大輝の文化祭
大輝は、
若葉達の学校が
文化祭を開催している頃
学校で、自分達の文化祭の準備をしていた。
看板を作ったり、
メニューを作ったりと
最後の仕上げにかかっていた。
詩音も一緒に手伝ってくれていた。
「大輝君こんな感じでどうかな?」
詩音が完成したメニューを見せてきた。
大輝も
「すごくいいよ。
詩音はセンスあるね!」
と、伝えると顔を真っ赤にして
ありがとうと言っていた。
ようやく作業が落ち着き
大輝は一人で休憩していたが
やはり考えてしまう。
「今頃、劇が始まった頃かな?」
だが頭を振って考えないように
また、出来る仕事を探して作業に没頭した。
夕方まで作業をした事で
大体の作業に、目処がついた。
大輝も詩音に手伝ってもらっていたので
詩音にお礼を伝え
今日は終わりにすることにした。
友達も、
みんな疲れたから帰ると言っていたので
一緒に帰ることにした。
みんなと文化祭の話をして
歩いていると
「文化祭って他の高校の子達も来るのかな?」
と、友達の一人が言ってきた。
「来るに決まってるじゃん。
可愛い子とか来てほしいよなぁ。」
と、他の友達が答えた。
そんな話をしてながら大輝は、
「若葉も来るのかな?」
と、考えてしまった。
来て欲しい思いが半分
来て欲しくない思いが半分
複雑な思いだった。
「きっと白石も一緒に来るんだろうな…
できれば見たくないなぁ…」
そう思いながら帰っていった。
家に帰ってから
佐々木からメッセージが来た。
「文化祭が終わった後に
白石君が若葉に告白したんだ。
だから大輝も
上手くいくように応援してあげてね!」
と、書いてあった。
大輝は、
「まだ告白してなかったのか。」
と、今までの思っていたことが
勘違いだったのだとは思ったが
今回は本当に告白したようなので
なんと返していいかわからずにいたが
「わかった!」
と、だけ返信をした。
文化祭の日まで、
若葉とは、連絡を初めて取らなかった。
忙しいこともあったが
若葉からも連絡がなかったからだ。
心配にはなったが、
佐々木に応援してと言われてしまった事もあり
なんと連絡すればいいかもわからなかった。
他に友達からは、
大輝の学校の文化祭に
みんなで行くという連絡が来た。
みんなの中には、
若葉が入っているのかは、わからなかったが、
きっと若葉も入っているのだろうとは思っていた。
若葉は、大輝に連絡出来ずにいた。
大輝から連絡がこないこともあったが
蓮に告白された事も重なっていたので
なんと連絡すればいいのか
わからなかったのだ。
蓮に告白されたことは
千花だけにしか伝えない事にしていたので
大輝も知らないはずなのだが
千花に相談した時の事を思い出し
なんとなく連絡し辛くなっていた。
ようやく落ち着き
ベッドに横になった若葉は、
「やっぱり大輝には、伝えた方がいいかな?」
と、思ったのだが、
なんと伝えればいいかわからなかった。
どう伝えれば良いかではなく、
伝えたくない気持ちが強かった。
蓮に告白された事を知られたくなかった。
結局、大輝には伝える事は出来なかった。
大輝の学校の文化祭には、
みんなで行く予定だったが
その日まで、連絡すら出来なかったのだ。
文化祭当日になり、
みんなで大輝の学校に向かった。
蓮も一緒に行く事になっていたのだが
いつものように迎えに来ようとしていたので
千花も一緒に誘い三人で集合場所に向かった。
みんなと合流してからも
千花以外には告白された事を伝えてないのだが
いつも通り
若葉と蓮を隣同士にさせられるので
あまり変わらない。
大輝の学校に着いてから
若葉は、何故か緊張して来てしまった。
みんなで大輝の教室を探そうと
思っていたのだが
どこにあるのかわからなかったので、
