遅刻
書き出しのお題 「うー遅刻遅刻!」
遅刻しそうな彼女は何に焦っているのか。
こちらにも重複投稿しています。
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「うー遅刻遅刻!」
大変だ。遅刻しそうである。朝食のトーストが焼きあがるまで3分。咀嚼するまで2分。制服を着替えるのに3分と仮定したとする。私はバス通学なので、バス停まで10分間走ったとする。それなら間に合うかもしれない。
結果として、途中で走るのに力尽きた。朝の起き抜けに10分間ずっと走り続けられるはずがない。私は誰もいないバス停に並んだ。息を整え、汗を拭っていると後ろから「おはよう」と声をかけられた。振り返ると、友人の小夜子があくびをしながら手を振っていた。彼女は気だるそうにバス停に並ぶ。
「小夜子、遅刻よ」
「二人の待ち合わせ時間に、でしょう? バスの時間には遅刻してないもん」
「何を言ってるの!? 時間ぴったりに来た小夜子に、予習で分からなかったところを教えてもらうつもりだったのに! 一問に3分から5分かけたとするわ。教えてもらううちに、学校に着いてしまうじゃない!」
「朝のホームルームまでにやれば間に合うって」
「だめよ! その時間は昨日見たテレビ番組について話す時間だもの。お笑い番組を10分、クイズ番組を10分話せば、もう時間は足りないじゃない。だから遅刻なのよ!」
小夜子は呆れた顔をした。
「もう少しルーズに生きたらどう?」
「無理ね。今の話題も2分の遅刻だわ」




