周りの変化
ゴールデンウィークが開けてからも
普通どおりの日常が進んでいき、
気付けば夏休み前まできていた。
大輝と若葉の関係も
姉と弟のようなままで
進展はなかった。
大輝は、若葉の事が
異性として好きになっていたが
今の関係を崩したくなくて
好きと言う気持ちを
出さないようにしていた。
若葉は、
まだ恋愛に興味がないのか
いつもと変わらない
元気で明るい若葉のままだった。
大輝は、今のままで良かった。
何も変わらない普通のままでよかった。
だが周りは変わっていく。
大輝が変化を求めなくても
周りは変化を求めていく。
体育の授業は合同なので
若葉のでクラスと一緒だった。
若葉はクラスの中心にいつもいるので
周りには男女問わず
友達がたくさんいる。
大輝もクラスで人気な為
友達がたくさんいるが
どうしても若葉が男子と
楽しそうに話している所を見ると
嫉妬してしまう。
大輝の方が一緒にいる時間は長いが
その事とは別に、
羨ましく思ってしまうのだ。
大輝と若葉はクラスが違くなったのが
初めてだったので
若葉がクラスで
どんな風に過ごしているか
どんな友達と一緒にいるかわかるのが
体育の時間だった。
やはり人気者だ。
その中の何人かの男子は、
若葉の事を好きなんだろう。
大輝も、若葉を好きだから
なんとなくわかった。
若葉の事を好きな男子は、
体育の時間に
ここぞとばかりの
運動が出来るアピールをしている。
中学生らしいところだ。
その姿が周りも巻き込み
みんなで若葉に
アピールしているように
見えてならなかった。
毎回、体育の時間は楽しみであるが
その分モヤモヤする時間だった。
体育の始まりと終わりには
必ず若葉が、
一声かけに来てくれるので
みんなより優越感はあった。
だが周りから見ると
姉が弟に目をかけているようにしか
見えていなかった。
周りは優しい目で二人を見ているだけだった。
やはり夏休み前になると
色恋沙汰が少しずつ増えてくる。
同じクラスでも誰が好きとか
誰に告白したとか
誰と誰が付き合ったなど
そんな話がちらほら
聞こえるようになっていった。
当然、若葉の話も話題になっていた。
若葉はモテるので
もうすでに何人かの男子に
告白されたらしい。
若葉もそんなことをチラッと言っていた。
気にしない素振りはしているが
やっぱり気になる。
振られた話しか聞いていないので
今のところ大丈夫だと思うようにしていた。
今日は、部活がない日なので
一緒に帰る事になったのだが
若葉が男子に呼び出されたので
終わるまで待つ事にした。
若葉が帰ってきて一緒に帰った。
「また告白だったよ。
まだ恋愛とかわかんないし
みんなで楽しくいたいのに
どうして付き合いたいんだろ?
大輝もそう思わない?」
と、聞かれてしまった。
若葉の事を好きな大輝は
なんて答えるか迷ったが
若葉に合わせる事にした。
「僕もそう思うよ。」
と、だけ答えた。
若葉が、断っていた事には、
安心したが複雑だった。
若葉が、大輝の事も
異性として見ていない事が
よくわかったから。
大輝は変わらない事を
普通のままでいる事を選んだ。
徐々にすれ違いが広がっていったのだ。




