あとがきと読者へのお願い
百怪を談ずれば、怪来る。
皆さんのところには、怪は訪れただろうか。
この作品を書き始め、どうせなら百の怪談を綴ろうと思ったとき、あとがきはこうやって書き出そうと決めていた。
しかし、この思惑は果たして上手くいったのだろうか。
『デリヘル怪談』というテーマを掲げたにも関わらず、最後は私の話になってしまった。私(恵美さん)の話でまとめるつもりだったのに、私(筆者)の話になってしまったのは企画の破綻としか言いようがない。
できることなら、改めて恵美さんに取材をしたい。
いや、前にも述べた気がするが、ネタ自体は十分にあるはずなのだ。しかし、恵美さんに見てもらわないと、どうにも輪郭が整わない気がする。ふわふわした、非現実的な御伽噺になってしまう気がするのだ。
もしこの作品が私に幾ばくかでの収入をもたらすのであれば、それを使って探偵でも雇ってみようか。恵美さんを探すのだ。似顔絵があった方がいい。バーに行った。店長は接客のプロだ。顔くらいはおぼえているだろう。おぼえていない。そんな客は知らない。紙マッチ。焼けていた。バーは火事になっていて、規制線の向こうには黒焦げ。ひしゃげた扉。真っ黒な空間。化学的な臭い。今どき紙マッチなんてだから。
警察には行ってみた。火事の情報。違います。放火の可能性も。違います。不審な人物は。違います。人探し。ご家族ですか。違います。失踪届を出しに来ました。受付できません。なぜ。ご家族でないと。そうなんですか。警察は無駄でした。探偵です。
恵美さんを探しています。
探偵は人探しのプロだと聞いています。プロですよね。わかりますか。まだわかりません。着手してみないと。難しいですよ。お金ならあります。ご予算は。これくらい。足りなければもっと。はあ、それならやるだけやりますけど。ひとつお願いがあります。何ですか。怪談を聞かせてください。怪談。不思議な話。怪談。はい、怪談です。業務範囲外ですよ。取材費で落ちますから。はあ。探偵さんって、不思議なことにも出会うんじゃないですか。不思議かどうかはわかりませんけど。まあたまには。じゃあそれで。追加料金。承知しました。
恵美さんを探しています。
お心当たりをお気軽にお知らせください。
拡散希望です。知っている人に届けば。
▓▓恵美さんを探しています。




