加純さん、ドジョウを釣ろうと思う。
亡くなった父の趣味が釣りでした。だから、加純さんもがんばればドジョウを釣れると思うの。
……あ! でも釣りのお話ではなく、これはお絵描きのエッセイですよ。
年明けて、2024年。
このエピ書いているのは4月だけど、今回は1月のお話。
新年のご挨拶イラスト。辰年なので、エムに騎竜してもらいました。
貴婦人らしく、ちゃんと横乗りしています。(←このコメントの意味は「エムこん」10話、もしくは「58. 加純さん、乗馬スタイルを考察する。」をお読みください)
さて、1月。
不調の底無し沼に足を取られたままの加純さんでしたが、悪い事ばかりではありませんでした。特大の良いことがありました。
なーんと、お年玉いただいちゃった!
「第五回イラスト交換企画」でニニコちゃんを描かせていただきました古川アモロ様より、「エムリーヌ・ホルベインの結婚(サブタイ略)」のコミカライズを頂いちゃったのです。
わーい!
拙作は主人公エムの視点で物語が進行しますが、コミカライズは「幕間」風に、伯爵とその部下である騎士団と傭兵部隊の隊長たちの会話が中心。
詳しく説明するとネタバレになってしまうので、ここはご覧ください。
エムの乗馬ドレス描くの大変だったと思います。わたしも大変でした。(←おい!)
彼女のドレスはバロック前期のデザインを参考にしているのですが、いつの時代も貴婦人のドレスはすべてオートクチュール。下賤な言い方をすれば「金に飽かせて」作っているし、職人たちも腕によりをかけて制作しているので、それはもう手の込んだ豪華で芸術作品のようなものばかり。ドレス好きとしては描いていて楽しいのですが、ある程度省略していかないと、ゴテゴテの飾りつけばかりになり収まりがつかなくなりますものね。
大胆なカットワークと構図はアモロ様のお得意とするところだと思いますが、2ページ目の乗馬シーンは、馬とエムがこちらに飛び出してきそうなスピード感と迫力があります。わたしの描いた竜に乗るエムとは大違いだわ。
私のお気に入りは、実は4ページ目で、手を延ばすエムの表情(ここは伯爵の回想)と伯爵の後ろ姿から室内とふたりの隊長たちへと視線が広がっていくこの流れが好きなのです。演出とカメラワークのお上手さ、コマ割りって難しいのですもの。(←だから加純さんは漫画が描けないのさ)
アモロ様、ありがとうございました。
もひとつ、お年賀のご挨拶で、かわいらしいスタンプをいただきました。
こちらは歌川詩季様から。
愛してるぜっ♡となかよし♡
かっわいいぃぃぃ~~!
詩季様の絵は見ていると元気がもらえるので大好き。愉快な雰囲気も楽しい。動物を生き生きとキャラクター化されるのがお上手! わたしもこんな風に描いてみたいわぁ。
詩季様、ありがとうございました。
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それにつけても。
先月から続く不調で、どうにもイラストが描けないゾーンを抜けられません。
描けないものは仕方ない。参加したかったけれど気力体力諸事情考慮の末参加出来なかった企画が始まりましたので、読み専に徹しようかと思いました。
素敵な作品をたくさん読んだら、なにか別の光が見えてくるかもしれませんよね!
――と、のん気に考えていたのですが。忽然と、それどころではない事に気づいたのです。(←遅い!)
締め切りがッ!
次の参加企画の締め切りが今月末に迫っているではありませんか! しかも2枚! (←もっと早く気づけ!)
ぎゃあぁぁぁ、大変だわ。(←関係者の皆様、誠に申し訳ございません)
なにを描きましょう。というより、もう、なにが描けるかしら? です。不調のときって、描けるものも描けなくなってしまうのですもの。描くテーマが云々より、描けるものを見つける方が手っ取り早いと思うのです。この割り切り方も問題だと思うけど、この際スルーしてください。時間がありません。
なにがなんでも作品を提出することの方が大事なのです!
とにかく、描くものを決めましょう!
これまでの経験から、不調の時って人間のキャラクターは描けなくなるのです。どうにもキャラがキャラの顔にならない……のですが、このジレンマわかっていただけます?
