66. 加純さん、奮起してデジタル作画に取り組む。
昨今の諸事情によりメインタイトルが変更になりましたが、内容は変わりません。
これからもよろしくお願いします。
デジタル作画を始めて、はや2年。
めざましい進歩は無いにしても、そこそこ描けるようにはなりました。
当初は、どうやって色を塗っていいのかさえ、わかりませんでしたからね。その前に、線も引けなかったのですが。
手探りの独学、マニュアル本やネットで検索しまくって、それでもわからなくて。
などと言いつつも、とりあえずカタチだけは付くようになりました。
でも、相変わらず苦手なのです。
モノクロ画の方はなんとか慣れてきたのですが、カラー画が描けない。静物や植物ならなんとかなるのですが、キャラクターが描けないのよ。
なろう的にはトホホ……、でしょ?(←なろうではキャラクターを描くことを要求されることが圧倒的ですから)
困ったら「アナログで描いちゃえばいいや!」という考えがあるし、加純さんはアナログ描きでこれまできているので、デジタルで人型キャラクターを描かないのですよ。
でも、まったく描いたことがない――わけでもないのですよ。
オーウェンとヨーネルのおっさんコンビを描いた「おっさんたちバカンスへ行く」とか、
いつもとテイストを変えた「ゴールテープを切ったよ!」とか、
「ゴリラゴリラゴリラ」でもおじさん描いていたわよね。
あら、おじさんと子供しか描いていないわ。
そこで、この辺で人型キャラクター(女性キャラ!)をデジタルで、カラーで描いてみる、ということに挑戦したくなりました。
(すっかり記憶から抜けていたけど、捜したらお題「初」でこんなの↑も描いていた!)
実は、以前からお約束していたのにいつまで経っても手を付けていなかったイラストがあるのですよ。大きい声では言えませんが、それも1枚じゃないのです。(←よい子は真似をしてはいけません!)
このままでは「描く描く詐欺」になるので、その中の1枚、すでにある程度構図が決まっている作品をデジタルで仕上げてみようと思ったのでした。
被害しゃ……もとい、贈呈先は相内充希様。
第3回かざコン出品作品の「セクシーアンドロイドは三月うさぎの夢を見るか?」のアリス。以前、ツイッターの企画でモノクロの簡単なFAを描かせていただいたのですが、その際に「もう一度挑戦させて」とお願いしたまま宙ぶらりんになっていたもの。
『セクシーアンドロイドは三月うさぎの夢をみるか?』より、アリス&リュカ。
確かリクエストをいただいたキャラを先着何名様まで描きます――とか言う趣旨の企画だったかと記憶しているのですが、リクエストを受け付けたら描いてすぐに投稿というスピード勝負。作品1枚の製作に時間をかけられなかった(当時は全部アナログ画)こともあり、かなり粗っぽい仕上げになっております。この頃はまだそんな体力勝負みたいな企画にも挑戦できたのですね、はぁ……(遠い目)
出来に納得できなかったので、どうしても描き直したかったの。アリスのセクシーさとキュートさを、もっとかわいく描いてみたかったのね。その旨相内様にもお伝えし、再挑戦で新たな構図を描き下ろしてみたのです。
アリスはセクシーなアンドロイドですが、カラッとした明るいセクシーさと、元気さを出していきたい。露出度は多いけど、いやらしくないはつらつとしたセクシーさ、ですね。
そこで、ポージングを捻ってみました。
こんな感じ。
ここまで仕上げ、相内様にも披露してご納得いただいていたのですが、ここから長~い休眠期間に入っちゃいました。大きな声では言えませんが、有り体に云えば「ほったらかし」ってヤツですね。手を出さなくてはと思いつつ、上手く気持ちとタイミングが合わなくなっちゃいまして。
なにかもう少し手の加えようがある気はするのだけど、それがなにかわからなくてモヤモヤな期間が続いてしまうのです。こうなると、手が動かなくなってしまう。じゃあこの期間内はなにもしていないかと云えばそうでもなくて、たまに脳内で引っ張り出してきては、あれこれ修正したりパーツの組み合わせを変えては戻して……とかやっているのです。
――で、そんな状態が続く中、ある日突然「描きたい」スイッチが入るのですわ。
問題はこのスイッチがどんな理由で、どのタイミングで入るかが、加純さんにも「いまいちわからん!」だったりすることでしょうか。
上の絵はアナログで、ミリペンでペン入れをしてあります。当初は、いつもどおりコピックで色を付けるつもりでしたので。
しかし今回はデジタルで仕上げることにしたので、このアナログのペン画をPCに取り入れて、彩色だけデジタルで仕上げると云う行程に。加純さん、板タブでのペン入れにはトンと自信が無いのです。
が、途中で気が変わりました。
どうせならオールでやってみたいなぁと、大それたことを考え始めちゃった。ちなみに、オールとはペン画から彩色まで全部をデジタルで仕上げること、です。
ダメでしたら、アナログでやり直せばよいのです。ペン入れまでした原稿があるのですもん。
そんなわけで、板タブでのペン入れ。
投げキッスのハートマーク、目立たなかったので、大きくしてみました。
なんだかアナログのときより表情がきつくなっちゃったみたいだけど、同じ下絵から起こしています。
アナログ版だとミリペンのグレイ系で描き起こしていますが、デジタルではあとで線画の色が変えられるので見やすい黒色で描いているから……だと思います。
たぶん。
もひとつ、髪の毛の線画が途切れているのは、加純さんがアナログ絵描きだから。アナログで線画を描くときのクセが出ています。(デジタル作画の場合、ハートマークは別レイヤーにすれば上乗せできるので、線画を途切れさせる必要はないのでした)
同じ下絵をトレースしているのに画力が安定していないから同じにならない、とか言わないで。
はい。肌色とコスチュームの色が入りました。
ね。色が入ると、また雰囲気が変わってくるでしょう。
と、ここまでは順調に色が入ったのですが、ここでハタと困った!
