加純さん、今年も春の絶不調を乗り越えようと奮闘する。
春3月。うららかな季節、創作の方もはかどって……
――と言いたいところなのですが、これがこの時期いつも「ドツボ」にハマるのです。
「ポピー」
これは最近気づいた自分の癖なのですが――。
ストレスが溜まると甘いものが食べたくなる欲求が強まることありませんか? スイーツが食べたい、っと思う。
わたしの場合、もうひとつスイートを描きたくなるという欲求も高まるような気がします。描くとね、スッと落ち着くの。なんなのでしょうね、これ。
そんなタイミングで記念日のお知らせを発見すると、思わず描いちゃうスイーツのおめでとうカード。(ど~しても手が出せない場合もありますが)
まずはコロン様へ。気合の入ったショートケーキをお贈りしました。
さほど時間が経たないうちに、もうひとつ。お祝い事を見つけました。
こちらはげんら様へお贈りしたもの。コロン様へ贈答したものよりケーキは小ぶりになりましたが、その分背景に花とペーパーレースを入れて華やかさを盛り上げています。
ちょうど季節だということもあり、いちごはマストですね!(←お贈りしたのは3月でしたから)
大浜英彰様「鉄観音と八角が利いた西洋情人節の進物」より、馬秋桜さん。
大浜様はご自身でAIアプリを使用してとっても美麗にキャラのイメージイラストを作成される方ですので、わたしのへたっぴな絵を送るのも憚られますが、たまにはこんなのも雰囲気が変わって面白いと思ってくださるかも? とカラーじゃなくてモノクロで描いてみたのです。
AIイラストって、カラー画しか見たことないんですもの。
あれは、カラー画で作成せよって指定するからなのでしょうか? AIさんはカラー画至上主義で、モノクロは好きじゃないとか?
加純さんはモノクロ画大好きなので、モノクロ描きたいの。
カラー画の方が難しいと思っていらっしゃるかもしれませんが、実はモノクロ画の方が奥が深くて難しいと思うのよ。(個人の意見です)
カラー画だと色で誤魔化すことが出来るのですが、モノクロ画だと、線画の上手下手が一目でわかっちゃうのよね。あとデッサン力の有無。AIさんはたくさんデータ持っていらして、その中から最適なものを選んでくるから関係ないのか。
けれど生身の絵描きは、線をきれいに引く為には、アナログでもデジタルでも練習しないと身に付かないの。だから描き手は、練習を重ねないと線を引けないのね。
たかが線、されど線。線画を描くには、きれいな線の方が映えるではありませんか。
入り抜きだとか、アクセントの付け方だとか。線の太さ細さや、1本の線をきれいに長く引くことだとか(←これが難しいのさ!)。
デジタルだと筆圧の加減とか設定で調節できちゃうけれど、アナログのペンだと、自分の感覚を磨いていくしかないの。Gペンとかスクールペンとか、丸ペンとか、お道具で線の細さ硬さを使い分けるのも手段だけど、そのペンを使いこなすのは自分の技術なので。
あ、わたしの絵でそれを確かめちゃダメよ。わたし下手な方だから。プロの絵を見て勉強してください。
ちなみに秋桜さんはデジタルで描いています。線画はすべてクリップスタジオの素材から見つけて来た「なめらか線画ペン」というものを使っているのですが、場所によってブラシサイズを変えています。
アナログだと、同じ丸ペンでも力の入れ方や入り抜きで変化を付けています。これは感覚なので、どこをどう……とは一概に言えない。それこそ多種多様に臨機応変。そこがアナログの面白さなので、面倒臭いとか言ってはいけない。
ミリペンの場合は、0.1ミリ、0.3ミリ、0.5ミリとブラシサイズを変えています。0.05ミリや0.03ミリを使うこともありますが、色によっては細すぎて写メを撮った時に映らないこともあるので、消えてもいい場所に使ったりします。(スキャンじゃなくて写メでアップする派)
だいぶわき道にそれてしまいましたが、大浜様、ありがとうございました。
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本題。春の「ドツボ」の話です。
「#渚と空のミュージアム」こちらのSNS展覧会にお世話になって、5年くらいたちますか? 初回は2021年だったので。(←記憶が曖昧過ぎて)
企画立ち上げの時にツイッター(当時)でクリエイター募集していて、「お恐れながら……」と手を挙げたのがきっかけ。
よくぞあの時参加すると勇気を出したものだ、と自分で自分を褒めてあげたい! というくらいの快挙だったのよ。
最近は企画参加も、自分の都合と体力が許す限りは参加しようというスタンスになりましたが、当時は「清水の舞台、もしくはスカイツリーのてっぺんから飛び降りる」様な心持ちだったのです。
こちらの企画は年5回くらいのペースで開催していたので、ほぼ1シーズンに1枚の絵を描くことになります。そこでわたしは季節に合った題材を選ぶようになりました。
例えば、春は「Primavera」や「両手に華」とか「ぶらんこにゆれて」など、テスを中心に。秋は「紅葉狩り」や「天女舞う」などマオが担当することが多かったです。
クリスタは「雪の女王」で冬に、春に「ジューンブライド」など、テスとコンビでフレキシブルに出演していました。
ところがね。春って、わたし絶不調なのよ。
毎年春は絵が描けない……と言うか、自キャラが描けない病になるのさ! それはもう、「ドツボ」にハマって抜けられないくらい(泣)
理由は知らないよ。でもね、がんばってもがんばっても、自キャラが描けないのよ!