だからキャラを描くのは却下。静物とか、風景を描こう。加純さん、この辺の引き出しを作っておいてほんとーによかったわ。
よし、風景画にしよう。昨年度もこちらの企画で街の風景を描きました。思い出せば、その前のシーズンでもやっているぞ。で、そこそこ好評だったのです。
ですから、何匹目かのドジョウを釣ることにしました。
前回の街角は人通りの絶えた夜の風景「六番街の月」でした。ですから今回は、賑やかな昼間の街を描いてみたいと思いました。(ちなみにその前は「ショッピングの途中」)
カフェなんて、どうでしょう。人々が行き交う通りに面した、小さなカフェ。テラス席で、思い思いの時間をゆったりと過ごす客たち。
このイラストは他のクリエイター様に後からミニストーリーを付けていただくことになっていますので、構図はなるべく突っ込みどころが多い構成にしようというか、あれこれストーリーを連想させる風景にしたかったのです。
幸いカフェの資料写真なら、たくさん手元にあるのです。「テスクリ」のテスのバイト先がカフェという設定で、イメージを掴むためにあれこれ探していたので。それに今から別のテーマで資料を探すとなれば、時間がかかってしまいますものね。
その中から2〜3点ピックアップして、大体のデザインとか配置を決めて下書き。
それをペン入れしたもの。
使用したのは、アイシーのComicLinerの黒。わたしはこのペン好きなのですが、すでに廃盤品。
以前本屋の文具コーナーで見かけたときにまとめ買いしておいたのですが、あと2本しか残っていない……。
他社メーカーのペンが使いづらいわけではないのですが、お道具って相性がありますものね。
この先、どうしようかしら。
――という心配はさておき。
街並みシリーズはベタを使っていません。ひたすら線を重ねて印影を付けていきます。カケアミとか、ナワアミとか。辛うじて、このあたりのテクニックは見よう見まねでなんとかなるのです。(←加純さんの場合、全部見よう見まねなんだけどね)
えっと。カケアミというのは、サクッと説明すると、線を網のようにクロスさせて白黒絵の濃淡を表現する技法のこと。
1カケから4カケ(……場合によっては8カケぐらいは必要かも)を少しずつ重ねてグラデーションも作れますし、アミのかけ方によっては柔軟や明暗の表現など、絵に独特な雰囲気を出したりと色々使えるのです。
ナワアミは線の束を蛇行させて、うねらせて描いていく方法。わたしは円形を重ねていく方がラクなので、ぐるぐるになっていますけど。
どちらの手法も美しく仕上げるためには、線を真っ直ぐに引くことと線幅をそろえることが重要なのですが、これが上手くいかないのが悲しいところなのさ。
(※カケの見本、手書きで作成したのだけど拡大されると残念なほど下手なのがバレるので、素材を利用させていただきました。イラストの方は、ちゃんと手書きしています)
今回の絵は、一番黒いところは4カケ。2カケ、ナワアミ、斜線と線の引き方や重ね方でアクセントを着けていくのですが、どこにどんなアミを使うのかは、その時の気分だったりする。計画性って言葉を知らない人なのね。
一応、どちらの方向から光が当たっているとか、影の位置とか形とは、最初に決めていますよ。
失敗が怖いアナログ絵描きなのに、計画書を作ると出来なくなっちゃう性分で。描いている途中で浮かんでくるアイディアを採用していく方が面白いモノに仕上がる、のも計画性を阻んでいると一因だと思います。
順調に作業は進んでいたのですが、ここで重大なことに気が付きました。
この企画、世に出るのは3月なのですよね。おそらく3月後半。(公開日は3月23日でした)
描いているのは1月なので、作品の中の人物たちは厚手の冬服を着ています。でも3月の後半でしたら、もう桜の咲いている季節ですよ。いくらなんでも重たいコートは着ていないでしょう。
季違い、になっちゃいます。
獄門島じゃありませんからトリックが云々ということはないのです(←加純さんミステリ大好きである)が、どうにも気になります。「仕方ない」で済ませてしまえばいい(←ほら、ミステリ大好きだから)のですが、気になりだすと気持ち的にどうにも引っかかるものが……。
やっぱり。どうしても気になるのよね。金〇一さんから突っ込みが入るの、イヤだし。
――ということで。描き直しました。
アナログ画なので、最初から全部。思いきりよく。
作品中のキャラたちの服装、春仕様にしました。モノクロだからわかりにくいかもしれないけれど、したのよ!
