこそと話してたが。
爺様話逸らそうとしたのバレバレでんがな。でも流石アルファ爺様(予想)、自分の危機に目敏い。ドア口の立ち話を聞きつけて上手く立ち回る機転である。
そんなこんなで時間が無いんだと45ドから雑にぺいっと放られた私たちであったが、クラスメイトからの今度はどんな騒動だという好奇心いっぱいの視線から逃げる様に廊下へと移動した。大神はまた我関せずな感じだったがな…! だから一体お前のメンタルは何製だ。
「で、何だったんだよ」
「へ? 私のメンタルはガラス製…」
「違ぇよ。何の話だ。教える約束だろ」
「えー、此処で?」
周囲に人は居ないが、大っぴらに言って誰かに聞かれるのも何だか恥ずかしいし情緒の欠片もない。まぁ隠すもんでもないから、誰かに聞かれたらベータと答えるつもりだったけどさ。
そう考えるとさくっと言えばいっかという気持ちになる。大人しく階段の上段から後ろを歩く大神へと振り返って肩を竦めてみせたら、何故か大神は真剣な、というか何処か緊張したように顔を強張らせていた。
「何もなにも、普通にベータだったよ」
「そうか」
「聞いてきた癖に素っ気ないなぁ。大神は? アルファ?」
「ああ」
そのまま立ち止まって事も無げに頷くものだから、この勝ち組めと余裕綽々ぶりにデコピンしたくなる。というか、大神は何でそんな変な表情なんだろうか。こう、運動会で一等賞とったのにクラス単位では負けたみたいな? え? 分かりづらい? 喜びと残念半半みたいな変な顔である。
「いいなぁ。私も折角ならアルファでなくともオメガとかのが良かったなぁ」
瞬間大神に強い視線で睨まれた。ええ、軽はずみで適当言うなってこと? これでもオメガバース愛から来てる発言だから中々の重度を誇る自信が…はい黙ります。
「何でだよ」
「そりゃ珍しい方が面白いし。それに運命の番とかさ、浪漫チックだし素敵な未来になりそうじゃん」
萌えも過分にあるが、男を見る目など養っていないのでその方が楽だろうしという打算な思いは隠しつつそう告げると、大神は途端に顔を顰めてしまった。あ、そっか、大神の両親のことがあるのに無神経だった。慌てて謝る。
「ごめん大神、思ってても無神経だった」
「別に。それはもう気にしてねぇ」
「本当?」
「ああ」
なら顔を顰めた理由が分からないが、まぁ鵜呑みにはせずとも大神って嘘は吐かないしなぁ。あ、もしかしてとピコンと閃く。りこちゃんてんさーい……はい調子乗ってすんません。
「分かった」
「何がだ」
「大神照れてるんでしょ。大丈夫だって。運命の番見っけて舞い上がるのなんて、世の青少年少女たちの初恋と変わんないって普通普通」
「……何が言いたい」
何かすんごいドスの効いた声で脅されるが、最早それも照れてるからとしか思えない。そう思えば可愛くも見え……可愛……、いや、可愛げはそんなに無いな。
とはいえにんまりと大神と目を合わす。
階段一段分で目線は一緒なのだ。
そうかー、大神もいつかはかぁ
「だから、怒ってるのって浪漫チックな恋が似合わないとか恥ずかしいとか考えてるんでしょー」
もう照れちゃってー。名探偵リコナンの誕生に違いないと、分かっておる分かっておると言いたげにどや顔で告げれば、思いっきり舌打ちされてしまった。うひぃ、図星突かれたからってそんな粗雑な態度なんてりこちゃん怒っちゃ―――
とんっと大神が無理矢理段差を一歩登って距離を詰めた。
ふわりと大神の制汗剤が香る。
途端に狭まる足場と距離に慌てて後ろ向きのまま咄嗟に片足を次の段差に掛けた。
「お、大神? おちょくってごめんって」
上半身を引きながらすぐさまギブギブと両手を挙げたら、急に大神は獰猛に笑い出した。くつくつと笑う様は、急過ぎて怖いというか、魔王が悪魔に憑かれたのかと二重闇堕ちを心配する程である。
思わずまた少し目線が上がってしまった大神を伺う様に見上げると、途端にふんと鼻で笑われた。