テスが描けない病。サイアクだと思いませんか。
始終描いているから、それなりに特徴を連ねてテスっぽく描くことはできるのだけど、出来上がりがなんだか違うのよね~。
表情? 雰囲気? スタイル?
ここがこう違うからおかしいのだ――と説明できるのなら「ドツボ」にハマってなどいないわ。自分でわからないから、どんなに描き直しても修正できないから、「ドツボ」なんだよぉぉぉお!
じゃあ、なぜ春にテスを描こうと思うのか?
だって、彼女のイメージって春から初夏っぽいでしょ? ぴったりじゃん。(←描けないから意味ないんだけど……)
描けなくなるキャラno.1 テス
それでも。自分で決めたことだから、春はテスを描きたいのよっ!
矛盾? こうなると、半分意地なんだろうな。
過去のラフ画やら、失敗作をリトライして描き起こしたりとか、なんとか自分を誤魔化し誤魔化し描いてきました。そのたび主催者様に平謝りを繰り返しぃ~の、言い訳を連ねぇ~の、締め切りを延ばしていただきながら、なんとか最終ラインまでには滑り込むという迷惑三昧。(←それでも最終締め切りは落としたことはない!)
その分……と言っては弊害があるかもしれませんが、こちらの企画へ提出した作品は「力作」「大作」が揃っています。「代表作」みたいな作品が多い。そのくらい力が入っていました。込めさせていただきました。
だから! この春も気合だけは充分なのに、描けないのよぉぉぉぉお!!
締め切りが迫って来たってのに、脳内も紙の上もまだ真っ白な状態でした。
とにかく!
とにかく制作をしている誠意だけでも見せなければ――とひねくり出したのは、この絵。顔が微妙だけど、そこは後で修正する! 加純さん、修正は得意さ!
純和風の着付けじゃなくて、現代ぽくレースとかブローチとかアクセも付けて、和洋折衷コーデにしてみよう。この頃別のイラストでも着物姿の女性を描いていたこともあり、変化を付けてみたくなったのよ。
レトロモダンの路線でいきましょう! とようやく軌道に乗ってきました。
なんだか物足りないから、フレームで囲ってみることに。仮置きしたフレームは素材から借りて来たもの。
華やかさは出て来たけれど、なんだか直線で囲わない方がいいような気がしてきたわ。描き進めながらデザインは検討することにしましょう。
ところでなぜにイラスト内にわざわざフレームを描くのか? 囲うことによって、観る人の視線が自然とフレーム内に集まるので、ピンぼけな絵の場合非常に有効な「映え」手段なのよ。もうこの辺は必殺技になっているよね。
あと無意識にポージングしていたのですが、テスが持っている扇子を口元に傾けている。これも視線誘導になっていた。他所から指摘されてやっと気づいたくらい、大ボケしていた。
季節柄、桜を描く。お花見ぽい雰囲気で。(製作時は3月。展覧会開催予定日も3月末!)
着物まで色を入れたところ。
仕上げ前なので、きれいじゃないのは許してください。途中の絵ってこんなものなのですよ。
だから表にはあまり出したくないの。(背景の水色は塗り残しやはみだしをチェックするための仮置きなので気にしないで)
ここまで来ても、やっぱりテスの表情が気にくわない。メイクでどうにかなるかと思ったけれど、やっぱり気にくわない。
はっきり言って、「許せん!」なくらい気にくわない。
はい、修正よ!
わかりやすい笑顔にしようと、お口を少し開けてもらうことにしました。
少しはマシになった(気がする)ので、背景を描き込む作業に移ります。(←満足はしていないけれど妥協ラインまで到達した)
途中経過でこれだけ描き込んで色を多用しているので、背景まで凝り出しちゃったら「うるさい」でしかないわよね。だから背景はあっさり仕立て、を目標にする!
モノクロの線画の桜に、シルエットの薄墨桜。
これにテスを合わせると、こうなる。
このままだとはっきりくっきりの印象なので、春感というか春霞がかかっている雰囲気(空気感)をプラスするために、テクスチャを重ねて微調整。
画面中央に視線を集めるために、フレームも入れて。
最後にサインを入れて――出来上がりっ!!
ヒロインらしい、キラッキラなテスになりました。ほっ。
あ。タイトルは「すぷりんぐ はず かむ」です。
長くなりすぎちゃったので、ごぼうかえる様主催「#新12ヶ月の小品集2025」3月のお題は次回に持ち越します。
今回も、お題が「魔導書/魔道書」というかなりディープでマニアックなものでしたので、「すぷりんぐ はず かむ」とは全く違う雰囲気で書かせていただいています。
そんな調子ですが、次回もお楽しみに。
ご来訪、ありがとうございます。
次回はとても春とは思えない「魔導書」の登場です。
完全に、ストレス発散! 趣味全開!
結構不気味です。




