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思わぬハプニング




「アスタルテ君、私達の特訓相手になってくれないかい?」

「…へ?」




唐突にレーネから発せられる言葉にアスタルテは戸惑う。





カヨとの戦闘以来、レーネは悩んでいた。




それは、自分たちの強さについてだ。

今まで三人で様々な依頼を受け、ついにはSランクという称号を手にするところまで来た。




しかし、ロックドラゴン戦ではあっさりと倒され、カヨとの戦闘でも三人の力を合わせてなんとか退かせることが出来たくらいだ。

決して慢心していたわけではないが、こうも強い敵が続けて出てくると、自分の実力に疑問を覚えてしまう。




特にアスタルテ、彼女の存在はレーネに大きな影響を与えた。

つい数ヶ月前まで冒険者でも無かったはずの彼女は、あっという間にランクを上げ、気付けば自分と並んでいた。




それどころか、その力は自分達を遥かに超越している。




多少の遠距離魔法は使うものの、強化スキルを一切使っていないにも関わらず全ての脅威を拳一つで粉砕している。




神器がそれほど強力ということなのだろうか…?

しかし、神器は己が認めた者でないとその力を発揮しない。

ということは神器がなくてもそれだけの実力があるのだろうか…




それならば…





「直接、その力を感じるしかないかな…!」














▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲














「えっと、なんでこうなったの…」

アスタルテは対峙するレーネ達を見て小さく呟いた。




「アスタルテ君、私は君の本気を見てみたい。そして君に少しでも近づくために強くなりたいんだ」




レーネが強い眼差しでアスタルテに言葉をかける。




「なるほど…?」

ゼルさんともこんな事あったなーと思いながらアスタルテは返事をする。





「私達も全力で行く、だからアスタルテ君もそれに応えて欲しい」

「わ、わかりました…」




(流石に本気を出すわけにはいかないし、50%くらいでいこう…)





別にレーネさん達を馬鹿にしているわけではない。

アスタルテ自身、まだ自分の力を完全にコントロールできないのだ。




全力で走る、全力で殴る事はできるが、殴る瞬間だけ相手を傷つけない程度に調整する事ができない。

最悪取り返しのつかないことにだってなりかねないのだ…





「それじゃ、開始だ!」




レーネの合図と共に、アスタルテは拳を振り上げるのだった────













▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲














「レーネさん…すみません…」

アスタルテは、ベッドに横たわるレーネに頭を下げていた。




「何度も言ったじゃないか、あれは別に君が悪いわけじゃないんだ」

レーネはアスタルテの頭に手を置くと、優しく撫でる。





アスタルテとレーネ達の戦いだが、勝敗は3秒で着いた。

アスタルテが考えた作戦は、武器を狙うこと。

そうすれば、三人を傷つけることはないと思ったからだ。




狙い通り、ゼルさんとコトハさんのバスターソードとスペルブックを殴り飛ばす事には成功したのだが…




レーネさんだけは他の二人よりも反射神経に優れているため、咄嗟に剣を身に引き寄せ盾にしてしまった。




そのせいでアスタルテの拳による衝撃が剣を通じてレーネさんに伝わってしまい、結果レーネさんは大きく吹き飛び背中を壁に強打してしまったのだ…





幸い大事には至らなかったが、完治するまで安静にとしばらくレーネさんはベッドで過ごすことになってしまった。





「それに、君に本気で来いと言ったのは私だし、この結果も私の実力不足さ」

「そうは言いましても…」




こんな時でもレーネさんは優しい。

アスタルテは改めて自分の力加減をしっかり見極めようと心に誓う。




「じゃあ…そうだね、一つ頼みを聞いてくれるかい?」




そんなアスタルテを見てか、レーネが声をかける。




「あ、はい!私に出来ることならなんでも言ってください!」

少しでも役に立てればと思い、アスタルテは勢いよく返事をする……が、次にレーネが発した言葉は予想もしていないことだった────









………………


…………


……







(な…なんでこんな事に…?)




顔を柔らかい感触に包まれながら、アスタルテは赤面する。




レーネが要求してきたことは、添い寝だった。

……アスタルテとの。





ていうか、添い寝というよりは完全に抱き枕状態なんですけど…

ばりばり足絡めて来てますし。

それに、背中痛めてても寝返り打てるんですね…





こうも女性と近くにいると、アスタルテは色々と考えてしまう。




(うぅ…レーネさんいい匂いする…というか私大丈夫かな臭ったりしないだろうか…というかノレスやゼルさんで感覚が麻痺してたけど標準以上にレーネさん胸あるんだよな…)





「アスタルテ君」

「ひゃ、はひ!」




突然耳元で囁かれ、アスタルテは訳のわからない噛み方をしてしまう。

その恥ずかしさもプラスされ顔がさらに赤くなるのを感じた。




「君は少し不思議だね」

「へ…?」




突然の言葉にアスタルテはきょとんとする。




「君は同じ女性同士なのに私と触れ合って恥ずかしがっているだろう?それに私もそうだ、君と触れ合うと不思議とドキドキしてしまう…」




(私のは完全に前世が男だからなんだけど、レーネさんのはなんでなんだろう…)




私のどこかに前世の影が残っているのだろうか…

まぁ確かに一人称が私ということ以外は男の時と口調も行動もそのままだしな…




いや、だとしても怪力で半魔で200歳、それも見た目が幼女の人になんてドキドキするだろうか…




魅了のスキルを使ってるわけじゃないし、レーネさん達のは母性って感じでもなさそうだし…




(思い返してみれば、異世界転生したアニメの主人公とかってもれなくモテてるし、気付いたらハーレム築いてるから、そういうモノなのかな…)





いや、それにしても主人公が幼女で同性にモテまくるなんて聞いたこともないし需要もなさそうだ…




(でも結婚するなら相手は女性…だよなぁ…)




心まで乙女になってきてる事もないし、男とイチャイチャするのなんて想像しただけで鳥肌が立ってしまう。




身体だけ女性って想像以上に難儀な事なのかもしれない……





レーネに包まれたベッドの中で、この先の人生について考えさせられるアスタルテだった────




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