５８． 加純さん、乗馬スタイルを考察する。
動物画って不得意なんです！
描けば描くほどデッサンが狂ってくるのは、なぜッ！
例えば、ですよ。
お料理をする場面を描くとしましょう。
材料を洗う、包丁で切る、鍋で煮るとかフライパンで炒めるとか……。加純さんも主婦なので、一応料理は出来ます。毎日やっています。だから素材や調味料・レシピを観れば、作ったことのない料理でもそれとなく完成予定図を思い浮かべ、描くことが出来ます。
しかし銃を撃つとか超能力を使うとかは経験もないし、使用手順もわからないので想像の部分が多くなります。資料を参考にこーなってあーなっているから、おそらくたぶんこんな感じ？ で、さも当然のように描く。それっぽく見せる。
資料があれば、出来れば図解とか絵図があれば、なんとかなる……と云うかなんとかするのです。
しかし。
資料が見つからない場合、どうするか？ しつこく捜す。知っていそうな方に声を掛け、教えをいただく。
はい。今回はなにで悩んだのかというと、乗馬スタイル。それも「横乗り」という、貴婦人の乗馬スタイルなのです。
拙作の「(貧乏)男爵令嬢エムリーヌ・ホルベインの結婚～ワケアリ伯爵様と結婚することになったのですが私もワケアリなので溺愛はいりません～」(長いので以下「エムこん」に略）で、主人公エムリーヌがこの横乗りをして馬を走らせるシーンがあるのですが、元より乗馬の経験がない加純さんには、どうやって馬に「横乗り」するのか想像がつかなかったのです。
ドレスを着た貴婦人たちが「横乗り」スタイルで馬に乗る、と云うことは知っていました。絵画や写真も見たことがあります。だから騎乗姿は知っているのですが、問題はスカートの下、どうやって鞍に跨がっているかなのですね。
昔（……と云っても２０世紀の初頭まで）のご婦人方は、脚を見せるのははしたないことだと厭っていました。長いスカートの下に脚を隠していました。
ですから貴婦人が公衆の面前で股を開く（跨がる）と云うことなんて、もってのほか！ 品位を問われてしまう。
だからといって、跨がって乗る「男乗り」派の貴婦人がいなかったわけでもないそうですが――って、おいおい、調べるのはそこじゃないでしょう！
エムリーヌがスカートをまくり上げて馬に乗った（←だから品位！）という設定ではないので、技術的には騎乗シルエットがわかればそれとなく描けると思うの。
物語の舞台はお決まりのナーロッパだから、微温的な設定も、ある程度は大目にみてもらえるよね？
でもね、よりそれっぽく描くためには、どんな風に跨がっているのか理解していた方が描きやすいと思いません？
そこでネットであれこれ調べたのですが、どーもわからない。
ワードで検索をかけると、たくさん写真が出てくるのですが、どれもスカートで脚が隠れていて、肝心の乗り（跨がり）方がわからない。サイドサドルの鞍を観ても「だから、これでどーやって乗るのかい？」なのね。
説明しよう。
サイドサドルという専用の鞍の左側に、脚と云うか腿をかける為の薄い出っ張りが２つあって、左脚は腿の表側をその出っ張りに当て、脚先は普通に轡に入れる。右脚は２つ目の出っ張りに右脚の腿の裏側を当てて、そして少し膝を折り曲げて下にたらす――とあったのですが、これでわかります？（←ちなみに右脚の轡は無いそうです）
鞍に横乗りして、身体を捻った状態でピンと背筋を伸ばした姿勢を維持しなければならないので、乗り手にも馬にも大きな負担がかかる……のは、すんなり理解できたのですけど。
あ～～、読解力不足がッ（泣）
もう、こうなると、ど～～しても知りたい。スカートの下の様子はどうなっているの？
ヘンな「知りたい」欲が。
そこで懇意にさせていただいている、こういうこと全般に詳しそうな方に泣きついて教えていただきました。
神、です。
その節は、トンデモご迷惑を……。誠にありがとうございました。
改めて解説しよう。
――なのだそうです。
これでなんとなく探求欲を満たした加純さんは、ようやくエムリーヌの横乗りスタイルのイラストを描くことが出来た……訳じゃないのよ。本編の文章の方はこれでなんとか乗り切ったのですが、イラストに描くとなると、もう少し踏み込んだ下調べが必要になってくるのです。
「エムこん」はナーロッパのお話だということはしましたが、中世ヨーロッパ風ではありません。近世ヨーロッパ風のナーロッパなのです。どこが違うかって？
文明の発達度が違うのよ。この話を語り始めると長くなるし、イラスト制作とはズレてくるので、要点だけ。
一応ね、モデルにしている時代があるのです。だいたいこのくらいの文化レベルがある時代、と云ったかなりおおまかですが、物語の世界観を考える際に目安にしている時代を設定しているのですね。
ここからは多分に加純さんの趣味が入ってくるのですが、世界観のモデルの時代があるのなら、コスチュームも揃えてみたいと思うの。
大抵ナーロッパの物語だとロココ風のドレスを着ているでしょう。ローブ・ア・ラ・フランセーズという、ロココ前期のドレスですね。
でも「エムこん」はバロック時代をモデルにしているから、バロック風のドレスを着せたいの。はい、ここで疑問発生。
バロック期の貴婦人たちの乗馬服って、どんな感じなのでしょう？
（流行りによって多少の細かい違いは発生しますが、貴婦人たちのファッションは大方こんな感じのシルエットだったと思ってください）