そして描きあがった作品がこちら。
タイトルは「二番街カフェ前 11:34」。 285×200 写真色加工アリ
使用した紙は、百均で購入したスケブ。紙面の凹凸が少ないので、ペンが引っかからなくて描きやすいのです。安価なのも魅力ですが。
前作が寝静まった「六番街」だったので、今回は二番街に移動。どうしても二番街でなければいけなかった訳はないのですが、この時は二番街の気分だったらしいのね。根本的にタイトルを付けるのが下手なので、いつも適当といえば適当なのだけど。時間帯も夜からお昼に。賑わう街並みを描いてみたかったのです。
ところでなぜに今回は11時34分という中途半端な時間を付けたのか、とお思いかもしれません。
ランチタイムの前の、まだのんびりした時間帯。中央テーブルでくつろぐ老夫婦が、散歩の途中でふと立ち寄ったカフェで腰を据えちゃった、みたいな。そんなの~んびりした雰囲気にしたかったのですわ。
なので時刻も最初は11時35分だったのに、提出するときに34分に書き間違えてそのままになってしまった、だとか……は些細なことになりました。
それに「11:34」の方が、まったり感があるような気がしませんか? ええ、そんな気がするだけですよ。
このカフェはテスのバイトする「カフェ・ファーブルトン」(想定)ではないのですが、その外見の資料に集めていた写真を参考に描かせていただいたので、あそこもこんな感じだと思います。というか、資料写真をたくさん集めておいてよかったー。転ばぬ先のナントカ、ね。
ところで。左端のお姉さんが抱えるトートバッグのデザイン。気づいた方、いらっしゃるかしら? ちょっといたずら仕込みました。えへ。
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そしてイラストを仕上げつつ、企画の全作品も読破いたしました!
そのご褒美に相内充希様からいただいたのが、こちらのサンキュカード。前回可愛い系の女の子のカードをいただいておりましたので、今回はハンサム系女子なのだそうです。
きりっと素敵ですね。でも見ようによっては美少年にも見える。二度オイシイ、ですね。最初に見た時、マオにちょっと雰囲気似ているな~と思ったの。
相内様、ありがとうございました。
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天界音楽様主催「#12か月の小品集」。1月のお題は「捕食」でした。
お題を見て最初に思ったのは、「誰よ、このお題を出題したのは!?」でしたね。「補色」なら得意なのですけど。「捕食」の方かぁ。描きだす前に3回くらい確認しましたわ。
第1案は「妖しい女性がクモの糸で男を絡めとる」みたいな構図を考えていたのですが、そのプランだと、どなたかと被りそうな気がしまして。
そこでクモはやめました。もうちょっとコミカルに行ってもいいかもって考えたのです。R15にならない「捕食」、絵本みたいな絵柄にしてみたらいかがなものでしょう。
カメレオンがハエを捕まえて、タイトルは「捕食 Get!」。
最後に、Xの1月のアイコンを紹介。
毎月(なんとか)がんばってデザインを変えていますので、アカがある方は覗きに来てください。
それでは、また次回お会いできますように。
ご来訪、ありがとうございます。
本文中にも書きましたが、カケの見本。アナログ絵のお話ですからね。手描きしたのですよ。
ところがここ2〜3日めまいが止まらなくて。地震もあったためなのか今回は重症。それもあって、どうにも線がまっすぐ引けないのです。均等に線幅も取れない。何度かトライしてみたのですが、見事なくらい全然ダメだったの。
カケはこの2点が揃うことが肝心なのに、それが出来ていない。見本が見本にならないので、仕方なく素材を活用して説明させていただきました。申し訳ありません。アナログ派だと自負しているのに。これでは返上しなければならないかもしれません。
それと季違い。「……じゃが仕方ない」と続いて、金田◯さ〜んの獄門島の中に出てくる、有名なセリフでした。現在は「〇ちがい」はコンプライアンスに引っかかるそうで、ドラマ化する度に、この部分をどうアレンジもしくは変更するのかしらと話題になります。時にはセリフ自体が無くなってしまうパターンもあって。大人の事情は分かりますが、作品のファンとしては超がっかりなのです。
さて、次回。ミステリ談義ではなく、不調を払拭しようと花の絵をたくさん描いたお話でも。春ですものね。お楽しみに。




