65. 加純さん、塗り絵をする。③
前回収まりきらなかった「塗り絵」のお話とプレゼントしたファンアートのお話です。
スランプの沼から片足抜けた加純さんですが、気分的には「復活!」ってスカッとした気分にもなれず。そこは気を取り直し、プラス一山越えた感も手伝って、再び塗り絵を再開しました。
「梅 2月のツイッター用アイコン」
すでに塗りたいサンプルはちゃっかりスクショしてあって、あとはプリントアウトしてトレースするだけなのですが、その前に割烹暖簾を制作していただいた楠木結衣様へプレゼントした1枚。
「おばけちゃん、鬼さんver.」
季節だったので、おばけちゃんたちを鬼さんに変身させてみました。調子に乗って描いていたら、おばけちゃんたちのお顔がつい怖くなっちゃったのはご愛敬。
特に左側のおばけちゃん、能面の「般若」をモデルにしたので、迫力があるでしょ?
以前「紅葉狩り」を描いたとき(49. 加純さん、ユーチューブで能楽を鑑賞する。参照)もそうでしたが、面を描くと力が入ります。加純さん、能楽好きなので。
時間的余裕が無かったのとスランプ抜け切れていなかったこともあり、肝心の楠木様ご本人は、以前コピックで描かせていただいたお顔を使い回し。(←描いたのですが、イマイチ納得できなくて)
さすがに「そのまま」は失礼なので、頭上の花冠をプラスさせていただいています。
楠木様には節分までの期間限定で、ツイッターのヘッダーに使っていただきました。
楠木様、お受け取りありがとうございました。
も、ひとつ。
こちらもスランプ中から描きたかった作品。たこす様の「都道府県娘バトル選手権~各都道府県を女の子に擬人化させて戦わせてみた・第一回戦バトル実況編~」から、山梨娘。
ミリペンで線画を描いたあと、珍しく色鉛筆で彩色。たまに色鉛筆も使いたい。
ご存知の方も多いと思いますが、こちらの作品は奇想天外な愉快な設定とスピード感、加えてご当地ネタ満載ということもあり、当初より大変な盛り上がりを見せておりました。その熱気に乗せられるように、多くの絵師様方が、様々なスタイルの都道府県娘を描いておられます。
そのどれもが、楽しそうで、素晴らしくて、愛に溢れていて。
諸事情により(前回参照)指を咥えて横眼で眺めていたのですが、娘たちのヴィジュアル化を描きたくて描きたくて、ずっとウズウズしておりました。こんな楽しい企画(←ちょっと違う)、逃せませんよね。
でもでも、企画絵を仕上げるまでは手を出しちゃいけません。お約束を放り出して、好き勝手するわけにはいきませんもの。
それも、ようやく無事(?)終了。「さあ、いざ出陣っ!」とナントカは野に放たれた状態になったのは、ご想像に難くないでしょう。
――それで。
山梨といったら、武田信玄公ということで武田菱の兜に、これまた信玄公発案と伝わる名物「ほうとう」を乗せてみました。その割には服装が山ガールなのは何故かと云えば。
あれ、です。山梨県と云えば「ゆ〇きゃん」の舞台ではありませんか。山梨県今昔、なんちゃって。
その他ネットで山梨県の名産品を調べまくって描いてみました! (←やりたい放題……)
ちなみに、加純さんは山梨県民ではありません。
当時、まだ山梨娘が描かれていなかったので、ヘンな義務感に背中を押されて「わたしが描かねば!」とか思い込んだのよね。山梨県民の皆様、こんなのでよろしかったのでしょうか?
(県民娘は、このあともうふたり描いているのですが、そちらは後日)
たこす様、お受け取りありがとうございました。
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お待たせ致しました。
塗り絵のお話に戻ります。
まず1枚目。
こちらの線画をツイッターで見つけた瞬間、「これはわたしが塗らなければ!」と(勝手に)固く決心した絵。コスチューム物(※)大好きで、僭越ながら少女漫画テイストの絵柄を自称する以上、これはスルーできません。(※衣裳劇、サクッと云えば時代劇。なろうでは大方の異世界物もここに入りますね)
星影さき様の、「嗤われナイチンゲールは木漏れ日の下で微笑む」のヒロイン、クラリス。
「塗り絵 5 クラリス」
観ればなんとなく理由がわかるでしょ? はい、そうです。ドレスが塗りたかったのよ!
