14.5
エイファとローマちゃんの件で、気持ちが下向きになって来た今日この頃。
マルティル洋装店のパコムさんに包み隠さずローマちゃんの事を話してしまったのも、私的には地味に来てるんだよねぇ。でも嘘は吐けないし・・・・。
そう言う時は美味しい料理を作る!今日は仕事へ行かない日だし、良い気分転換になるはず。
う~ん、何を作ろう。
折角ストレージにマイクロウェーブや冷凍があるんだもの、普通では出来ない頬っぺた落ち落ちの料理を作りたい。
スキルで呼び出す素材や調味料も自重せずにっ!
ん!何か少し気分がアゲアゲになってきたーーーっ!
冷凍して美味しい物・・・・前世で良く作ってたポテトフライが良いかな?
大量にジャガイモを購入した時下拵えをして茹で、半分はそのまま調理して、残りは一旦冷凍に回していたんだよね。
令和日本の冷凍庫は技術も可成り進んでいて、素早く冷凍させるためにアルミのトレーに載せてできるだけ早く冷凍していたけど、この冷凍ストレージはマジで一瞬だものね。更に上の味が期待できる。
素材の味が劣化する事もないし、中に入れたままでも冷凍焼けしない優れもの!
ふふふふ。ポテトフライは一度湯がいた適度な大きさのジャガイモを冷凍させ、凍ったまま揚げると外がカリっカリ、中はホクホクのめっちゃ美味しいポテトフライになるんだよね~。
うん!一品目はこれで決まりだね!いや、これしかない!!
幼女な少尉が入隊時に発した「他に道は無い!それだけです」の台詞の強さに近い勢いで「いや、これしかない!!」なのだ。それ程手軽なのに美味しいのだ。ふふふふ。
後冷凍機能を使うって言えば私的には刺身か薄切り肉なんだよね。刺身の方は寄生虫対策だよ。
薄切り肉の方については、ウチには私のスキルで造っているミートスライサーがあるけれど、やっぱり半解凍の肉の方が切断面が綺麗なんだよね。ふふふふ。
薄切り肉と言えばすき焼きだけど、それだとポテトフライと合わないよね。
う~ん、でも茄子入りのすき焼きも捨てがたい!
前々世でざんぎり頭を叩いてみれば文明開化の音がする~♪な頃に流行ったすき焼き。
私が初めて食べさせてもらった鍋には何と茄子が入っていて、まだ当時の品種改良のされていないエグミのある茄子が甘辛い割下をじゅんと吸ってその存在を主張していて、生卵に潜らすと得も言われぬ美味しさだったんだよね~。エグミも美味しさになる時があるんだなぁ。
これって令和の日本に戻ったとしても、もう食べられない味なんだよね~。
でも!私のスキルなら当時の茄子も呼び出せる!
ああ~、でも、ポテトフライとは合わないかぁ・・・・。シュン。
薄切り肉・・・・薄切り肉・・・・っ!
キャベツの千切りを豚の薄切り肉で巻いて、ラップで形を整えて電子レンジへ。
大根おろしとカイワレ大根と浅葱を上に載せ、ポン酢で食べるの美味しくて、前世で良く作ってた。
時短料理の代表格みたいな物で、洗い物も少なくて済むからそれこそ頻繁に作っていた懐かしい味。
うん、これだ!これならマイクロウェーブストレージも活用できるしね。
いやいや、それだけじゃなく、ポテトフライ用にじゃがいもを茹でるのもマイクロウェーブで良いよね?栄養素が壊れないし。
うんうん!
あっさり味がメインだとポテトフライが主役になっちゃうから、ここら辺で濃い味の魚料理、行ってみる?
赤身魚のチーズ焼きなんてどうだろう?
黒胡椒をゴリゴリと粗びきにして載せちゃおう!視覚的にもドドーンと来そう。
だってこの世界、胡椒はめっちゃ高価だからね。それが大粒の粗びき。うん!圧倒的。
なら、豚肉のキャベツ巻は前菜にしちゃうかぁ。周りに彩とりどりの綺麗な野菜を飾り付ければサラダみたいにもなる?
