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第93話〜凸凹な関係③〜

次の週、雛子と話せるのを楽しみにしていたかなうは

教室へ入った瞬間、悲惨な光景を目にした。


1番前の席に座る雛子の周りに、

かなうへ媚びを売っていた女子達が群がっていた。


女子達は、雛子の綺麗な黒髪にブリーチ剤を塗りたくり

素敵だと言いながら、皮肉混じりに笑っている。


「仕上げに断裁魔法で制服をお洒落にしてあげるわ。」


あぁ、この世界の学園でも醜いカーストは存在するのかと

かなうは心底呆れた。


バンッ__


女子達を黙らせるように、

かなうは教室の扉を強く開けて空気を入れ替えた。


教室にいた他のクラスメイト達も不味いと言わんばかりに

緊張が走る。


そんな空気を作った元凶の女子達は

何事も無かったかのように、かなうの周りへ

集まり出した。


「か、かなうくんおはよう!!」

「おはよう…!待ってたよ…っ!」

「かなうくん、寝癖付いてるよっ!」


かなうの髪を触ろうとしたミクの手を、

かなうはパシンと跳ね返した。


「汚ぇ手で触んなよ。」


かなうは表情1つ変えず冷たく言い放つ。


「お前なんでこの学校通ってんだよ。」


魔法は誰かを傷つけるために使っていい玩具ではないと

かなうはネネの頬を片手で掴み、強く訴えた。


「私も魔法でお前らのこと消してやろうか?」


かなうはそれが可能な魔法を知っていた。


幽霞の主(ヴァニシア)


かなうがそう唱えると、ネネとタエとミクの3人の姿が

一瞬で消えてしまい、教室中がパニックに包まれた。


「ごめんなさい……ごめんなさい……」


3人の泣き喚く声は聞こえるのに、

その姿はどこにもない。


その間、かなうは雛子の元へと駆け寄り

教室を出て、校舎の外の水道へ向かった。


「髪洗ってあげる。」

「ありがとう……。」



かなうは袖を捲り、傷んだ雛子の髪を

優しく(ゆす)いだ。


「こりゃ酷いね。」


相当強力な薬剤だったのか、綺麗な黒髪は

あっという間に色が抜け落ちて金髪になってしまった。


「なんでやり返さなかったの?」


かなうは先週、天文台で長話をした時に

雛子から沢山の魔法を教えて貰っていた。


だからこそ聞いた。


あの女子達を簡単に跳ね除けるくらいの魔法を

雛子は使えたはずだと。


実際、かなうが使った幽霞の主(ヴァニシア)

雛子から教えて貰った魔法だった。


あの一瞬で教室ではパニックになったが、

幽霞の主(ヴァニシア)の効果は物体に対する2分間の透明化。

 

先生達が駆けつけるころには、

透明化の効果も切れているだろう。


実際は、討伐で魔物に見つからないよう

自分自身にかけたりする魔法だが、

機転の利いたかなうは、相手にかけてみたのだ。


「私がやり返さなかった理由は、

かなうちゃんが答えてたよ。」


雛子は頭を上げて、洗ってもらった髪の水滴を

乾燥魔法で飛ばした。


「魔法は傷つけるための道具じゃない。」


私はそんなことをするために

魔法使いをやってるわけではないと雛子は強く言った。


「雛は強いね。」


辛い目にあったというのに、涙1つ流さない雛子。

かなうはそんな雛子のことがより気に入った。


「意外と髪も黒よりピンクとかの方が似合ったりして〜」


そしたら私と反対色で可愛いねなんて

かなうは水色の髪を揺らしながら冗談を口にした。


「……ふふ。ありがとう。」


それが、かなうなりのフォローだと気付いた雛子は

嬉しそうに感謝を告げた。



「あ〜!!いた!!」


2人の間を割って入るように、1人の男が

かなうと雛子の元へと息を切らしながら走って来た。


「探したよぉ……はぁ……ぜぇ……っ」


「先生、大丈夫?」


見た目の割に貧弱な体力の男は、天科智。

2人のクラスの担当の先生だった。


「み、水……。」


水道の蛇口を捻り、水分補給をする天科。


かなうと雛子はそんなマイペースな先生を

ただボーッと見つめていた。


「そ、そうだ!キミ達に話があって探してたんだ。」


話とは教室での騒ぎのことだろうか。

それとも、2週連続でホームルームを

抜け出していることか。


もしかして入学して早々に退学になるのではと

2人は同じ事を考えていた。


「短い間でしたがお世話になりました……。」


真面目な雛子は、騒ぎを立てて申し訳ないと

先生へ頭を下げた。


「……?なんのこと?」


しかし、話は違ったようで

天科はポカンとした顔で雛子の後頭部を見つめる。


「あれ?私達、退学じゃ……。」


最早、退学する気満々でいたかなうも

先生の落ち着きすぎた様子に呆気にとられる。


「退学だなんてとんでもない!!キミ達みたいな

優秀な子をこの学園が手放すわけないよ。」


そう言った天科は、2人に改めて話があると

自身が職員室代わりによく使っている魔法薬研究室へと

案内した。


「今年から、アカデミーに特待制度を入れようと思って。

僕が入学生の中から推薦した5人を特別授業へ

招待しようと思ってるんだ。」


通常の授業よりもランクアップした魔法の授業を

他のクラスメイト達が基礎魔法を習っている間に

受けれるシステムだと天科は説明する。


「入学してまだ2回目の登校日だけど、

キミ達の様子を見る限り基礎魔法はもう大分

身に付いていると思ったんだ。」


折角なら、より高度な魔法を学びたいでしょ?と

天科はニコニコとした笑顔で2人へ問いかけた。


「まぁそれは……一理ある。」

「物凄く魅力的なお話だと思います。」


納得するかなうに、志願したいと申し出る雛子。


「じゃあ決まりだね!他の3人はそうだなぁ……。」


気まぐれに推薦の声掛けていた天科。

残りの3人はまだ見つけていないと言う。


「キミ達が一緒に学びたい子連れてきてよ!」


特別授業は来週には始めるから、今日中にお願いねと

無茶を押し付ける天科。


そうして2人を研究室へ置き去りにし、

1限の授業があるからと出ていってしまった。


「変な先生……。」


雛子はポツリと呟き、自分達も授業に行かなくてはと

呑気に研究室をツアーしていたかなうを連れて

教室へと戻ったのだった。


凸凹な関係編完結です!

その後かなう達が誰を誘って共に学んだのかはまた別の機会に!


次話から、また訓練に戻ります

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