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異世界詐欺師のなんちゃって経営術【SS置き場】  作者: 宮地拓海


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【挿話9話後感想返し】つまり、マグダは可愛い

マグダ「……では、行ってくる」

ジネット「はい。気を付けてくださいね」

ヤシロ「でっかい獲物を頼むぞ」

マグダ「……胸の?」

ヤシロ「……魔獣にまで巨乳を求めてねぇよ」

マグダ「……ヤシロはつるぺた派……っと」

ヤシロ「そういうことでもないけどなっ」

マグダ「……では、お店を頼む」

ジネット「はい。お任せ下さい」

ヤシロ「……どっちが店長だ?」

マグダ「……ヤシロ。いつもの」

ヤシロ「はいはい。じゃあ、無事に帰って来られるおまじないだ」


――ヤシロ、マグダの耳をもふもふ。頭なでなで。


マグダ「……むふー! 出発前にはこれが必要」

ヤシロ「効果のほどは分からんけどな」

マグダ「……信心が大切」

ヤシロ「へいへい」


――マグダ、もふもふを堪能し、陽だまり亭を出発する。

――大通りに出たところに大きな馬車が停まっており、そこで顔見知りに出会う


ウッセ「お、マグダじゃねぇか」

マグダ「…………? ドチラ、サマデスカ?」

ウッセ「なんでカタコトだ!? 俺だ、俺! 狩猟ギルド四十二区支部の代表!」

マグダ「……あぁ、たしか……シズカニ・シャベレ……?」

ウッセ「ウッセ・ダマレだよ!」

マグダ「……似たような意味」

ウッセ「意味じゃなくて、名前だから! 一文字も間違うな!」

マグダ「……その案件は持ち帰り、検討し、追って文書で回答する」

ウッセ「素直に、ここで『はい』って言えやっ!? ……で、お前、これから狩猟に出るのか?」

マグダ「……肯定」

ウッセ「んじゃ、一緒に乗ってくか? 俺たちもこれから狩りに出るんだ」

マグダ「……ヤシロに」

ウッセ「ん? あの兄ちゃんがどうかしたか?」

マグダ「……『知らないオジサンについて行ってはいけない』と言われている」

ウッセ「知り合いだろうがっ!」

マグダ「……『変なオジサンについて行ってはいけない』とも言われている」

ウッセ「誰が変なオジサンだ!? いいから乗れよ! 連れて行ってやるから!」

マグダ「……妙に優しい」

ウッセ「まぁ、なんつうか…………最近、お前頑張ってるみたいだからよ。お前の狩ってきた魔獣のおかげでウチの利益も上がってきたし…………見直したってとこだ」

マグダ「……マグダ、…………役立ってる?」

ウッセ「あぁ。そうだな。前は気付かなかったが……もっとも、『あいつら』のおかげで変わったのかも知れねぇが……お前は大したヤツだよ。」

マグダ「……気付くの遅ぇよ、バーカ」

ウッセ「そういうとこは確実に『アイツ』のせいで変わったよな、お前!?」

マグダ「……しょうがない。乗ってあげないこともない」

ウッセ「まったく……ほら、足元気を付けろよ」

マグダ「……あぁ……これが、どさくさに紛れてお尻触る人のセリフか……」

ウッセ「誰が触るか、テメェのカッチカチのケツなんか! 俺ぁ、お前んとこの店長みたいなぼい~んでばい~んなタイプが好きなんだよ!」

マグダ「……『ぼい~んでばい~んなタイプが好み』……っと」

ウッセ「待て! それバラすなよ!? 陽だまり亭行き難くなるから!」

マグダ「……上座に座りたいなぁ~……」

ウッセ「…………お前、本っ気で、『アイツ』みたいになってきたな……好きなところに座れよ、もう」

マグダ「……悪いねぇ、催促したみたいで」

ウッセ「めっちゃしてたわっ!」


――マグダ、ウッセに手を貸してもらい、馬車へ乗り込む

――その様を偶然ウーマロが目撃する


ウーマロ「た……大変ッス……っ!?」


――ウーマロが陽だまり亭へ駆け込んでくる


ウーマロ「ヤシロさん! 大変ッス! マグダたんが誘拐されたッス!」

ヤシロ「なんだと!?」

ウーマロ「オイラ見たッス! さっき大通りで目つきの悪い怪しい男に馬車に乗せられていたッス!」

ヤシロ「怪しい男がマグダを誘拐…………」

ウーマロ「犯人に心当たりないッスか!?」

ヤシロ「俺の知っている人間の中で、そんなことをしそうなのは…………ウーマロしかいねぇ!」

ウーマロ「オイラじゃないッスよ!?」

ヤシロ「素直に吐け! 楽になるから!」

ウーマロ「オイラじゃないッスってばっ!」

ジネット「あの……それって、ウッセさんなのでは?」

ウーマロ「誰ッスか!? 神聖にして不可侵たるマグダたんに手を出すその極悪人は!?」

ヤシロ「かつて、マグダと寝食を共にしていた男だ」

ウーマロ「なんですとぉー!?」

ジネット「ヤシロさん、それでは語弊がありますよ!? 四十二区の狩猟ギルドの代表者で、マグダさんは以前そこの寮に住んでいらしたんですよ」

ウーマロ「なんだ……そうだったんッスか…………よかったッス」

