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「これ、装ってちょうだいね」

「はーい」

 私の得意は料理なので、孤児院の調理場に入って持って来た材料を中心に料理を作った。

 お手伝いに付いてくれた孤児の女の子たちが甲斐甲斐しく手伝ってくれる。

 10歳くらいのモナミが出来上がったばかりの具沢山スープを彼女より少し年下に見えるハミラと一緒に抱えて食堂の方へ行った。


 ジャガイモも、鶏肉もたっぷり入った具たくさんスープ。

 味付けは子供でも食べやすい様にクリーム味だ。

 牛乳は育ちざかりの子供には持って来いだもんね。


「ちょっと!そこまだ綺麗なってないわよ」

「そういうサマンサだって、窓曇ったままよ」

「うるさいわねぇ」

 孤児院に来ても喧嘩ばっかりの二人に、とうとうトム伯父さんは匙を投げた様だ。

 叱っていたのは最初だけで、途中からは疲れた顔で放置している。


 パンクは年少組の孤児たちと砂場で遊んでいる。

 お兄ちゃんと遊べるというので、年少組さんたちははしゃいでいるのだが、落ち着ついたパンクに引っ張られてか、不思議と統率が取れている。

 あ、ほら、あの子転んじゃった。

 でも、泣きかけたんだけど、パンクが膝についた砂を払って、洗い場で洗ってあげて無言で頭を撫でると、不思議に泣かずに我慢してるよ。

 パンクって孤児だからハムたちと仲良くしなかったんじゃなくって、ただ単に気が合わないだけ?

 だって、年少組さんたちとは仲良くやってるもんね。


「さぁさぁ、お昼ご飯ですよ~」

 院長先生が散らばっている子供たち全員に聞こえる様に戸口から叫んだ。

「「「おおおーー!」」」と叫んで食堂へ走り寄る年少組の男の子たちの後から、年少組の女の子たちの手を引きながら建物に入って来たパンク。

 まだ二人で口喧嘩しているサマンサたち。

 全員が同じ切り出しの木のテーブルに着いた。

 触らずとも分かる程の傷で一面覆われていて、何年もここで孤児の子供たちに使われて来たテーブルに全員分の皿が行き渡った。


「神に感謝を!」

 院長先生の音頭に合わせて全員で「「「神に感謝を!」」」と言って食べ始めた。


「すご~い。具がたくさん入ってるよ!」

「うわぁ。美味しい」

 子供たちの反応は概ね良さそうだ。

 私もスプーンを取って食べ始めた。


 ここの孤児院は子供が30人近くおり、一定の年齢になったら独り立ちさせられる。

 年長組が年少組の面倒を見ているが、国王の援助だけでは満足な食事は出来ないらしい。

 ハムたちを雇った事や、今回の食事などについて、院長先生からはトム伯父さんに既に丁寧なお礼が述べられたそうだ。

 それくらい孤児の就職先って限られているんだろうなぁ。


 パンクは隣に座った年少組の子の口の周りを拭いてやってる。

 結構、面倒見がいいんだね。


 あ、サマンサたちはまた口喧嘩してる。

 トム伯父さんがすかさず二人の頭を叩いているよ。

 本当に懲りないなぁ。


 ハムやナスカも、年少組の面倒を見つつすごいスピード食べている。

 いつも賄いを食べる時に思ってたんだけど、孤児院出身の3人の食べるスピードはめっちゃ速い。

 でも、今日ここへ来て、どうしてなのか分かった気がする。

 お代わりも早い者勝ち。

 ぐずぐずしていると横から手が伸びて、自分の皿の中の物が減っていくという孤児院の状況を見ていると、自然と食べるのが早くなったんだろうなって理解した。


 ウチの店で孤児全員を雇う事は無理だ。それに孤児の就職なんていうのは国王とか領主の仕事だと思う。

 まぁ、ここは王都なので、領主は国王って事になるんだけどね。

 でも、みんな将来食べる事に困らない様なちゃんとした仕事に就けるといいなぁ。

 取り敢えずは、今後も定期的に食材を分ける事はやって行きたいな。

 父さんも反対はしないと思う。

 事業が順調なので難しい事ではないしね。

 お貴族様からがっぽり儲けて、少しだけでも困ってる人に分けるっていうのは大切な事だよ。うん。

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― 新着の感想 ―
芋をあげるんじゃなく、 いものつくりかたを教えないと、 内職斡旋するとか、食材を卸値で譲るとか
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