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日曜が来た。
今日は学校の日だ。
ランディと手を繋ぎ、学校まで歩く。
「リア、ウチの仕事に慣れたかい?」
「うん!」
「お前は凄いな。美味しい料理をいっぱい作って、煮豚は俺も好きだ。もっと新しい料理は作らないのか?」
「う~~ん。伯父さんが新しい料理を作りたいかどうか分からないから・・・・。もし、伯父さんがもっとレシピを広げたいって思ったら、もちろん私も一緒に考えるよ」
「俺は、新しいスープがあると嬉しいなぁ。ほら、大葉が入ったスープみたいに、新しい味のスープ」
「そうねぇ。スープなら色々味付けも変えられるし、難しくないと思うよ」
「おおお!」
なんて話しながらだからか、あっという間に着いちゃった。
「「「「おはよう~」」」」
「「おーっす」」
「「パルマン先生、おはようございます」」
生徒たちが思い思いの挨拶をしながら教室に入って来た。
「リア!今日は何して遊ぶ?」
ランディのグループで唯一の同い年のパメラが纏わりついて来た。
赤毛でおちびちゃんだ。といっても、背丈は私と同じくらい。
「おい、パメラ。まずは勉強だろう?」
ランディ、ナイスフォロー!
「そうだね。今日の勉強が終るまでにはみんなで考えようね」と言葉を濁しておく。
先週教えた『石像が転んだ』が流行っていて、多分だけど、今日もそれになると思う。
だるまさんと言っても誰も理解できないだろうから、石像という事にして広めたのだ。
パルマン先生のカテキズムは相変わらず絶好調で、寸劇を見ている様だ。
その後は、黒板に書いてある文字の書き取りや計算問題を解いたら授業は終わりだ。
私が読んでいた叙事詩も2巻に突入している。
どんな事が書いてあるの?というパメラの質問に対し、簡単に内容を説明したらとても気に入られ、それ以来パメラとは特に仲良しさんだ。
パメラのお兄さん、パウロをはじめグループの男の子は体を動かす遊びが好きみたいで、今度、缶蹴りなんかも教えてみようかなぁ~。
パウロは中背なのでランディの方が大きいのだが、親分肌なので体格に関係なく男の子たちはみんな一応パウロを立てている。
もう一人の男の子、アンディもパウロやランディと同じく、私より2歳上で、『いもり亭』の次男らしい。
『いもり亭』は、『熊のまどろみ亭』とは同業他社になるが、規模が大きくて、馬車が止まる広場に面して建てられている。
パウロの従弟らしく、髪も赤毛だ。
おとなしい性格で、特に反対意見がなければ黙々とリーダーに従う感じ。
子供のグループだけれど、薄らと大人社会の影響が垣間見える気がするのは気のせいだろうか?
パン屋の娘ラーラは、私よりはちょっとだけお姉さんなんだけど、お洒落に興味があるみたいで、私にべったりのパメラとの会話を掻い潜って、良く王都で流行っている服についての質問をしてくる。
「こんな田舎だとあまり情報が入らないだぁ。でも、時々食堂に入ってるお貴族様の服装なんかを見るのがでぇ好きだぁ。馬車の乗り降りの時くらいしか見えねぇけどな。ねぇねぇ、今流行りの色は何色なのけ?」
ファッション関係が好きなわりには、方言がめちゃくちゃ強いのでギャップがすごい。
「そうねぇ・・・・。年齢にもよるけど、デビュタントの女の子は公式の場では一律真っ白なドレスを着なくてはいけないので、それよりちょっとだけ年上の人たちはピンクとか若草色かなぁ・・・・。奥様連中は、黒とかワインレッドとかが流行ってるねぇ」
「ワインレッドって何け?」
「よく寝かせた赤ワインの色だよ」
「へぇ。大人は暗っぽい色がええんだね」
「うん。でも、また春になったら流行の色は変わるから、今のは冬の間の事ね」
「へぇぇ。季節によって流行る色もちげぇんだねぇ。勉強になた!」
ラーラと長く話すと、パメラがモソモソと体を動かして私たちの注意を自分に向けさせるのが常で、今日もそうなった。
パウロは少しジャイアンが入っててボスの気性が強いが、妹には弱いみたいで、多少パメラが我儘を言っても放置している。
パウロは将来父親の跡を継いで村長になるつもりらしく、グループのアンディやランディにも良く命令口調で指示を出す事がある。
アンディもランディも短気な方ではないのでおっとり構えていて、パウロと喧嘩になる事はめったにない。
「おっし!今日の学校は終わったから、何して遊ぶか決めようぜ」
給食が終ると、早速パウロが音頭を取った。
「俺、石像が転んだがいい」
「あっ、俺も!」
グループの男の子組がゲームを決めたので、私達女の子組もそれに従う。
石像が転んだは小さなパメラや私でも問題なく参加できるので遊びやすいのだ。
王都では同じ年頃の友達はいなかったのに、ポンタ村だと親戚も友達もたくさんできた。
父さんと母さんが心配しない様、私からの手紙には良く友達の事などを書いて送っている。
これで少しでも母さんたちが安心してくれるといいなぁ・・・・。