ヤシロ「洗濯物くらいなら盗める環境ではあるな」

ウーマロ「滅ぼしてやるッス! 狩猟ギルドッスね!? 今すぐその寮を解体してやるッス!」

ジネット「ヤシロさん! 面白がらないでください!」


――それから半日が過ぎ、夕方

――陽だまり亭の前に馬車が停まる


ウッセ「今日は大猟だったな」

マグダ「……足手まといがいなければこの倍はイケた」

ウッセ「お前は……本当に容赦ねぇな。お前のポテンシャルについて行けるヤツなんかいねぇっての」

マグダ「……デリアとノーマなら、可能性はある」

ウッセ「誰だよ、それ?」

マグダ「……強者を知らないのは強者でない証拠……精進が足りない」

ウッセ「……こいつは…………」

ヤシロ「よう、マグダ。無事か?」

マグダ「……今日はウッセたちが同行したから軽めになった」

ウッセ「……お前、アレが軽めなのかよ…………他のメンバー、馬車の中でぶっ倒れてピクリとも動かねぇってのに」

マグダ「……ヤシロ、降ろして」

ウッセ「あん? そんなもん、俺が……」

マグダ「……きゃー、さわらないでー(棒)」

ウッセ「なんだよ、急に!?」

ウーマロ「そこまでッス! 変節漢!」

ヤシロ「関節が変? 逆に曲がるのか?」

ウッセ「曲がるかっ!」

ジネット「道を外れた不埒な人物ということですよ」

ウッセ「……改めて言われると、ちょっと傷付くぜ」

ジネット「い、いえ。ウッセさんがそうだと言ったわけでは、決して」

マグダ「……と、両手を振る店長のたわわに実ったとある部分を凝視するウッセ……やはり、変節漢」

ウッセ「うっせぇ、黙れ!」

ウーマロ「マグダたんになんたる暴言をっ!? もう許さないッス…………オイラ、生まれて初めて本気で怒っているッスよっ!」

ウッセ「なんなんだよ、このキツネは?」

ウーマロ「お前が二階にいる間に階段を取り壊して降りられなくしてやるッス!」

ヤシロ「大がかりな割に地味な嫌がらせだなぁ、おい」

ウーマロ「とにかく! マグダたんに対する暴言はオイラが許さないッス! あと、指一本触れることも許さないッス! マグダたんと同じ空気を吸うことも許さないッス!」

ウッセ「じゃあ、俺、死んじまうだろうが」

ウーマロ「人は、その気になれば酸素をも凌駕するッス!」

ウッセ「なぁ……あいつはバカなのか?」

ヤシロ「マグダが絡んだ時は特にな」

マグダ「……とか言いながら、さっきから横目でチラチラと店長のたわわに実った……」

ウッセ「しゃべんなつってんだろ!?」

ウーマロ「貴様ぁ! 二階建てを平屋にしてやろうかぁッス!」

ウッセ「……なぁ」

ヤシロ「すまんが、管轄外だ。自分で対応してくれ」

ウーマロ「ちょっとこっち来て、じっくり話し合うッスよ、変節漢!」

ウッセ「……マジかよ……」


――ウッセ、ウーマロの求めに応じ二人で話し合うことに


マグダ「……ヤシロ」

ヤシロ「ん?」

マグダ「……マグダ頑張った。抱っこ」

ヤシロ「へいへい」


――ヤシロ、マグダを抱きかかえ馬車から降ろす。


マグダ「……もう少し」

ヤシロ「あのなぁ……」

マグダ「……ちょっと、くたびれた」

ヤシロ「……ちょっとだけだぞ」

マグダ「……むふー!」


――ヤシロ、マグダを抱っこし、あやすようにぽんぽんと背中を叩く

――マグダ、幸せそうに目を細めヤシロの首にしがみ付く


ウッセ「……あれはいいのかよ?」

ウーマロ「ヤシロさんは別枠ッス。マグダたんのお世話係り兼管理人ッスから」

ウッセ「……いや。ありゃあ、確実にマグダのヤツあの男に……」

ウーマロ「それに、よく見てみるッス。マグダたんのあの幸せそうな表情。あの天使の表情を引き出せるのはヤシロさんだけなんッス。なので、ヤシロさんは特別枠でマグダたんに触れてもいいんッス」

ウッセ「いや……だから、それはつまりマグダがあの男のことを……」

ウーマロ「んんんんはぁぁぁぁぁあああっ! マグダたん、マジ天使ッス! 見ているだけでこんなに幸せになれるッスゥ!」

ウッセ「…………病気だな、これは」

ジネット「ウッセさん」

ウッセ「ぅおうっ!? な、なんでぃ!?」

ジネット「狩りでお疲れではありませんか? よろしければ、お食事でも食べて行かれませんか? (小声で)……少しだけ、大盛りのサービスをさせていただきますよ」

ウッセ「うっ…………しゃ、しゃあねぇなぁ……じゃあ、いつもの…………日替わり定食で」

ジネット「はい。承りました。中に入って、少々お待ちください」


――ジネット、元気よく頭を下げる。その拍子に揺れる「ぽい~ん」


ウッセ「………………ぽい~ん」

ウーマロ「……変態視線で女性を見るのは失礼ッスよ」

ウッセ「うっせぇ! お前にだけは言われたくねぇよ!」


――言い争うウーマロとウッセの声を聞きながら、マグダはヤシロの温もりを堪能していた


マグダ「……むふー…………また明日からも頑張る」







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