そこで、また、ネット検索が始まる。幸いにも、この時代の高貴な人々は肖像画をたくさん描かせているので、服装の資料は案外豊富。
それと、映画。映画のコスチューム。バロック時代と呼ばれる１７世紀フランスを舞台にした物語で、何度も映画化ドラマ化された、超有名物語があります。その辺を手掛かりに検索ワードを並べてクリックすると、ずらずらっと写真が出てきましたよ！
幸いにも、そのなかに乗馬服を纏った貴婦人の肖像画があったので、それをモデルにドレスをデザイン。
そして、それ以上に問題なのは、馬！ 乗馬の絵ですからね、馬を描かねばなりません。
ところが、馬って、全ての動物画の基本といわれるほど美しいけど、そのぶん難しいの。画家やイラストレーターの中には、馬に惚れ込んで馬しか描かないって人もいるくらい。
描けませ～ん。
そんなカッコいい馬、いや元より動物を描くのが苦手ですもん。
その中で、よりによって馬ですかぁぁぁぁ、無理ッ！
……だめだ、逃げちゃダメだ。そういうお話を書いたのは、わたしよ。書いたのですもの、描けるはずよ。
完璧を目指さなければいいのよ、まずはそれとなく馬に見えればいいのよ。
最初は、誰だって下手なんだから（←……そこから進歩しないのが加純さんなんだけどさ）
千回くらい描けば、見えるようになるかもしれない。千里の道も一歩から、よね？
などと、自分を叱咤して描いてみました！
「エムリーヌとデヴィ」
ちなみに、デヴィというのは彼女が乗る愛馬の名前です。
資料が良かったのでなんとかデヴィは馬っぽくなったのですが、参考にさせていただいた写真は現代女性が横乗りしている姿だったので、うっかりスカートの丈が短くなってしまった！！
轡に脚をかけているところが確認できるけど、昔の貴婦人なら、すっぽり隠していなくてはならないのよね。かといって、描き直す気力が（今は）湧かない……。
すみません、次回は気をつけます。
その後、せめてもうちょっと馬を美しく描きたくなった加純さんは、遅ればせながら動物の描き方の指南書を２冊買い込み（←予算の関係上、当然のように古書で！）練習を始めましたが、
道は遠いわ！
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頂き物のご紹介。
さば・ノーブ様から。
小悪魔アイドル風のテスをいただきました。作者より、クリスタよりテスを愛してくださるさば・様なので、今回もセクシー＆プリティなテスです。
彼女がアイドルデビューしたら、どんな歌を歌うのだろう？ この衣裳だとヘビメタ？ それも面白そう。
もう一枚「テス、夏休み満喫中？」といった感じの爽やか系もいただいています。
アイスクリームが美味しそうです。数分後に太もものあたりに溶けたアイスを落として、クリスタに世話を焼かれそうな気がしないでもない。
さば・様、ありがとうございました。
その世話焼き姐さん、クリスタ。弱冠１８歳にして、売れっ子モデル。
こちらは深森様からいただきました。
未来ＳＦ新素材ファッションショー、「星界モルフォ」と云うタイトルが付いております。
広大な宇宙を舞台に華やかな活躍をするトップモデル、クリスタにふさわしい豪華な衣裳です。モルフォ蝶にように、美しく力強く羽ばたく彼女にピッタリなデザインだと思います。
ランウェイを歩いたら、きっと観客の目を釘付けにすること間違いなし！
深森様、ありがとうございました。
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天界音楽様へ。ツイッターでお誕生日だと伺ったので、日頃の感謝を込めて描かせていただきました。……って、いつものＦＡテロをしたのですけど。
以前「イラスト交換企画」でも描かせていただいたのですが、「美少女魔本は旅がしたい！」のユリウス王子。あれから２年。現在描くと、こんな感じになりました。
丸ペンで、色画用紙に描いています。オール手描きで、ホワイトは使っていません。画面効果として、アプリでビネット（四隅の影）だけ付けています。
使用したのは某１００円ショップのリーズナブルな紙ですが、表面がつるつるしているのでペン先が引っかからずに、案外描きやすい。ただホワイトが使えないのが難点。使うと修正箇所が目立つのですもの。
インクはまんが墨汁。速乾で乾くと耐水性、なので「擦っちゃいましたー（涙）」なミスが減りました。どれだけうっかりさんなんだよ、と云う……。
その天様の企画、「#１２ヶ月の小品集２０２２」、８月のお題は「ハイビスカス」でした。
お題がお花ですから、加純さんとしてはかわいい女の子を描くべきだよな～とは思ったんですよ。思ったのですが。
結局こうなりました。
「おっさんたちバカンスに行く」
「テスとクリスタ」のオーウェン＆ヨーネルのおっさんコンビ。楽しいバカンスでの一枚。南の島を満喫中のようです。
日頃テスたち能力者集団が次から次へと面倒をかけていますからねぇ。思い切り羽目を外して、楽しんじゃってくださいませ。
こちらはデジタル作画です。
え、女の子はどこへ行ったって？ お題の「ハイビスカス」をいっぱい描けたから、悔い無し！
次回は静物画や風景画、それからＦＡを集めて。いただいたもの、お渡ししたもの、「#ミュージアム１１月展」や「イラスト交換企画」に向けて、少しずつウォーミングアップを始めるお話（だと思う……）。
ご来訪ありがとうございます。
もうちょっとなんとかしたいと思います、動物の描き方。
せめて馬が馬に見えるようになりたい（泣）
