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即興短編集  作者: 花ゆき
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その問題、極めて難解

今日も俺はクラスメイトの相談を受ける。


今日の台詞お題は「そんな簡単な問題じゃないんだよ」です。作中にバナナを出しましょう。 http://shindanmaker.com/437994

「議題はどうすれば平穏にすごせるか」


 放課後、教室に残ったセーラー服の女生徒、間中真耶子は机に突っ伏しながら言った。この議題、何回聞いたっけ。彼女に呆れながら提案する。


「ぶっちゃけ、スルーすればいいじゃん」

「そんな簡単な問題じゃないんだよ、ワトソン君。追加要素、ヤンデレの幼なじみがいることをふまえて考えようか」


 誰がワトソンだ。誰が。しかし、彼の執着っぷりは見ているだけに分かる。


「詰みゲー」

「だよね……。いちいち何するのか聞いてきて束縛はすごいし、周囲の目はおっかないし……。私は平穏にすごしたいだけなのに!」

「じゃあ、僕と付き合うとか」


 彼女と視線は合わせられないが、握り拳はかすかに震えてしまっていた。情けない。彼女が気づかなければいいが。


「ないない、友達じゃん」


 彼女はそんなことも知らず、却下した。思わずすさんだ顔で呟く。


「バナナの皮ですべって、華麗に一回転して着地すればいい」

「それ、平穏とはほど遠いね!?」

「麻耶子、帰るぞ~」


 話題になっていた幼なじみのお迎えだ。


「げっ、豊」

「放課後三十分は自由時間やっただろ。ほら、か・え・る・ぞ」


 首根っこを掴まれ、彼女は連行された。


「そんな簡単な問題じゃないんだよ……は、こっちの台詞だ」


 不毛にも彼女の相談役を続けて長い。そろそろ、この感情を終わらせるべきなのだろう。分かっている。しかし、そう簡単に割り切れるなら、ここまでずるずると思い続けない。自分にだけ甘えるかのように話される彼女の悩み。頼られて、どれだけ嬉しかったか。引きずられて帰る彼女を窓から見下ろしながら、想いをつのらせた。


「好きだよ、間中」

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