絶対服従
貴方は『おさえた首元』をお題にして140文字SSを書いてください。 http://shindanmaker.com/375517
はぐれ人狼が人狼の群れに出くわした。どうやら、そのリーダーに目をつけられたらしく……
「群れのリーダーには絶対服従。分かってるな?」
はぐれ人狼である私は、人狼の群れに出くわした。これまで群れで暮らしたことがない私は避けようとしたが、リーダーらしき男に腕を掴まれた。彼は精悍な顔立ちをしており、見たところ若かった。人狼は実力主義だ。まだ少年めいた顔立ちをしているだけに、相当な強者なのだろう。
「私は群れないわ」
「それは俺が許さない。首をさらせ」
「いや!」
狼の力がセーブ出来ていなかったのか、腕を払った時、彼の皮膚を爪で切ってしまった。彼の血を見て、ヤバいと思った。雄は狩猟本能が強いと聞く。それを意図せず煽ってしまったのだ。
「ハハッ、こいつはいい。さすが俺の見定めた女だ。退屈させないな」
血を舌でぬぐう彼の目が、本能に揺らめいていた。後ずさる私をおさえつけ、私の無防備な首筋に噛みつく。
「リーダーには、絶対服従だ。分かってるな?」
逃げ出したいのに、なぜかこくりと頷いてしまう。狼の血が彼に従っていた。彼のつがいの座に、埋まることになった。彼の絶対的な強さに、従わずにはいられない。いつしか本能だけでなく、心の底から従う日は近いかもしれない。
「これでリーダーも落ち着くだろ」
「つがい探すって、あちこち旅してきたからなぁ」




