64. 加純さん、塗り絵をする。②
酷暑の中(投稿時は2023/07下旬)ですが、寒さまっただ中だった1月のお話です。
迎えて、2023年。
うさぎ年。
「新年のごあいさつ」
まさか怒濤の年明けとなるとは、この時は思ってもいませんでした。
年末年始の忙しさのツケがどどっと出てくることもありますが、今年も風邪を悪化させて元旦・2日とお布団の中。
ようやく起き上がれたと思ったら、今度は息子が胃もたれを起こして寝込みました。祟られているのか、我が家は。
思えば、毎年1月は調子を崩すのです。いえいえ、正確には年末年始だけど。
こうなると年中行事ですよね。まあ、風邪くらいでしたら寝正月くらいで済むので無問題(←違いますよ!)。3年前のように腱鞘炎が悪化しちゃったら、それこそ諸々他の症状までズルズルと再発してしまうので、そこだけはなんとしても回避したいと思っています。
――真面目に。
そんなこんなで、昨年末に仕上げておいた線画を、遅まきながら「塗ってください」と割烹に出してみました。他の絵師様がわたしの線画をどんな風にアレンジしてくださるのか、興味が沸いてきたからです。
そこで以前描いたイラストの線画を、デジタルで新たに描き起こしてみました。タブで線を引くのが苦手なので、内心ヒヤヒヤものでしたけど。いつになったら線画がきれいに描けるようになるのでしょう?
「線画 テス バニーガール」
「線画 クリスタ モードスタイル」
お願いしたのは、こちらの2枚。うさぎ年なのでバニーガールの格好をさせたテスと、モードスタイルで決めたクリスタ。先に反応があったのは、やはり姐さんの方でした。
「深森様より クリスタ モードスタイル」
華やかでゴージャスな装いのクリスタ。窓の向こうに拡がるのは宇宙空間。
新たに開設される「超豪華宇宙船で旅する秘境木星周遊ツアー」の宣伝ポスターでしょうか? ガリレオ衛星とか、エウロパやイオ、ガニメデ辺りを回る航路かもしれません。観ていると、彼女と一緒に行ってみたくなりますね。
深森様、ありがとうございました。
「ちはやれいめい様より クリスタ モードスタイル」
オシャレな街並みを背景に、スモーキーカラーのスーツで決めたクリスタです。まるでファッション誌のグラビアみたい。
VO〇UEとか、EL〇Eとか、〇苑とか。ロクム・シティの観光案内のパンフレットの表紙でも良さげな感じかな。
配色は、春を意識した組み合わせですね。優しくてフェミニンな雰囲気が漂っています。
ちはや師匠、ありがとうございました。
同じ線画ですが、配色と背景の選び方によって、雰囲気がガラッと変わってくるのは面白いですね。
テスは後半で。
こちらは相内充希様の「異世界ハーフの仕立て士見習いですが、なぜか若君の胃袋を掴んだようです」のナナちゃん。割烹で拝見したイラストを参考に、ポージング等はそのままですが多少アレンジさせていただきました。少女漫画雑誌の連載扉絵風に味付け。
右脚が、ちょっと複雑なことになっています。
「ナナちゃん モノクロver.」
相内様、ありがとうございました。
さらに、塗り絵も。
これまでコピックで塗っていたのですが、ある練習のために、こちらの作品はデジタルで仕上げてみました。加純さん、デジタルで「キャラをフルカラー彩色」が出来なくて(注:モノクロ画は描けましたが)、贈呈当時は非常にレアな作品だったのです。
「塗り絵塗り絵4 堺むてっぽう様の線画」
堺様らしい、セクシー美女。肌の塗り方はどうしたらセクシーに見えるのかしらとか、考えながら塗っていました。
これまで執拗にトレースしてコピックで彩色していた加純さんが、どうしてここで方向転換をしたのか?
それは、このあと参加する企画で、とあることを実行してみようと企んでいたので、その予行練習も兼ねてデジタル彩色に慣れておきたかったのです。
堺様、ありがとうございました。なんとなく、デジタル彩色に光が見えてきましたよ!