あ、野菜だけでなく小さく切ったエリンギを網で焼いたのもこっそり入れちゃおうかぁ。
あれも大根おろしとポン酢がめっちゃ合うんだよねぇ。
そんで、メインが赤身魚のチーズ焼きのポテトフライ添え。
うんうん、良い感じ。
スープは敢えて作らずお酒をガンガン飲む感じ。だって、このメニュー全部酒の肴だしね。
最後は大人なデザートでオレンジ風味の生チョコ!
いいねいいね。
ブランデー飲む時のチョコレートって最高だものね。
〆はブランデーにしちゃう?
なら、時間促進ストレージを使ってブランデーを更に熟成させちゃう?
ふふふふ。サブスキル使いまくっちゃおう!
これはお酒によって癖があるからやってみないと成功するかどうか分からない。なら、ちょっと今から実験しなくっちゃ。
う~んと、りんごのブランデー、カルバドスならチョコレートとも相性が良いし、早速スキルで呼び出してみよう。
前世、旦那がどこかから貰って来た事のある丸ごとのりんごの入ったカルバドスのボトルを数本、スキルで呼び出しました~。ラブリ~♪
まずは味見。キュポン。トクトクトクトクッ。お猪口みたいな小さなグラスに注いでみた。
う~ん、まろやか。でも、同時にガツンとアルコールが来るねぇ。
妊活中に飲んで良いお酒ではない様な・・・・。
まぁ、一晩くらい飲んでも鑑定で確かめたらまだ妊娠の兆しはないし・・・・。
ただスキルは食材鑑定だけに、自分の妊娠までちゃんと鑑定できるかどうかは不安いっぱいだぁ。
それでも今夜は飲みたい!
ああ、ダメな大人の典型だぁぁぁぁぁ。せめて私は小さなコップ1杯にしておこう・・・・。
でも、良いの!
今日は気分アゲアゲで行くんだから。
よっし、熟成できるかどうか実験スタート!
どのくらい時間を進めたらいいのかな?う~んと、試しに1年くらい?時間促進ストレージでスイッチオン!
コポッ。小さなグラスに注いで味見を。
ぐっ!アルコールが更に強くなってる。
私は最初の瓶のままでいいかなぁ?
こっちの1年熟成を加えた方は、ユーリに飲んでもらおう。
結局、時間促進ストレージはあまり使わないまんまになってしまった。あうっ。
メニューが決まってからは、夜に向けて料理作りましたよ。それも大量に。
夫婦だけでは食べ切れないので、父さんたちの所へも、フローリストガーデン 光の厨房にも、そして王都店のレストラン厨房にもおっそわけ。賄いに間に合う様に持って行ってもらった。
私は可成り気分がスカーっとしたし、ユーリは渾身の料理とお酒に喜んでくれたし、後日、料理長たちもこのメニューに触発されて新しいメニューを思いついたりと良いことづくめだね。
このメニュー、電子レンジの部分は湯がいたり蒸したりで応用できるけれど、ラップは・・・・あっ!簀巻き?いやいや、小麦粉を肉の端っこに少し塗して肉がほどけない様にする?
少量の小麦粉なら舌触りも変わらないはずだから、やっぱり小麦粉で代用してもらうかぁなんて色々考えたレシピを料理長たちにあげたんだよねぇ。
毎日の主婦としてのルーティンワークの料理とホテルの経営ばかりだったから、こういう風に料理を突き詰めて考えて、スキルも遠慮なく使っての料理は、本当に、本当に久し振りで楽しかった。
私は、5歳でスキルを貰ってからその日の内に親元を離れた。
大好きだった父さんや母さんと離れ不安だったけれど、伯父さんの所では大事にしてもらった。
でも、寂しかったのだ。無条件で溢れる程の愛情を注いでくれる両親の元を離れ、何時、また一緒に暮らせるか分からなかったあの頃。慣れるまでは伯父さん一家にも好いてもらえるかどうか不安だったのを覚えている。
そうこうする内に大公様に見いだされ、王都へ呼び寄せてもらい、便宜を図って事業を興させてもらって家族が一緒に住める様になった。
だから、料理魔法やスキルは家族が一緒に暮らすための手段としてしか認識してなかったけど、もしかして私は純粋に料理するのが好きかもしれない。
こんなに鬱々としていた気分が思いっきり料理しただけですっと晴れるなんてと、新たな自分について発見できた目から鱗の貴重な一日だった。