トレース途中経過
好きなので、コスチュームものは気合いが入ります。ドレスの花柄模様やリボンの柄など、すべてコピックで手塗りです。模様は細かいですが、それほど難しいテクニックは用いていません。ドレスの下地を塗ってから、コピックの筆先で、ちょんちょんちょん……と線画の上に色を置いてそれらしくみせているだけです。「インクぽっとん」さえ気をつけていれば、失敗しても誤魔化しが利くという、加純さんのようなヘッポコ絵描き向けのテクニックです。
コツは度胸、迷うと失敗します。だから先に使用する色をピックアップしておき、左手にスタンバイ。コピック絵師の必殺技、5本の指の間にコピックを縦に挟み、それらを次々右手に持ち替えながら短時間でグラデーションを作りながら塗っていく――というあの大技を繰り出すのです。
コピック彩色終了時
背景はどうしようかと迷ったのですが、彩色時に用紙の左下にシワを作っちゃった(上の写真左下白地部分参照)ので、PCに取り込み背景だけデジタルで処理しました。
(コピック用に開発された専用紙は、トレースし易く発色がきれいなのはいいのだけど、薄いのでシワが出来やすいのが難点)
こういう修正がラクに出来るようになったのは、デジタルを学んで良かったな~と思えるところ。昔だったら切り抜きとか、「観なかったことにしよう」で作業続行するしかなかったですものね。
どのみち投稿はWEBになるので、PCに取り込んで処理しなければなりませんし。出来る限り原画の色を再現しようと試みるのですが、毎回「なんか微妙に違う?」のが残念。
ともあれ、フレームを描いたレイヤーの上に、白地部分を消したクラリス嬢のレイヤーを貼り付け、ホワイトで後れ毛などを描き込んで完成。
さき様、ありがとうございました。
2枚目。
こちらは夏まつり様の線画をお借りした、夏乃様の「贄と呼ばれた少女の、幸せ」のヒロイン、ニナちゃん。まつり様の原画がとても愛らしかったので、お借りしました。
「塗り絵 6 ニナ」
ただ、まつり様の原画とワンピースのデザインを変更してあります。(←許可いただいています)
原画はもっとシンプルなシャツドレスだったのですが、加純さんはコピックで広い平面を塗るのが苦手なので、かなりフレアなスモックワンピースタイプにしてしまいました。
実は、コピックの筆先で一度に塗れる面積は狭いのです。広い面積を塗り潰す方法はいろいろありますが、ブロック分けしてワンブロック毎に、少しずつ丁寧に塗り重ねていくのが一般的でしょうか。
気を付けねばならないのは、揮発性の高いアルコールインクなので、時間差があるとくっきりと筆目が出てしまうこと。
これは百均のリーズナブルマーカーでも、お高価いコピックでも避けられないので、マーカーの宿命かもしれません。
開き直って(←!?)そこを味にしてしまうとか、逆手に取って効果にしてしまうという手段(※ニナちゃんの背景色も開き直っている)もありますが、デジタルのバケツ塗りのように、均一に色を入れるのは至難の技であることは間違いないと思います。
ではムラ無く塗る方法が無いのかと云えば、そんなことはありません。塗ったインクが乾く前に、次のインクを重ねていくという「重ね塗り」をしていくのです。ペン先を寝かせ気味にして、用紙から離さないように、素早く隙間無く丁寧に塗っていきましょう。
この場合、重要なのはスピード。筆目を隠すように塗り進めていくので、どうしてもインクの使用量が多くなりますが、ここはケチってはいけません。さらに早さに気を取られ筆使いが雑になると、筆目が残ってしまいます。気をつけましょう。
大事なところですからテストに出ますよ。
スピードと隙間無い重ね塗り。
当然インク量が増えるので、出来上がりは一度塗りより濃い色に仕上ります。だから最初から濃い色目で塗っていくと、とっても重く濃い色に仕上ってしまいます。出来上がりの色目を計算して、少し薄めの色をチョイスしておくのが無難かと。
この辺のさじ加減は経験と感覚に左右されるので、あとはレッツトライ!
加純さんの経験からすると、上記の方法でも「A4紙をきれいに塗り潰しましょう」なんてことは出来ないと思うの。根性試しでやってみる方がおいでならば応援しますけど、技術もそうですが、神経も目も疲れる。肩腰にくるので、わたしは避けたい。
そこで、なるべく広い面積を重ね塗りしないで済むような図柄を考えるようになるの。
どうするかと云えば、線の描き込み量を増やして不自然にならないように、スペースを細分化しちゃうのですね。あくまでも不自然にならないように、デザインっぽくですよ。
着色する面積が分割され小さくなるので、塗りムラの発生を極力抑えることができます。全部、ではありませんが。
今回もスカートにひだをたくさん描き込んで、布地部分の面積を細かく仕切っているわけです。
それとグラデーションを作って、布の質感にしてしまう。
小賢しいテクニックですね。でも、コピックで塗るときは重要なのよ~~! いかに不得手を誤魔化すか――も技術の内だと思います。(←個人の意見です)
「スモックワンピーススタイル」
幼少期は辛い思いをしてきたニナちゃん。幸せになって欲しいという希望も込めて、思いっきりの笑顔に仕上げてみました。
まつり様、夏乃様、ありがとうございました。
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もう1枚、ファンアート。
たこす様の『「タピオカミルクチーを飲みに行こう」と誘う風林さんはちょっと変わってる』の風林さん。
風林さんの可愛らしさに惚れ込んで、速攻で描いて贈り付けた1枚です。風林さんのツンデレな表情と、お嬢様らしい座り方、そして片手で髪の毛をばさぁっと払う仕草。
ざまぁってほど、髪の毛にはツヤベタ入れています。いいざまぁでしょ。転がる黒い球は、もちろんタピオカです!
彼女の魅力が表現できていればいいのですけど。
この絵を描いた後、しばらく無性にタピオカティーが飲みたかったのでした。
たこす様、重ね重ね、ありがとうございました。
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さて、2月はもうひとつ大きなチャレンジをしているのです。
それも、めっちゃ、がんばったんだぞ~~~~!!
次回は、そのお話です。
ご来訪、ありがとうございます。
塗り絵熱からようやく抜け出し、ファンアートをたくさん描いていた時期でした。
まだ2月。急ごう! でも次回も2月に製作したファンアートのお話なの。
どんなイラストが出てくるか、お楽しみに。




