第18話〜職業試験①〜
「な、何これ…。」
職業試験と言われ、皆は何を想像するだろうか?
特別な魔法のアイテムが出てきて__
それが【貴方は魔法使い】【貴方は騎士】みたいに
組み分けするものだと思っていたけど…。
「独房みたいな部屋…。」
狭い個室に、私1人がポツン__
魔法のアイテムは流石におとぎ話というか、私の妄想か。
ゲームとはいえ、VRだもんね。
しかも五感がそのまま生きていて現実とほぼ変わらない。
ある程度自分の身体能力にあった職業とか
武器を選ぶのが良いもんね。
そう考えると、かなうさんや紫雨さんってかなり
動きが人間離れしてるような……。
「……いや、ゲームだぞ??」
深く考えるな!私!
[それでは始めてください。]
スピーカーから、アナウンスが流れた。
机の上には裏返しにされた問題用紙と
空白解答用紙のプリントが2枚。
そして、ボールペンが1本。
ここはアナログなんだな……と思いながら
私は問題用紙を捲った。
「心理テスト……?」
《迷子になっている子供がいます。
しかし、貴方はこの後大事な用事があり、
その用事に遅れることはできません。
貴方はどんな行動をとりますか?》
という記述問題があったり
《この中から好きな形を選びなさい。》
という選択式問題もある。
なんで心理テスト?とは思ったが、解答によって
より自分に向いてる職業へのフローチャートを
作ることが出来るからだと思った。
これを解いた後は、身体能力検査もする。
そこで更に向いてる職業を絞れるのだろう。
ゲームを始めたばかりでどんな武器を持てばいいのか、
どんな職業が自分に合っているのか分からない__
そういう人達の悩みを一気に解消出来る
システムだと思った。
あくまで向いてるっていう判断をしてもらうだけで、
必ずそれを選ぶ必要もないしね。
そこが自由度が高いを売りにしている
このゲームの凄いところでもある。
しかし、なぜこんな部屋でテストを……?
多目的室や広い部屋を時間制で貸切って、
複数人一気にテストすればいい。
ここは試験室C__
つまり、AとBもあるということ。
わざわざこれの為だけに作られた部屋にも感じた。
かなうさんはこのテスト受けたことあるのかな?
最後の問題が解き終わった私は、ペンを置いた。
[筆記テストが終了した者は、2階の
仮想トレーニングルームへ移動してください。]
「仮想トレーニングルーム……?」
一体どんなところなのだろうか……。
ガチャ__
施錠された部屋の扉が開く音がした。
心理テストくらいで部屋の鍵も
閉めなくて良いと思うんだけどな……。
そして、私は2階へ向かった。
「ここの施設、広すぎ……。」
施設のマップが見当たらず、私はプチ迷子になっていた。
まぁ、かなうさんほどではないけど…。
「何かお探しですか?」
背後から、優しい男性の声が聞こえた。
「え……あぁ……えっと……。
仮想トレーニングルームに。」
「職業試験受けに来たのかな?」
後ろを振り向くとそこには、背が高くて若い、
白髪ポニーテールの男性がいた。
「はい……そうです。今筆記試験が終わって…。」
「そうなんだ。あぁ、ごめんね。
名前も名乗らず質問攻めしてしまって。」
「いえ……お構いなく。」
顔の前で手を合わせて、ごめんねと謝るその人。
「僕は、天科智。」
ズキッ__
なぜか、その名前を聞いて頭が痛くなった。
なんでだろう……
初めて聞く名前……初めましての人なのに。
「鳴宮うつつです……。」
「うつつ……良い名前だね。」
にこにこと優しく笑う天科さん。
「僕、このゲームプレイして長いから
分からないことがあればいつでも聞いてね。
よく、集会所かアカデミーにいるからさ。」
「そうなんですね……。」
あの大きい学校に通ってるのか……。
白衣も着てるし、研究生なのかな?
「あ、ごめん!僕の話より、
仮想トレーニングルームだよね……!」
きっと、夢中になると周りが
見えなくなるタイプなんだろうなと何となく思った。
自分の知り合いにも似たタイプの人がいた。
「この長い廊下を真っ直ぐ行って右にあるよ。
試験頑張ってね!」
「ありがとうございます……。」
またねと天科さんは手を振って、
反対の廊下を歩き始めた。




