相談
大輝は、休み明けから
高校の生活に集中する様になっていた。
地元を蔑ろにしているわけではないが
高校の生活に集中すれば
あまり考えなくても済むし
若葉と、上手く距離を取る
言い訳にもなっていたのだ。
高校の友達も増えて
学校の帰りに、
一緒に出掛ける事も多くなってきた。
女子も一緒の時もあり
詩音とも話す機会が前より増えていた。
詩音は、誰とでも分け隔てなく話す事もあり
大輝の中でも
気を使う事なく話せる女の子になっていたのだ。
あれから若葉との連絡も最低限しかしていない。
慣れてはきたが、
もっと話をしたい気持ちもある。
矛盾はしているが、
大輝は、その方法しか思い浮かばなかった。
学校が違うので会う事は、ほぼ無い。
会う機会が多ければ
そうもいかないであろうが
今のところは自分の気持ちを
誤魔化せていると思っていた。
若葉は、
あの日から大輝との事を悩み始めていた。
メッセージを送れば返信は返ってくる。
電話を掛ければちゃんと出てくれる。
だが、前よりも
全てが素っ気なく感じてしまう。
考えても答えは出なかった。
悩んだ末に、
友達の佐々木千花に相談する事にした。
「最近大輝が、
素っ気ない気がするんだ。」
と、学校の休み時間に聞いてみた。
「大輝が?
あんまり想像つかないけど?」
と、千花は言ってきた。
「今までと変わらない感じもするんだけど
なんか素っ気なく感じちゃうの。
だからなんか良くわからなくて。」
と、言ったところでチャイムがなった。
「今日部活なかったよね?
帰りカフェ行こ!そこで続きを聞くよ!」
と、千花が言ってくれたので
帰りにカフェに行く事になった。
学校が終わり、
千花と一緒におしゃれなカフェに向かった。
カフェに着いてから
二人ともケーキとラテセットを頼み
食べながら話し始めた。
「それでね、大輝ことなんだけど、
素っ気なく感じるのもそうなんだけど
避けられている気がするんだ。」
若葉がそう言うと、
「避けられてる?なんで?」
千花がそう言ってきたので
「みんなと遊んでいる時は、
いつも私の所には来ないの。
私が話しかければ話してくれるけど
大輝からは話しかけて来ないし
近くにも来ないんだ。」
と、若葉は答えた。
千花が考えながら、
「考えすぎじゃないの?
大輝は、いつも若葉と一緒だから
みんなといる時くらいは、
若葉以外の友達と話があったりとか?
そんな感じだとは思うけど?
なんかそう思うメッセージとかはあるの?」
と、聞いた。
若葉も隠すような内容も無かったので
メッセージのやり取りを見せてみた。
そのやり取りを見て
素っ気なくも感じるが普通にも見える。
「やっぱり若葉の考えすぎじゃないかな?
高校生になったから気恥ずかしいのかもよ?」
と、千花は伝えた。
「みんなといる時の事も?」
と、若葉が聞くと
「みんなといる時って言うよりは、
白石君といる時じゃない?」
と、核心にをついてきた。
千花は、ため息をつきながら
「若葉と白石君がいつも一緒にいるから
気を使ってるんだと思うよ?
うちらは、教室でも見てるから
気にしないけど、
大輝は、クラスも違かったから
なんとなく
邪魔しちゃいけないって思ってるんだよ!
男子が大輝にも言ったんじゃない?
だから、若葉と白石君の邪魔をしないように
気を使って話しかけないんだと思うよ?」
と、言ってきた。
若葉は、驚いた顔をして固まってしまった。
固まっている若葉に千花は、
「みんな付き合えばいいのにって
思ってると思うよ!」
と、追い討ちかけているつもりはないが
そう伝えてきた。
若葉も、高校生になり
少しはわかってきたつもりだったが
まだまだ気付かないことの方が多い。
だからこそ、
大輝にそう思われていることが
何故だかわからないがショックだった。
「若葉は、きっと大輝の事
弟のようなに思っていると思うんだ。
昔は、そんな感じだったけど
今は、大輝がお兄ちゃんって感じじゃない?
大輝って落ち着いてるし
明るくて空気も読めるから
けっこう人気あるんだよ?
でも恋愛に興味無さそうだし
若葉を見守ってる感じだったから
若葉が幸せになるように
行動してるんじゃなか?」
と、更に伝えてきた。
若葉は、弟のように思っていたが
いつの間にか逆転していた。
はっとした若葉は、
「妹のように思ってるって事?
大輝が私を見守ろうとしてるって事?」
と、聞いてみた。
「大輝がどう思ってるかはわからないけど、
うちからは、そんな風に見えるよ?」
と、千花は言っていた。
なんとも言えない気持ちだった。
ただ大輝が人気があると言うのは
すごく気になった。
「大輝ってそんなに人気あるの?」
と、聞くと
「けっこう人気だね!誰にでも優しいし
空気も読めるじゃん?
話も合わせてくれるし!
うちらは弟みたい存在に思ってたから
今まではいい子だね!
くらいにしか思ってなかったけど
みんなで久しぶりに会った時も
変わらない感じだったし
元々可愛い顔してたけど
身長も伸びて顔もカッコ良くなってたしね!
みんなも一気に見る目が変わってたね!
あれは、高校でモテるよ!」
と、千花は興奮気味に伝えてきた。
その後も大輝の話をしながら
若葉は、
モヤモヤするような
変な気持ちだった。
なんとも言えない気持ちになったが
「今日は、聞いてくれてありがとね千花!」
と、お礼を告げた。
「白石君との事をも
詳しく聞きたいんだけどな?」
と、不敵な笑みを浮かべていた。
若葉は、
本当に仲の良い友達としか
思っていないと伝えたが、
千花は納得していないようで
そのあとも
根掘り葉掘り聞かれて
今まで起きた事を
全て伝える事になってしまった。
次の日から、千花は
更に、蓮との距離を縮めさせようと
躍起になっていったのだ。




