第47話〜小さな夢〜
舞依視点です
まだ歌っている途中なのに
気付いたら私は、ステージを飛び出していた。
ここから見えたの。
誰かが会場の奥から銃を構えているのを。
かなうくんを狙っていた。私の大好きなかなうくんを。
必死に覆いかぶさった。
そしたら、良いところに当たっちゃった…。
「舞依ちゃん……!!!舞依!!!」
驚いた顔で私に一生懸命声をかける大好きな人。
「あっ…たか…い。」
ジンジンするけど腹部も、
かなうくんが流した涙がかかったところも全部温かい。
「き、ミを…守れて……よかった……。」
皆の声がどんどん遠くなっていく。
私このまま死ぬのかな。
おかしいな……これってゲームだったよね……。
まぁ、いっか。
でも、最後にこれだけは言わなきゃ。
それはかなうくんに対しての好きという感情でもなく
命乞いでもなかった。
「あ…い……。あい……ど、る……の……ゆ……め……。」
小さい私と小さい愛依が、昔に交した小さな小さな夢。
小学1年生の頃__
センスでなんでもこなせる愛依と比べて
私は何も出来なかった。
出来なかったというよりは、時間がかかるタイプだったと
大人になってから気づいた。
きっと小学校に通ってた皆は経験してきた。
授業で、将来の夢について考える時間。
「舞依ちゃんは何になりたいの?」
この時から、ある意味考えが成熟していたんだと思う。
みんなが夢にあげるお花屋さんやケーキ屋さんなんて
ただ、今だけ好きなものを夢という目標にしているだけで
大人になったらその時の夢とは全然違う自分に
なっているんだと思っていた。
私には夢がなかった。
家に帰って、愛依に何になりたいのか聞いた。
「アイドル!あいって私の名前も入ってる。」
運命だよねと無邪気に楽しそうに笑う愛依。
ちょうど付けていたテレビからも、可愛くて
キラキラした女の子が楽しそうに歌って踊っていた。
凄く眩しかった。
「でも、お姉ちゃんも一緒じゃなきゃ愛依はやだ!」
わがままな妹だと思った。
でも、夢がなかった私にとっては凄く都合が良かった。
「しょうがないな〜!約束だよ。」
その時私は、愛依の夢のために
アイドルになる道を真っ直ぐ進んでいくと決めた。
それが私の夢になった。
いつしかアイドルになるという夢は叶った。
結果、アイドルに"なる"という夢が叶っただけで、
テレビに出れるほど"人気になった"かと言われたら
また別の話である。
高校1年から初めて5年__
私達に着いてきてくれたファンはたったの10人だった。
ネット呟かれるオワコンというレッテル。
私達のライブにも来たことないような人達が
勝手に私達の人生を評価する。
現実は厳しかった。
それでも、いつか。いつかと。
感情を歌詞に込めてメロディに乗せ、
ダンスも1から学んで…
夢を追うための努力を惜しんだ日はなかった。
愛依の夢を壊さないためには、
センスで追いつけない部分を努力で
カバーするしかなかった。
「舞依ちゃんの夢は?」
再び、心の中で誰かに問われた気がした。
私の夢……それは……
「愛依の夢を守ること。」
だから、私は5年も諦めずに頑張れたんだと思う。
「それなら、そばで見守ってあげなきゃ。
君たちは、2人で1人なんでしょう?」
誰かの声を最後に、私は目を覚ました。
そこは、病院とは違った薄暗い部屋。
薬品と死臭が混ざったキツい匂い。
「……っ。」
愛依の名前を呼ぼうとしたけど、上手く声が出なかった。
ここは一体何処なのだろうか。
意識があるということは、私は死んでない……?
愛依やかなうくん達は?
ズキリと頭が痛んだ。
ウィィーン__
「おやおや、目が覚めたようだね。
天道舞依さん……いや、新しい魔物さん。」
部屋に全身黒服の男性が1人入ってきた。
鹿の仮面をつけていてどんな顔なのかは見えない。
魔物ってなんの事だろうか。
というより、失礼じゃない??私超絶可愛いのに!!
「最後のライブはどうだったかな?
鎮魂歌と言われていたキミ達には相応しい
終止符だったんじゃないかな。最高に楽しめたよ。」
パチパチとゆっくり憎たらしい拍手を送るその人。
「感動のお礼に、"新しい人生"を
キミにプレゼントしようと思ってね。」
そう言って鏡を取り出して私に見せた。
「……ぁ……っ」
言葉が出ない。
いや、喋れないんだ。
「ふふっ。気に入ってくれたみたいだね。」
そんなわけ……
気に入るわけがないよこんな姿……。
こんな姿では外も歩けない。
鏡に映った私の身体は、魚のような下半身。
半人半魚の人魚だった。
細長い水槽のようなものに閉じ込められて
身動きもとれない。
「……。」
皮肉にも、目は人間の時と同じ赤と青のオッドアイで
嫌でも自分だというのが分からされる。
「安心してね。今はまだ記憶が混乱しているけど、
少しずつ、人間の時の記憶は薄れていくからね。」
記憶が薄れる……?
愛依との夢は?かなうくんへの想いは?
やだやだやだやだやだやだ……!!!!
「あ、そうそう。あともう1つ。」
男の人は何かの装置をいじりながら言った。
「君をずっとここに置くわけにはいかないから、
最適の場所に送らせてもらうね。」
最適の場所……?
「クエストでキミを倒しに来る人が
いるかもしれないけど、大丈夫だよ。
魂が尽きない限り、魔物は死んでも死ねないから。」
倒されたら、また同じ場所に再生するんだ。
不思議だよね〜。と呑気に話している。
けど、私にとっては気が気では無い。
「それじゃあ、第2の人生を謳歌してね。」
男の人が、ポチッとボタンを押したのと同時に
私のハッキリとした記憶と意識はそこで途絶えた。
公式Xアカウントにて、四コマ漫画の投稿も
スタートしました!
ぜひ読みに来てください〜!
↓リンク↓
https://x.com/r_f_official?s=21&t=jx_liHlVeFXsC4Rfof0NhA
四コマ漫画は、毎月第1と第3の土曜日更新です♪




