第47話 最強の双子
あけましておめでとうございます!
いよいよ カルテット・シンドローム更新再開です!
今年もよろしくお願いします。
【あらすじ】
オレは武道オタクの天堂樹だ。ある日、超絶イケメンのオレの親友瞬弥に、突然別人格の魂が入り込んできた!
彼の名は古代英雄のクリシュナ。なんでも敵に追われて塔から飛び降りた拍子に魂だけこの世界に飛んできたらしい。
瞬弥は彼の生まれ変わりだという。そこにクリシュナの親友である、同じく英雄アルジュナが追ってくる。
そいつは、なんとオレの前世だった。
オレと瞬弥はアルジュナやクリシュナの魂とともに、失くしたクリシュナの体を探すために古代インドへ時を遡る。
そこではアスラ族に襲われたり、蛇の王を追っかけたりと頑張ったんだけど、
結局クリシュナの体を見つけられなかった。
そんな時、実はクリシュナの宿敵、カンサ王の王宮に体があることが分かった!
ところがそんな大事な時に、オレは些細なことでひよってしまい、一人現代に戻されることに。
大いに反省したオレだったが、古代に帰る方法はなく……。
と思っていたら、天才双子の弟達が、まさかの時を遡る道具を作った!?
さあ、今度こそ最後まで戦うため、オレは瞬弥の元に戻れるか!?
オレの目の前に、二人の美少年の姿が現われた。四つの少し茶色がかった瞳がオレを探るように見ている。
「やった! 成功だ!」「兄さん! 大丈夫!?」
三人で同時に叫んだ。オレはついに無事に隣の蔵、双子の翔の部屋に移動することに成功した!
ついに、と言ったのは、最初に双子が試作品を持って来てから、今回で五回目のトライだったからだ。日にちは既に五日を費やしている。その間、オレは文字通り酷い目にあった。
一番最初に試した時は、移動できたのは、オレの声だけだった。オレ自身は双子の姿が見えていたのだが、二人には声しか聞こえなかった。
実はこの時が最も焦った。体と魂が分離した状態と考えられたからだ。どうやったら無事に自分の場所に戻れるのか、すぐにできなかった。
「兄さん、自分の体をイメージして! そうすればきっと戻れるよ!」
航の言葉にはっとして、オレは無事、自分の体に戻ることができた。
それから、足だけ移動したり、顔だけ移動したりと、かなりホラーめいた結果に陥ったが、体が細切れになることだけは避けられた。
そして、オレがここに戻ってから七日目。ついに体全部を移動させることができたのだ。
「大丈夫だ! 全てここに移動できている! ハックション!」
興奮で体は火照っていたのだが、何故か寒気を感じた。オレは改めて自分の体を見た。
「あ……」
何とオレは全裸だった。
「ターミネーターみたいだね! でも兄さん、体すごく出来上がってるから、シュワルツェネッガーよりもカッコいいよ!」
「そういう問題じゃないだろう。せめてパンツくらい履いていたい……」
オレは航が持って来てくれた服を着ながらそう言った。オレの部屋で、それは抜け殻よろしく置かれていたらしい。
オレはこの一週間、怪我の回復とともに訓練を再開していた。そのせいでまた絞れてきた感じはある。でもオレはそれを見せびらかす趣味はない。
しかし、この不可思議な移動は翔による微調整ですぐさま解決した。その後は問題なく移動ができ、ついに完成を見たのだ。
「ありがとう! おまえら本当に史上最強の双子だな!」
オレは二人を力いっぱい抱きしめた。奴らからはシャンプーなのか柔軟剤なのか、良い匂いがしてきた。ホントにオレの弟にしては勿体ないくらい出来た奴らだ。
「兄さんに喜んでもらえて僕たちも嬉しいよ。これで瞬弥さんのところへ行けるね」
そう言いながら、翔が『時渡りの粉』が入った瓶に手をかけた。
「待て。これはオレが全部持って行くから」
「え!?」
「おまえらの魂胆にオレが気付かないとでも?」
オレは知っていた。二人がいにしえの時代に行きたがっていたことを。第一、そのためにこの『時渡りの粉』を開発していたんだ。
だが、そんなこと、兄として許せるはずもない。散々協力させておいて不憫ではあるが、双子は置いていく。
「でも、僕たち絶対役に立つよ! 僕たち、言葉もわかるし。ほら、道具だって、必要でしょ?」
「そうだよ。操作は僕たちにしかできないし!」
翔と航は、これ以上ないくらいのおねだりポーズに入った。二つの双眸をうるうると潤ませ両手を胸の前に組んでいる。
言葉がわかるというのは、クリシュナが練った術のことだ。オレと瞬弥は、彼らと会話ができるよう、出会った時から術をかけられている。自国の言葉を話しながら、同時に相手国の言葉に翻訳できるって優れモノだ。
そう考えてみれば、クリシュナが瞬弥の魂を消せるってのはハッタリではないのかもな。
言葉の術は二人にもかけてある。別に過去に連れて行くためではない。アルジュナがここに居た時、便利だったからだけだ。
二人が言う、道具というのは奴らお得意のドローンや通信機。こんなものを自前で作ってしまうんだから恐れ入る。もちろんその道具類は持って行くつもりだ。
「大丈夫だ。向こうには瞬弥もいるし、なんとかなる。だが、オレが行く時代は獣も悪い人間も野放しになっている危険なところなんだ。おまえ達を連れていけるわけがないだろう」
オレは心を鬼にして、おねだり弟ズを冷たく突っぱねた。二人はしばらく不満そうな顔をしていたが、やがて納得したのか、諦めたように口を開いた。
「わかりました……。じゃあ、ツールの使い方メモ、渡しておくね」
「え? お、おお。サンキュ」
意外にあっさり折れてくれたので、オレはほっと胸を撫でおろした。
「色々ありがとう。恩に着る。戻ってきたら、焼肉ご馳走するよ(瞬弥が)」
オレが真摯に礼を言うと、二人は天使のような微笑みを返してきた。だが、オレは気づくべきだった。こいつらがしたたかな天使であったことを。




