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即興短編集  作者: 花ゆき
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紫陽花を知りませんか?

「紫陽花を知りませんか?」

そう声をかけてきた彼女の真意は何だろうか。


書き出し.meに重複投稿しています。

「紫陽花を知りませんか?」


 日直で黒板を消していると、同じく日直の日高さんが日誌を書きながら言った。

 知ってる。この前、「橘くんは紫陽花みたいに移り気な人だね」と付き合っていた彼女に振られたから。


「まぁ……ね。日高さんも、俺を移り気だと思う?」

「ち、違うの! 確かに、土の成分によって花の色が変わるからそんな花言葉もあるみたいだけど、最近では結婚式に使われることも増えたんだよ」


 何故か一生懸命な彼女に、黒板消しを置いて向き直った。彼女は俺の視線に身をすくませ、日誌を見つめたまま話す。


「紫陽花の花の形が家族円満のようだからって。それで、色が変化する様子からあなた色に染まりますって意味もあって……」


 彼女はシャーペンを握ったまま、手を震わせた。ここで詰まってしまったら、勘違いしてしまいそうになる。何か言ってほしい。胸が切なく締めつけられる。


「……つまり、染めてほしいってこと?」


 こくりと頷く彼女の耳まで赤く染まっていて、たまらなく胸が騒いだ。すれていない彼女はどんな色に染まるのだろうか。


 移り気なんて言わるけど、それは新しい恋を見つけるのが早いだけ。紫陽花も悪くない。

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