髪の毛の塗り方がわからないッ!!
一応ね、これまで拙いながらもデジタル作画してきたし、「いつかわたしも!」のときのために他の絵師様方がどうやって彩色しているのか拝見してきたのですが、いざとなると自分がどう塗っていいのか皆目わからなくなりました。
なせにここにこだわるのかと?
それは、髪は女性(キャラ)の命! ですからね。
選択範囲してバケツ塗りしてもいいのですが、それじゃ加純さんの絵にならないと思うのですよ。でもわたしはコピックで塗るようにしか塗れないのです。
厚塗りが出来ないし、髪の毛だけ厚塗りしてもおかしいし、たぶん現在の絵柄に厚塗りは似合わないと思うし。自分の中でしっくり来ない限り、その塗り方は不正解というわけではないけれど、ちぐはぐ感だけは拭えないと思うのね。
と云うわけで、コピックで塗るときとほぼ同じ手順で色を入れていきます。
アリス 髪の毛の工程
アリスは黒髪ですが、いきなり黒を入れるとモノクロ画みたくなってしまうので、まず薄~いグレイ系の色から。これが下地。
次に、もう少し濃い目のグレイ系の色で重ね塗り。グラデーションを作っていくので、さらに濃色のグレイを重ねて影を作ります。
コピックだと、先に塗ったインクが渇かないうちに2番目に塗った中間色で濃色グレイをぼかしていく(グラデーションの製作)のですが、デジタルだと「ぼかし」筆で簡単にできちゃいます。なんてラクなの!?
アクセント色として、黄色や青色を薄く入れて完成。
これでアリスはほぼ完成したので、背景の製作に移ります。
まず一番後ろにくる壁紙。ピンクの斜め斜線。これだけだとさみしいので、(漫画のセリフの)吹き出しの形をしたデザインパターンをペタペタコラージュ。リュカに対してポンポンと言葉を投げるアリスのイメージ。
アリスが背景に沈まないように、白い縁取りをしました。これもアナログだと白ペンで、線画を消さないように、はみ出さないようにとそれはそれはもう慎重に引いていくのですが、デジタルだと「境界効果」で一発! なんてラクなのよ!
アリス 背景の工程
これだけだと元気さがないので、シューティングスターをプラス。可愛らしさとユニークさ、明るさと元気さをアップね。
わかりにくいかと思いますが、背景の下地にテクスチャを貼って、ニュアンスも追加。投げキッスのハートマークを仕上げて、細かい修正をして、はい完成!!
完成したあとからでも製作過程を振り返れるなんて、ラクを通り越して神かも!?(←たいてい途中経過の写メを撮るの忘れるヒト)
「FA セクシーアンドロイド アリス」
下絵まで描いておきながらいつまでも仕上げに入れず、ほんっとーに申し訳ございませんでした。
今年は「うさぎ年」ですものね。絶対にお渡しせねば! と思いまして、1月から「だ~れだ! 企画」や「ブランコに揺れて」制作、「憂鬱をなんとかしたい」のエッセイ連載の合間に、少しずつ少しずつ作業を進めていたのです。
途中、挫折したり、素材探しの旅に出たまま返ってこられなくなったこともしばしば。自分で自分を褒めてあげたいほど、がんばりましたわ。当社比、ですけど。
相内様、お待たせしました。お受け取り誠にありがとうございました。
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2月に参加した企画のひとつ、ちはやれいめい様主催「木になる企画」。ちょっとユニークな企画で、各人思い思いの木を描いてみようという内容でした。
これだけだと「どこが?」という感じですが、ちょっとだけ条件があって、
使って良い道具は、無地の白い紙と黒い普通の鉛筆、そして消しゴムだけ。これ以外は禁止。ですから、デジタル作画はダメ、カラー画材も使えません。枚数はひとり一枚まで。
なんといっても、最大のユニークポイントは、実際の木を見て描くのはダメってことでしょうか。
木の実の個数やどんな実なのかは、それぞれにおまかせ。木が何処に生えているのかも(シチュエーション)も自由。
ね、面白いでしょう。
わたしが描いたのは、みかんの木。
その時、ちょうど目の前にみかんがあったから。記憶にあるみかんの木を描いてみました。
みかんって、たわわに実るのよね。冬の陽射しの中で、オレンジ色の実は、とっても鮮やかで。
(注:お忘れだと思いますが、このエピソードは2月のお話なのです)
「実のなる木 みかんの木」
樹齢にも寄りますが、もう少し幹が太くてもよかったわ。
記憶って、アテになりませんね。
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先だっての、「だ~れだ! 企画」。多くの方が、加純さんの塗り絵を見つけ出してくださいました。(←バレバレランキング、見事2位でしたものね)
そこで、お礼も兼ねて当選者の方のファンアートを描かせていただこうと募集させていただいたのです。
すみません、抽選で2名様。
ほら。遅筆だし、スランプ明けだし、諸事情があって当選者様全員は無理!