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なんて順調にお絵描きライフを楽しんでいるように見えますが、実はこの頃、加純さんは重大な問題を抱えていました。
実は、ぴたりと絵が描けなくなっちゃったのです。
描けないのなら仕方ない、小説の方を進めよう……と目先を変えてみるのが一番の解決法だったりする(中旬に連載更新している)のですが、当時はそんな悠長なことを言っていられる立場でも、状況でもありませんでした。
月末締めの作品の制作を、2件も抱えていたからです。
もちろん参加表明したときは、まさかこんなことになろうとは思ってもいませんでしたから、「はい!」と手を上げちゃったのです。締め切り間近になれば、どうにかこうにかアイディアを絞り出して仕上げてきたのですが、この時はからっきし浮かんではきませんでした。
それは、もう、見事なくらい!
だったらこんなことして遊んでいないで、真剣に作品製作に取り組めよ! とお思いでしょ? 遊んでいませんよ(←多少は遊んでいるけど)、描けないから真剣に塗り絵をしているのです。手を動かしながら、模索中。
手を止めたら、ホントに描けなくなりそうでしたから。
作品の製作日を調べたら、上の2作品を仕上げたのが、だいたい1月半ば頃。いつもギリギリ追い詰められないと動けない昼行灯なので、今回はエンジン掛かるの遅いわ~と思いつつ、なにかきっかけを掴めば動き出すだろうと、あれこれ抵抗だけは続けていました。
あちらのエッセイでもチラリと触れていますが、加純さんの場合、実際に手を動かして絵を描く時間よりも、その前の資料集めだとか構図だとかの準備期間の方に時間がかかります。「これだ!」と閃けばいきなりトップギアに入ってスピードは上がるのですが、とにかくそこまでが遅い!
自慢できるほど、遅い!
強制的にギアチェンジ出来ればいいのだけど、そうはいかないのが困ったところ。ひたすらアイディアが降ってくるのを待つしかなくって。
もうちょっとコンディションの調整が器用にできるといいのになぁ……と思いつつ――
苦肉の策で「描けない」という愚痴を連ねたエッセイまで書いてみた!
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頂き物のご紹介。
AI企画の参加章で、ちはやれいめい様にミニキャラを作っていただきました。
「こんりゅー」の不機嫌な公子様ことリューゼ・リ・アビナです。
更新が滞っているので、不機嫌が一層深刻化している様子。ブリザードを吹雪かせて、周囲を困らせているようです。
猛暑の中で見ると、ちょっと涼しいかも……!?
ちはや師匠、ありがとうございました。
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神頼み的な抵抗(!?)は功を奏したか、一方の企画作品が完成に漕ぎ着けました。
あちらのエッセイでは企画開催前ということで、どんな作品が仕上ったのか明記していません。が、すでに終了しているので、今回は堂々出しましょう。
企画名は「この絵を塗ったの、だ~れだ!」企画。
文字どおり、塗った絵師を当てる企画です。
指定された絵に12名の絵師がそれぞれ思い思いに色を塗り、それを誰が塗った絵なのかを見つけ出すという、それはもう楽しい企画。(←企画自体は、めっちゃ楽しませていただきました。今回は、わたしがコンディションの調整をつけられなかっただけで、決して企画参加が苦痛だったわけではありません)
「アナログ版」
参加絵師の顔ぶれを拝見してもアナログで塗るのは加純さんくらいだから、すぐにバレるのは仕方ない。それでもアナログ描きとしてアナログで塗るのは意地みたいなもの。
――ですが。
わたし、実はデジタル彩色もできるんです。
ならば、やってみよう。
2パターンに挑戦よ!
「デジタル版」
2021年から始めたデジタル作画ですが、コツコツと練習したおかげで、それとなく描けるようになりました。自慢じゃありませんが、ホントに努力だけはしたんだよ!(←当社比)
その成果を発揮してちょっと遊んでみようか、と企んじゃったのです。
ほら、この企画、クイズ形式ですもの。1枚はすぐに身元バレてしまうでしょうけど、もう1枚はいつもとまったく雰囲気の違う作品、惑わせるような塗り方しても良いと思いませんか?
