表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
即興短編集  作者: 花ゆき
27/117

太陽神の巫女

貴方は『境界線の引き方』をお題にして140文字SSを書いてください。 http://shindanmaker.com/375517


巫女は神楽を舞う。

 神がかるということは、こちらが神に近づくことである。一切の妥協を禁じ、食べるものも限られたものにして、現世から逸した存在へと作り替えていく。禊を行うと身体があちらに近い存在になっていくのだ。巫女として神に存在を近づけ、あたかも天候を操る神にでもなったかのような感覚になる。




 ある巫女が神楽殿に現れた。彼女は独特な歩法で扇をひるがえし、神楽を舞う。その動きによって、巫女装束から腕がさらけ出される。巫女装束から覗く素肌は本来見えないものであるせいだろうか。白い肌から色香が漂う。


「さぁ、おいでませ。わたくしに会いたいと思うのなら、降りてきてください。女にここまでさせておいて、放っておける貴方様ではないでしょう」


  雨雲から光が射し、雲の隙間から太陽が姿を見せ始める。そして太陽の姿が彼女の前にさらけ出された時、彼女は扇を閉じて太陽と自身との間に扇で線を引いた。


「まったく、貴方様はいつ見ても眩しゅうござます。少しは見ているこちらの身にもなってくださいませ」


 太陽の光が少し弱まった。


「どうして境界線を引いてしまうのか、ですって? 賢い貴方様ならお分かりでしょうに。わたくしの身体は人のものにございます。貴方様の近くには行けないのです。その代わり、わたくしは貴方様の妻として生涯を捧げます」


 太陽が雲に隠れ始めた。


「あら? 今日はもうお帰りになられるのですか? ……分かってますよ。照れたのですね。明日は長い間一緒にいましょうね。また明日」


 彼女は太陽が沈んでいくのをじっと見守っていた。太陽の巫女は一生を太陽に捧げる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