などとわがままな注文を付けたにも関わらず、多数の挙手を大変ありがとうございました。
厳選なる抽選の結果、(←例のごとく、愚息に手伝ってもらい、応募者様のお名前を書いた紙を引くというアナログなやり方で決めました)
企画特典のイラストプレゼント抽選結果
そして、なぜが抽選となると、「お初(初顔合わせ)」の方に当選する不思議。
当選者、まずは島猫。様。
頂いたリクエストは、『スイーツ男子な侯爵様の婚約話』の侯爵様。
作品を拝読して抱いた侯爵様の印象は、「この方、端正だけど、絶対に艶っぽい方だな」でした。かわいい婚約者を眺める視線がやさしくて、同時にとても色っぽく思えたのです。(←個人の感想ですよ)
あ、それとご身分柄、高貴さは必須条件ですよね。そこでキチッとスーツを着こなしながらも、婚約者の令嬢を愛おしむ優しい微笑みを描いてみようと。
ちなみに、加純さんは「美男美女たるもの横顔が美しくなくてはならない!」と思い込んでいる人間です。
「侯爵様」 デジタル作画
艶っぽいながらも重すぎない、どことなく爽やかな雰囲気も出したかった(なにせ、この方はスイーツ男子!)ので、彩色は水彩画風にしてみました。
情熱だけで恋が出来る年頃を過ぎて、さりとて枯れるにはまだまだ早くて。色気を漂わせつつ、ゆっくりと円熟という階段を登っている最中。この年頃の男性を描くのは楽しいのですが、同時にとても難しいですね。
島猫。様、ありがとうございました。
もうお一方は、みこと。様。
以前描いた「魅惑のプリン・ア・ラ・モード」を大変気に入ってくださっておいでで、みこと。様の中では、わたしは「プリンの人」で認識されているみたい(……な気がしています)。
確かに、わたしもプリンは大好きです。それも喫茶店の、レトロ風固めのプリン!――と云う話はともかく。
某所で、イケメンキャラと一緒にプリンも描いて欲しいというご意向をチラリとお見かけしたので、キャラの依頼が来る前に、イタズラでこんな絵を送ってみました。
「もてもてイケメンプリン」
見事、大ウケ! やったね。(←違う!)
その「プリン大好き友の会(※そんなものありません)」会長様からの依頼は、すっごいイケメンが来ました。もちろんプリンつきで!
ご依頼は「とばり姫は夜に微笑む ~婚約破棄を了承しました。もちろん取り消し不可ですわ!~ 彼女が顔を隠していた本当の理由。」から、精霊王様。
問題は、この方にどうやってプリンを持っていただくか、です。
精霊王様ですよ、非現実を体現したようなキャラと、プリンという超現実なスイーツ。悩んだ結果、小細工なしで、真っ向からプリンと向き合っていただくことにしました。
わたしのこだわりで、プリンは昭和レトロ感満載の喫茶店プリンで。なるべく王としての尊厳と品格は壊さないように。プリンというスイーツに興味を惹かれるオトナ男性で。
「精霊王様、プリンを食す」
こちらもデジタルで、水彩画風に色を付けています。
コスチュームのデザインとか、色の入れ方とかもそうなのですが、「人ではない感」を出すためにテクスチャを使ったりして、違和感みたいなものも出してみました。
みこと。さま、ありがとうございました。
でも、次回「みたらしだんごを持たせて」なーんてリクエストは出さないでね。
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天界音楽様主催「#12ヶ月の小品集2023」。2月のお題は「スターダスト」でした。
「スターダスト(星空のお掃除)」
ちいさな魔女が、エニシダの箒で星屑をお掃除している――と云う風景を想像してみました。
こちらもデジタル仕上げ。
加純さんがなんとかデジタル作画が描けるようになったのは、毎月こちらの企画に参加させていただいているから。どれだけ拙くても、素材活用でも、デジタルで描くようにしているから。
石の上にも三年。機械音痴でも、下手くそでも、続けていればなんとなく描けるようになるものですね。継続は力なり。
アナログ描きもデジタル作画も、まだまだ継続していきたいと思います!
――修行は続くよ。何処までも。