そう、境様の絵を描いているときに企んでいたあることって、これのことでした。
やはり自分の絵柄、自分の線ではないので、思うほど簡単ではなくて悩みました。アナログ塗りの方は、コピックで。いつもと同じようにトレースして彩色。
ですが――。
他の絵師様たちと多少雰囲気が異なるのは、単に画材が違うだけではなく、トレースの際に微妙に線が変わってしまったこともあります。
いつもは使わない0.5ミリのミリペンで、原画と同じになるように引いたのですが、どうしても手癖の入り抜きが出てしまう。ちなみに入り抜きとは、線の描き始め(入り)と描き終わり(抜き)に強弱をつけること。毛筆習字の「はね」や「はらい」みたいなもの、ですね。
これ、かなり個性が出ちゃうのですわ。自分の絵だとあまり気にならない(通常運転ですから)のですが、他の絵師様の線を引くと、めっちゃ違いがわかるのよ。
前回(63話)の塗り絵のときにも感じましたが、贋作の制作は出来ないなぁと確信できるほど違うの。(←そこ!?)
ええい! そこは、あえてスルー。どのみちアナログ絵という地点で身バレしているのですから、後は野となれ山となれ、ですわ!
デジタルは、これまでやったことのないアニメ塗りに挑戦しました。
ただ普通にアニメ塗りしても面白くないので、腕を描き足すという悪戯をしています。原画を描いた腹田 貝様は、さぞかし驚いたことでしょう。
描かれているふたりは関連があるのではなく、それぞれ別の作品のキャラクター。ですが、この絵をひとつの画面で観たときに、中央に線引きされているようにも見えたのです。別作品のキャラですから、よく考えれば当然かもしれません。
でも、せっかくふたりで並んでいるのですから、どうにか関連性を付けることって、出来ないものでしょうか?
それも、絵の雰囲気を壊さずに、最小限で。(※ルールも描き込みOKでした)
ぽこっと思いついたのが、エグマリーヌ女史(女性キャラ)の腕を描き足すこと。マサト(男性キャラ)が前方を見つめているようなカンジなので、そちらを指さすようなポーズを取らせてみたのです。(※原作の設定とはまったく関係ありません)
「ねえ、アレなにかしら?」なんて視線誘導しているような?
すると。ね、なんとなく会話しているようにも見えてくるでしょ?
細かいところですが、腕を持ち上げたので、女史の腰のラインも少し上がっています。身体の重心が少し体重移動して、動いたように見えるかしら?
原画に敬意を表してシルエットは変えないように努めたのですが、失礼をいたしました。
それで、クイズの成績の方ですが。
皆様の期待と興奮を乗せて2月1日に開幕。回答は早押しクイズ並みの勢いで寄せられました。(回答期間は2月1日から15日まで)
やはり加純さんの正解率は高かったですね。もう、バレバレ。予想していたから、いいもん。
(バレバレランキング、堂々2位獲得!)
でも加純さん、12名の絵師様(内1名は本人だけど)の作品推定ては、全問正解しましたよ。すごいでしょ!
絵師様方、各位腕によりを掛け趣向を凝らして製作なさったようで、いつの間にか企画は超難問クイズに。正解を導き出すの、とても難しかったんだから。
全問正解したのは参加者中2名のみ! ですからね。
大変な盛り上がりを見せ、この企画は幕を閉じる……いいえ、まだ続きがあるのですが、それは後日。
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話は1月末に戻ります。
お忘れかと思いますが、加純さんはもう1枚作品を仕上げなければならないのです。
こちらはオリジナル。
テーマは「春」。
これが、まったく進まないのです。
抵抗すればするほど、どうしていいのかわからなくなってしまいました。内心、かなり焦っています。
リハビリがてらに描いたモノクロ画。(←抵抗は止めない)
アナログ描きです。
以前にもリハビリにマオのイラストを描いていますが、加純さんの中では、この子が描ければ他のキャラもなんとかなるという確信があるのだろうか?
