【68話後感想返し】明かりが消えない家
ウーマロ「なんなんッスか……この眩しい家は……? なんでこんなの建てたんッスか?」
ヤシロ「なんということでしょう」
ウーマロ「いや、『なんという』じゃなくてッスね……」
ヤシロ「とりあえず、リフォームしてくれ」
ウーマロ「いや、リフォームするより建て替えた方が早いッスよ?」
ヤシロ「なんということでしょう」
ウーマロ「さっきから、なんなんッスか、それ!?」
ヤシロ「しっかりしてくれよ、匠!」
ウーマロ「オイラ、ウーマロッスよ!? 誰ッスか、匠って!?」
ヤシロ「いいから、この家を住みやすくリフォームしてくれ」
ウーマロ「だから建て替えた方が早いッスって!」
ヤシロ「それじゃあリフォーム番組が成り立たないだろうが!」
ウーマロ「番組ってなんッスか!?」
ヤシロ「この家に住んでいた人には、この家に数々の、お金には代えられない、大切な思い出があるんだよ!」
ウーマロ「例えば、どんなッスか?」
ヤシロ「…………夜間、虫がスゲェ寄ってきたなぁ、とか」
ウーマロ「ダメじゃないッスか!? 忘れた方がいいッスよ、そんな思い出は!」
ヤシロ「あと、明る過ぎて眠れなかったとか」
ウーマロ「言わんこっちゃないッスね!? これ建てた人は何を考えていたッスか!?」
ヤシロ「『ヤダ……明かり、決して』『無茶言うなよ!』『じゃあ、ダメ。帰るね』『チキショオオオオオオオッ!』とか」
ウーマロ「踏んだり蹴ったりじゃないッスか!?」
ヤシロ「でも、いいことだってあるんだぞ!」
ウーマロ「なんッスか?」
ヤシロ「う~ん…………」
ウーマロ「ないんじゃないッスか!?」
ヤシロ「あ、あれだ! すぐ『ダメ、明かり消して』とか言うヤツにも『いや~、そうしたいんだけど、これ消えなくてさぁ、でへへ』みたいなことが言えるから、スケベオヤジにはもってこいの……!」
ウーマロ「さっきそれで失敗してたじゃないッスか!?」
ヤシロ「じゃあなんでこんな家を建てた!?」
ウーマロ「オイラが最初に聞いたことッスよ、それ!」
ヤシロ「きっと、住んでいればそのうちいいところも見つかるさ!」
ウーマロ「今からリフォームするんッスよね!?」
ヤシロ「当たり前だろう! こんなけったいな物件に住めるヤツがいるかよ!」
ウーマロ「矛盾に気が付かないッスか!? なんかおかしいなとか思わないッスか!?」
ヤシロ「じゃあお前が見つけろよ、いいところ!」
ウーマロ「酷い丸投げッス!?」
マグダ「……なんだか、賑やか」
ウーマロ「はわぁぁあ! マグダたん!? ど、どうしてここに!?」
マグダ「……お使いの帰り。なんだか眩しいから見に来た」
ヤシロ「お前は虫か? じゃなきゃイカか?」
マグダ「……誰が虫以下か。失敬な」
ヤシロ「言ってねぇよ!」
ウーマロ「はっ!? 明かりに照らされたマグダたん…………まるで、現世に降臨した天使みたいッス! むしろ天使そのものッス!」
ヤシロ「買い物帰りで玉ねぎをぶら下げてる天使なんかいるかよ」
ウーマロ「そうッス! この家は、マグダたんが覗きに来て、更にとても綺麗に見える家ッス! それだけでこの家には十分価値があるッス!」
ヤシロ「いや、今回限りじゃねぇか、それ」
ウーマロ「この家はリフォームの必要などないッス! 持ち主を説得して、このまま住み続けてもらうッス!」
ヤシロ「新手の仕事放棄だな……」