まずはみんなで、文化祭を楽しむ事にした。
自分達でやる文化祭も楽しかったが
遊びに来る文化祭も違う楽しさがあった。
学校が違うと、
内容も違ってくる。
大輝の学校は、
トップクラスの進学校だった為、
研究などの発表が多かった。
模擬店も多々あり、
若葉の学校の文化祭とはまた違う良さがあった。
みんなで校内を回わっていると
いつの間にか
みんな別行動になっていて、
いつも通り、若葉と蓮、
今回は千花も一緒だった。
三人で校内を回わりながら
ようやく
大輝の教室までたどり着いたのだ。
大輝のクラスは、
たこ焼きを出していた。
若葉は、緊張していた。
大輝に会うのは久しぶりだったし
連絡も取っていなかったからだ。
そんな若葉を気にする事なく
千花は、教室に入って行った。
その様子を見て
蓮も、若葉に声を掛け
一緒に教室に入って行った。
教室に入ってから、
大輝のクラスの女の子達が
可愛らしい衣装を来て案内してくれた。
たこ焼きとは、ミスマッチな気もしたが
可愛い事には変わりがないので
気にしない事にした。
若葉は、
大輝を探したが、
見える所にはいなかった。
たこ焼きを作る側なのかと思って、
パーテーションの後ろを
通された席から見ようと思ったが、
あまり見えなかった。
とりあえず、
先にたこ焼きとドリンクを頼む事にした。
たこ焼きのバリエーションも豊かで、
本当にそれ美味しいのと思うメニューもあった。
三人は、冒険をせず、
普通のたこ焼きとドリンクにした。
たこ焼きも美味しくいただき
満足だったが
大輝が見当たらない。
食べ終わった後も少しだけ待ったが、
結局見つけられなかった。
若葉たちは
三人で、他の所も回ってから
大輝に連絡してみよう
ということになったので
一度、移動する事になった。
クラスの女子の中には詩音もいた。
三人で来ている高校生くらいの男女が
誰かを探しているみたいだったので
今、休憩に入っている誰かの友達だから
なんとなく大輝の友達なのかなとは思っていた。
その中の女の子の一人が気にはなったが
声を掛ける事はしなかった。
詩音もちょうど大輝と交換で
休憩に入るタイミングだったので
連絡を入れてから
大輝を呼びに向かったのだ。
若葉たちが大輝の教室から廊下に出た後に
可愛いらしい女の子と楽しそう話しながら
大輝が廊下を歩いているのが見えた。
大輝を見つけた千花が、
声をかけに行こうとした。
蓮も、一緒に大輝の所に向かおうとしたが、
若葉が固まっている事に気付いた。
「若葉どうしたの?」
と、蓮は尋ねて
若葉は、はっとした。
今すぐにでも
逃げ出したい気持ちになった。
大輝が女の子と
あんなに楽しそう話している所を
あまり見たことがなかったのだ。
決して悪いわけではないのだが
何故が見たくなかった。
だが、大輝と話したい気持ちもあって
大輝に声を掛けたいとも思っていた。
だが、大輝の顔を見られない。
大輝の楽しそうな声を聞きたくない。
「大丈夫?若葉?」
と、蓮に聞かれ黙って頷いた。
蓮は突然、若葉の腕を引き
大輝の所まで向かった。
若葉は、
突然の事で蓮の手を振り解くことが出来なかった。
大輝は、
女の子と教室の手前で別々になった所で
先に向かった千花が大輝に
「大輝どこ行ってたの?探したんだよ。」
と、聞いていた。
「丁度、休憩だったんだ。
みんな別に来たの?
休憩に入る前にもみんな来てたよ?」
と、千花と大輝が話していた。
「みんなとは途中で別行動になったんだ。」
と、蓮が話に加わった。
「そうなんだ。」
と、大輝が答えたがすぐに
「ごめん、もう交代の時間だから行くね。
楽しんでね!」
と、若葉とは話すことなく
教室に入って行ったしまったのだ。