「mao 18」 丸ペン、筆ペン使用。
物語の中では17歳の誕生日の3日前の設定のマオですが、それより約1年くらい前の、15歳くらいの顔でしょうか。反抗期まっただ中といった風情になりました。
ポーカーフェイスがトレードマークのマオが、ちょっと子供っぽい表情している。
でも、肝心の提出用のイラストがどうしても描けないっ!!
こちらの企画はWEBでの展覧会用の企画で、加純さんの中では「企画ごとに季節感を織り込んだオリジナル作品を製作して提出しよう!」という決まりごとがありまして。
企画にはそんな決まりごとはないのですが、そうでもしないと作品製作をしないぐーたら人間。未発表の在庫作品を何枚も抱えているのでもないのですから、締め切りの度に必死になって描いてきたのです。
それが、それが……。
全っ然、なにも思い浮かばない。描けないっ。
ひとつ荷が肩から降りて軽くなったのに、アイディアはまったく降りて来ず。
でも、締め切りはやって来るのです。
悩んだ末、苦肉の策として在庫作品を引っ張り出すことにしました。わたしひとりのわがままで、締め切りを延ばしていただくのは、他の参加者の皆様に申し訳が立たないではありませんか。
幸いにも、「春」をテーマにした作品がひとつあるのです。
急いで多少の加筆修正をして、締め切りに滑り込みました。
「ブランコに揺れて (修正版)」
次回は描き下ろしで挑みたいと思います。
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お待たせしました。「塗ってください」の続きです。
テスのバニーガール。
とても可愛らしく仕上げていただきました!
まずは、
「夏まつり様より テス バニーガール」
白うさぎちゃんです。キュートでセクシー!!
テスのかわいらしさと危なっかしさがばっちりで、わたしが塗るより余程美しいです。
こんなバニーちゃんに飲み物勧められたら、お代わりしちゃいますよね?
「あ、お客様もお代わりですか。ドライマティーニにいたします?
レンブラント農園特性のシードルにいたしましょうか?」
なーんて言ってそう。
夏まつり様、ありがとうございました。
もう1枚いただきました。
ちょっとセクシーに、ピンクのバニーガールスタイルです。
「相内充希様より テス バニーガール」
相内様は、素材使いの名手。さすがです、先生。
適材適所に使える素材を持ってくるのって、意外に難しいのですよ。素材が素晴らしいからって、雰囲気に合わなければぶち壊しになっちゃいますからね。さじ加減、大事!
バニーテスを、オシャレな雰囲気に仕上げていただきました。
さらにバリエーション、
「相内様より テス パワーアップバージョン」
イマジネーションが拡がりますね。「テスクリ」は一応SFカテゴリなので、SFチックに仕上げてくださいました。
そう、一応SFカテゴリなのですよ、あの作品。中身はぜーんぜんSFしていませんが。
相内様、ありがとうございました。
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こうして大乱の1月は過ぎーー
特大のスランプから足が抜けないまま、加純さんはリハビリを兼ねて、もう少し塗り絵をしようと思っていたのでした……。
以下、次回に。(ひええ、塗り絵の話、終わらなかった!)
ご来訪、ありがとうございます。
本文中にあった愚痴エッセイ、
【完結】平凡な主婦絵師は憂鬱をなんとかしたい~スランプの沼脱却のためにあれこれつぶやいてみようと思う
https://book1.adouzi.eu.org/n7513ia/
こちらもよろしくお願いします。
合わせてお読みいただければ、加純さんのリアルタイムの焦り具合が味わえます。
ようやく2月に入れました。
がんばって書き進めないと、今年のあの企画がやって来ます。お絵描き三昧脳の移行すると、また書けなくなるので、なんとかがんばって進めたいと思います。(希望!)
次回も塗り絵の話。お付き合いいただけたら幸いです。よろしくお願いいたします。




