真相…
若葉と家の前で別れ、
家の中に入った。
母親が待っていた。
「大輝…
今朝の事ちゃんと話したいから
聞いてくれる…?」
神妙な面持ちで尋ねてきた。
「わかった。
全部聞かせて欲しい。」
大輝は、応えた。
リビングに行き
テイブルの所で対面で座った。
「大輝にとっては、
突然こんな事になって
ごめんなさい…」
頭を下げて母親は、謝ってきた。
そのままゆっくりと顔を上げ
今までの事を話始めた。
「ここ何年かお父さんとは、
話し合ってきたの。
お母さんもお父さんも
夫婦として
親として
今のままではいけないと…
…
何度も話し合って離婚する事に決めたわ。」
少しの沈黙の後
「本当にごめんなさい。
大輝の気持ちも聞かずに
勝手に離婚する事を決めて…」
「お父さんとお母さんは、
本当は愛し合っていなかったの…
…
大輝が生まれる前に
お母さんには好きな人がいたの…
お母さんはその人と結婚したかった。
でも、その人に家族に反対されてしまったの
…
まだ若かったし
今ならその理由もわかるのだけど
…
お母さんもその当時は、
その事に耐えられなかった…
その人とは、隠れながらあっていたけど
それでも会える機会がどんどん減っていった。
…
その人は親が決めた相手と
結婚する事になったの…
…
その時のお母さんには
何もする事が出来なかった…
そんな時にお父さんと出会ったの。
…
お父さんもお母さんと
同じような事があって
その時に疲れ切っていた。
…
お互い傷を抱えていたから
丁度良かったのだと思う。
…
それから付き合うようになって
すぐに結婚したわ。
お母さんは、大輝を妊娠していたから。
…
それからあなたが産まれた。
それからは幸せだった。
…
でも大輝が大きくなるにつれて
お父さんに似ていない事が
段々とわかってきた…
…
不安になったわ…
その頃、お父さんも
何かに取り憑かれたように
仕事ばかりしていたから…
…
大輝が小学生の中頃に
お母さんは、偶然好きだった人と
再会したの。
…
そして大輝の事を話したわ…
…
DNA検査をする事にしたの…
…
大輝は、お母さんの
好きな人との子供だったの…
…」
「本当にごめんなさい…
…
…
…
でもお母さんは嬉しかった。
好きな人との子供を産めたのだから。
…
その分お父さんへの
罪悪感と
大輝への
申し訳なさがすごくあったわ…
…
大輝を妊娠したことがわかった時は
本当にお父さんの子供だと思っていたの。
でもお父さんとは付き合い始めて
すぐ妊娠したから…
…
お母さんの好きな人への当て付けもあった…
…
本当にごめんなさい。」
気付いたら
母親が土下座をしていた。
「お父さんも気付いていたみたい…
その事もちゃんと話し合って
離婚にする事にしたの。」
「お父さんも元々付き合っていた人を
忘れられなかったみたい…
お互い傷を舐め合って
偽物の夫婦を演じていたの…
…
でも大輝への愛は本当よ。
お父さんもお母さんも
大輝の事は大切で
掛け替えのない家族よ。
…
お父さんも本当の事を伝える事には
最後まで反対していたわ…
だから中学生になるまで待ったの…
…
本当に勝手な両親でごめんなさい。」
頭を床に擦り付けながら
謝り続けていた。
大輝は何と答えればいいかわからない。
何が正解で
何が間違いなのかもわからない。
でも、大輝自身が普通を演じれば
これ以上壊れない。
そう思った。
だから普通を演じ続けた。
許す許さないではなく。
いつも通り、
いつもより明るく、
普通を演じる事を選んだ。
「話してくれてありがとう!
愛されている事がわかって安心したよ!
だからもう謝らないで!
これから二人で頑張っていこう!
お父さんにもたまには
会えるのかな?
楽しみだなぁ!!
…
…
…
…」
心配を掛けないようにいつもより
たくさん話した。
何を話しているかも良くわからず
たくさん話し続けた。
母親が立ち上がり
ぎゅっと抱き締めてきた
強く抱き締めてきた
「ごめんね大輝…
ごめんね…」
母親の声が響いた。
大輝は
泣かない。
「我慢しなきゃ
心配を掛けちゃう」
大輝は感情を抑えて
必死に涙を堪えた。
そんな大輝を見て
母親は泣き続けた。
大輝が悪いわけでは決してない。
でも、大輝は自分に責任を感じた。
この日から、
大輝は、
泣かなくなった
心配を掛けないように
いつもより明るく
いつもより元気に
これ以上壊さないように
普通に、
執着するようになっていったのだ。




