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即興短編集  作者: 花ゆき
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『夜の手』の魔女

『夜の手』の魔女と呼ばれた魔女は眠らない町に魔法をかけた。

お題:夜の手 制限時間:1時間


重複投稿しています。 http://sokkyo-shosetsu.com/novel.php?id=264202

 『夜の手』と呼ばれた魔女がいました。文明の発展により、眠らない町となっていく様を見て、魔女は魔法をかけます。


 一つ、日付の変わるまでに寝られるように。

 一つ、夢の中では安らかに幸せな夢を。

 一つ、日々の苦しみも疲れも癒されるような眠りを。


 突然眠らされた町の人々は怒りました。もっと、起きていられたのにと。



 とある一家でも、同じように魔女に対して怒っていました。ですが、娘は「今日のパパは怖くないね」と言いました。パパは睡眠不足でイライラしやすくなっていたのです。そして娘はこうも言いました。「今日のママ、とても美人ね!」と。睡眠を十分にとれたことで肌が潤い、精神的にも余裕ができ、笑顔が増えたのです。そんな二人を娘は大好きと笑います。


 夫婦は気づきました。最近あまり寝れていない娘がよくぐずっていたことを。そして、あまり娘にかまってあげられていなかったことを。夫婦は、魔女がなぜ魔法を使ったのか理解しました。



 同じように、町からは魔女の理解者が増えていきました。夜九時をすぎると、灯りが一つ一つ消えていきます。魔女はその姿を見て、ほっとしました。それから杖を取り出して、町に同じ魔法をかけます。



 魔女は魔法をかけ、町を見守っています。今では眠らない子どもに、「早く寝ないと『夜の手』の魔女が眠らせちゃうぞ」と言い聞かせるようになりました。魔女はそれでいいと微笑み、今日も魔法をかけます。


 一つ、日付の変わるまでに寝られるように。

 一つ、夢の中では安らかに幸せな夢を。

 一つ、日々の苦しみも疲れも癒されるような眠りを。


 魔女は彼らへ慈愛の眼差しを向け、「おやすみなさい」と言いました。

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