「俺が馬鹿だった。鈍感勘違い利口馬鹿理子は俺なんかに興味ねぇもんなぁ」
「え、えーっと、大神さん? 何故か凄まじくけなされた気がするんですが」
「ああ?」
「ナンデモナイデスえーっと、大神さんは馬鹿ではないと…」
野生動物と目を合わせては駄目である。そよそよ~っと視線を泳がせながら間をもたそうと適当な言葉を繋げる。
とりあえず一旦落ち着こうぜベイべー、何だ、何処が逆鱗か全然分からん。
逃げたくて大神の学ランを押そうと両手が伸びるが、此処は足場の悪い階段だったと途中で気付いて結局中途半端にさ迷う。流石に事故は駄目だ。
それを見て、大神はまた目を細めて鼻で笑った。いつものことなのに、今回は何故か獰猛な笑みが表情を彩る。何処か危険な色気が漂っている。
「ふん。運命だので待つのは性に合わねぇ。自分から捕まえてやる」
瞳孔を魅力的に輝かせながら、歯を剥いて何故か突然の自分から運命の番を見付けてやる宣言。一体どうしたのだ。マジでガチもんの悪魔憑りつきか。それとも厨二病みたいに不良に憧れ病の緊急発症か。
動揺してついへらりと愛想笑いと共にお愛想言葉が出てしまった。
あああ、駄目だ魂まで染み付いている大人対応術……!
「えーっと、それは嬉しい人も多いと、思います…よ?」
人によるけどというセリフは呑み込んで、空気を払拭する為にさっさと帰ろうと肩を軽く叩けば、また大神に手を取られた。高い体温が手の平の温度を上げる。
「そうか。理子がベータで良かったぜ」
好戦的に笑うそのセリフに今度は流石にこちらが顔を顰める番だった。ぺいっと手の平を振り払う。
「あっそ。偉ぶって傲慢なアルファにならないようにね」
しおらしくしていた私が急に不機嫌になったからか、驚く大神を置いてさっさと教室にまで足を進める。
けっ、だから何故いきなりお前は運命の番じゃなくてよかったとけなされねばならぬのか。私だって一応乙女であるのに。ちょびっとベータで落ち込んでる気持ちもあるのに。不細工な訳ではないと自分では思うのに、意地悪な奴である。
「おい理子待てって」
「知らない」
ずかずかと何様俺様りこ様の不機嫌な気分で教室のドアを勢いよく開けた私であったが―――
「おかえり利根田さん。ねぇ、花のすぐ後だったんだよね? どんな医師だったか僕詳しく知りたくてさぁ」
ひいいいい、忘れてたああああと内心ですぐ絶叫した。ムンクも真っ青である。
表情が笑顔なのに絶対零度のブリザードを召喚し、お花ちゃん以外の教室中を静まり返らせている聖也くんに思わずもう一回ドアを閉めたくなったのだった。
ちなみに大神の方が遅く隣の小部屋に入ったのでその前の内容は聞こえてないですねー。まぁ盗聴の趣味もないですし。とはいえ自分の検査を模範的というか、興味無く淡々とこなしてさっさと終わらそうとしてた大神くん。でもあのりこちゃんの嗚咽が聞こえた瞬間、最初意表というか衝撃を受けて耳を澄ませた後、「はい、じゃあ診断行くわね」との声で隣の小さな音声が聞き取れず、煩わしさに余計苛立ちながらおばちゃん女医さん無視して隣へ行こうと勢いよく席を立ちました。
最初見掛けの割に大人しかったのに何故と驚いた女医さんでしたが、こちらも数多の不良校も渡り歩くウン十年のプロ女医さんです。逃さず大神の殺気立った圧力にも出身大阪パワーで完封し、手短にはなりましたが診断までやりきりました。という出番遅れた裏事情☆(おい
このメンタル、そう、後輩さんとはこのおばちゃん女医さんのことであるまる。まぁ45ドが二人をこのプロにぶち当てた判断も賢明であったと言えよう。わーい流石しゅにーん
活動報告でちまっと上げましたが、短い小話を一つ入れようかと検討中です~。ポイント記念のとは別なので、前後するかもですが今月中目途かと~☆ちとのんびり待ってね~☆




