続・美しき主従
私よりも綺麗な男の子を見た時、憎らしいという感情と、この美しい彼を自分のものにしたいという感情が込み上げた。あれから、私は相反する感情を抱えたまま育った。彼はますます美しくなっていた。
「美しき主従」 http://book1.adouzi.eu.org/n3680ca/33/ の続編です。
キスの格言は「腿なら支配」です。 #523kiss http://shindanmaker.com/229519
「ねぇ、退屈だわ」
「左様でございますか」
執事の息子である彼は私だけの執事になった。しかし、させていることは執事の域をこえてるだろう。今は絹のソックスをはかせなさいと命じてある。跪いている彼を見下ろしていると、暗い感情がもたげる。彼の優しく触れる手を強く踏んづけて、痛めつけてやりたい。
彼は私が下僕の扱いをしても、平然と受け入れる。そんな彼は出会った頃と比べて、美しさに磨きがかかっていた。それに加え、彼は成長期に入った。今は青年と少年の境目の危うさがある。自然と視線がひきつけられて、憎らしい。けれども、彼はそんな私の感情など知らず、ただ私に心酔していた。
「あぁ、お嬢様。本日もお綺麗です」
うっとりと見つめてくる目に、自分は美しいと立て直す。彼が褒めることで、私は私を保てるのだ。
「そう思うなら、足に口づけなさい。証明できるわよね?」
「あなたに触れる許可をいただけるのですね。証明いたします」
彼は目を喜びに細めた。私の足首を掴んで、脛にキスをした。足の甲かと思っていたのだが、彼の前で動揺したくない。私は無表情で耐えきった。主は動じないものだ。
「足りませんか? ならば、お嬢様が満足するまで証明いたしましょう」
クスリと妖艶に笑う彼に、反射的にゾクリと震えた。思わず足を引こうとすると、彼の力強い手に捕らえられる。そのまま、脛への口づけは次第に上へと上がっていき、スカートに隠された太ももへと触れた。これ以上見てられなくて、思わず瞳を閉じる。
「も、もう十分だわ」
まぶたが震えてしまう。彼をまっすぐ見るのが怖い。
「それはようございました」
思いがけないほど近くで、優しい声がした。驚いて目を開くと、彼が慈愛にみちた顔で先程と同じように跪いていた。耳元で聞こえたのは気のせいだろうか。彼は平然ともう片方の足にソックスをはかせ、室内履きの靴もはかせた。
「お嬢様、参りましょう」
彼は年々、魔性さが増しているような気がする。いつかは彼にくわれてしまいそうなほど……。そこまで考えて、私は頭を振った。私が主らしくあればいいだけのこと。私は彼の手にひかれて、部屋を出た。




